S&P500(VOO)のりんりのブログ【全世界株式(オルカン)長期投資で資産形成】

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40代・60代からのインデックス投資は遅すぎる?年齢より大切な「資産配分」の話

この記事の結論

・40代から始めるのは20代より不利。これは事実です。しかし「遅すぎる」「インデックスは合理的ではない」とまでは言えません

株式に投資するのであれば、何歳であっても低コストで手軽に分散投資のできるインデックスファンドは有力な選択肢です。特に年齢を理由にアクティブ運用へ乗り換える合理性は乏しいと考えられます。

・年齢が上がったときに見直すべきは「投資手法」よりも、自身のリスク許容度と株式比率などの資産配分の設計です。

「40歳からオルカン積み立てても遅い」「インデックス投資は20代からやるもの」

SNSや動画ではこうした声を見かけます。

一昔前は「投資は退職後」「30~40代から投資をするのは早い方」という意見もよく目にしましたが、投資が広く一般化した影響もあるのかなとも思います。ある意味で良い時代になったとも言えるでしょう。

確かに20代と40代を比べれば、運用期間が長いのは20代の方です。ここは率直に認める必要があります。

参考・過去記事
投資は「タイミング」より「時間」── 早く始めた人が有利な、データで見る本当の理由
長期投資はなぜ有利か

ただ、ここから「だから40代以降はインデックス投資をやめるべき」とつなげるのは飛躍があります。また「株式に投資すべきか」と「投資するなら何を使うか」という別々の問いを、年齢という1つの軸で混ぜてしまっているように見えます。

本記事では、その2つを分けて整理しながら、40代・60代からの投資をどう考えるかを見ていきます。


結論を先に:40代・60代からでも、株式部分はインデックスが有力

本記事の主張をまず整理します。

本記事の主張

① 株式に投資するのであれば、年齢に関係なく低コストのインデックスファンドが有力な選択肢になる。40代・60代だからといって、わざわざアクティブファンドに切り替える合理性は乏しい。

② 高齢になっても「アクティブ運用」を持ち出す必要はない。インカム(定期収入)が欲しい、リスクを抑えたいというニーズは、資産配分の調整・債券の組み入れ・取り崩し方法・分配のあるETFの活用といった別の手段で対応できる。

つまり、年齢で変えるのは「インデックス投資かアクティブか」ではなく、どれだけ株式を持つか・どう取り崩すか」という設計の部分だ、という整理です。

参考過去記事「S&P500やオルカンから高配当株への乗り換えは正解か?VOOやVTIこそ最高の「未来の高配当銘柄」である

確かに「期間の不利」はある。ただし慎重に扱うべき

まず前提として、運用期間が短くなることのデメリットは認める必要があります。20年・30年と保有できる人ほど、暴落から回復する時間が確保できます。

ただし、ここで誤解されやすいポイントがあります。「長期保有なら安全」という言い方は正確ではありません。

⚠️注意:「長期投資=安全」ではない

長期保有で年率換算リターンのブレ幅は小さくなりやすい一方、累積資産額のブレ幅はむしろ拡大する側面もあります(時間分散の議論として Samuelson、Bodie 等が指摘)。「期間が長ければ大丈夫」と読み替えないように注意が必要です。

長期投資で「リスク」は減らない ― 初心者が最初に知るべき2つのリスクの正体

40代から始める人が20代より投資期間という面で不利になる場面があるのは事実です。

ただ、低コスト・分散・投資効率・手軽さ・手間のかからなさ・10年単位で多くのアクティブファンドを上回りやすいといった、インデックス投資の利点は年齢によって消えるものではありません。

ですから年齢=「インデックスをやらない理由」ではなく、「株式比率や使う時期を慎重に設計する理由」だと考える方が筋が通ります。

論点を分ける:「株式を持つか」と「何で持つか」は別の話

ここが本記事の核心です。「株式投資をすべきか」と「インデックスを使うべきか」は、まったく別の問いです。

2つの論点を分けて考える

論点A:そもそも株式にいくら配分するか → 年齢・資産額・使う時期・心理耐性の問題=リスク許容度の問題

論点B:株式部分を何で運用するか → 投資戦略の問題

多くの「年齢で語る投資論」は、AとBを混ぜてしまっている。

論点Aで「40代だから株式比率を下げよう」「60代だから安全資産を厚めにしよう」と判断するのは、自然な発想です。ここに年齢が影響するのは否定しません。

一方、論点Bでは話が変わります。「40代になった」「60代になった」という理由で、市場平均を上回るのが急に簡単になるわけではありません。アクティブファンドの大半が長期で市場平均に勝てないという傾向は、年齢によって変わるものではないからです(S&P Dow Jones Indices "SPIVA" レポートなどを参照)。

つまり、株式部分に資産を配分すると決めたなら、それを低コストで広く分散されたインデックスファンドで持つという考え方は、40代でも60代でも変わらず有力です。

「高齢=アクティブ運用」という発想は合理的ではない

もう一歩踏み込みます。年齢が上がったときに、しばしば次のような提案がなされます。

  • 「高齢者には毎月分配型ファンドが向いている」
  • 「老後はインカム重視のアクティブファンドを」
  • 「年齢が上がったらテーマ型で短期に勝負を」

これらはいずれも、年齢を理由にアクティブ運用を持ち込む発想です。しかし、「高齢だからアクティブが良い」とする学術的・実証的な根拠は乏しいのが実情です。

インカムが欲しい場合の合理的な選択肢

「定期的な収入が欲しい」というニーズ自体は理解できます。ただし、それに応える手段はアクティブファンドだけではありません。

  • 債券や個人向け国債を組み入れ、利息収入を得る
  • 低コストの高配当ETF・債券ETFを組み入れる
  • インデックスファンドを保有しながら、必要額を定期的に取り崩す(定率取り崩し・定額取り崩し)

いずれも、高コストのアクティブファンドや毎月分配型ファンドを選ぶ必然性はありません
むしろ取り崩しにおいてもインデックス投資が有利だったりします。

過去記事「S&P500 vs 米国高配当株|結論は「思ってるより複雑」だった【見落とされる第3の選択肢】

リスクを抑えたい場合の合理的な選択肢

「もう若くないのでリスクを抑えたい」というのも、もっともなニーズです。この場合に取るべき行動は、商品変更ではなく資産配分の調整です。

  • 株式比率を下げ、現金・債券・個人向け国債の比率を上げる
  • 近い将来に使う資金は、株式から外して安全資産で持つ
  • 取り崩しフェーズに入る部分は、別バケットとして確保する

📘用語解説:バケット戦略

資産を「短期で使うお金」「中期で使うお金」「長期で使わないお金」など複数のバケツに分け、それぞれに合った運用方法を割り当てる考え方です。短期バケツは現金・債券中心、長期バケツは株式中心、というように役割を分けます。

こうした調整を行えば、リスクを下げつつ株式部分はインデックスで持ち続ける、という選択が成り立ちます。「リスクを下げたい=アクティブに切り替える」というロジックは、よく考えると飛躍があります。

年齢で変えるのは「商品」ではなく「設計」

ここまでを整理すると、

年齢で変わる可能性があるのはリスク許容度であって、それにより「資産配分」などを見直す必要があるのであって、

株式部分にアプローチする際の合理的な運用手法=インデックス投資とその利点は、個々人の年齢(性別・投資経験など)によって変わるものではないとう整理になります。

判断材料を年齢以外に広げる

株式比率を決めるとき、年齢は影響要素の1つに過ぎません。実際にはもっと多くの要素を見る必要があります。

  • 金融資産額
  • 収入の安定性
  • 年金・退職金の見込み
  • 不動産・保険など他の保有資産
  • その資産をいつ使うのか
  • 下落時にどこまで耐えられるか(精神面・生活面)

「必要なリスク」と「取れるリスク」を分けて考える

金融教育の文脈で繰り返し指摘されるのが、「リスクを取る必要があるか」と「リスクを取る余裕があるか」は別問題だという視点です。

すでに十分な資産があり、これ以上リターンを追わなくても生活が成り立つ人は、そもそも大きなリスクを取る必要がありません。

ウィリアム・バーンスタインは The Ages of the Investor などで「ゲームに勝ったなら、それ以上プレイするな(When you've won the game, stop playing)」と述べています。これは年齢ではなく、資産状況に応じてリスクを下げる発想です。

他方で経済的な合理性だけを考えれば、リスクの取り過ぎは禁物だけどとらなすぎももったいないという考え方になります。何歳であっても、各々のリスク許容度に合わせて、適切な資産配分を維持するというのが合理的と考えるのが一般的です。

20代であっても1円でも損したら気になって人生に影響が出るという人もいるでしょう。リスク許容度ゼロの人は無理にリスク資産に投資する必要はないですし、

70歳であってもリスク許容度が高く、株式90%で運用しても全然余裕という人もいるでしょう。年齢で判断するのはなく各々のリスク許容度に合わせた資産配分が大事という考え方の方が実務的に合う気がします。

山崎元氏の整理:リスク資産と無リスク資産を分ける

故・山崎元氏は、生前一貫して次のような考え方を提唱していました。

1. 「年齢によって資産配分を変える必要はない」

山崎氏は、伝統的な「年齢=債券比率」「100-年齢=株式比率」といったエイジング・ルール(age-based allocation)を明確に否定していました。

主な根拠として挙げていたのは:

必要な期待リターンや許容できる損失額は個人の経済状況で決まるのであって、年齢で機械的に決まるものではない

高齢でも資産が潤沢であれば株式比率を高く保って問題ない

若くても近々使う予定のお金は株式で持つべきではない

「リスクを取れるかどうか」は年齢ではなく金額(損失許容額)の問題


2. 「人的資本」議論への懐疑

ファイナンス理論では「若い人は人的資本(将来の労働収入の現在価値)が大きいから株式比率を高くできる」という考え方が一般的ですが、山崎氏はこれに対しても懐疑的でした。

理由:人的資本の評価は不確実性が高すぎる

実務的に意味のある精度で算出できない

それよりも現に持っている金融資産の損失許容額で考えた方が実用的


3. 「お金に色はない/年齢で色をつけない」

これがご指摘の「資産に年を取らせる必要がない」という発言に対応する部分と思われます。山崎氏の表現としてよく使われていたのは:

「お金に老後用・教育用といった色(ラベル)をつける必要はない」

同一人物の資産は、用途を区別せず全体として最適配分を考えれば良い

年齢が上がったからといって資産そのものの運用方針を変える必要はなく、変えるべきはリスク資産の金額のみ

4. インデックスファンド推奨は全年齢共通

リスク資産部分の運用については、年齢に関係なく一貫して:低コストの全世界株式または先進国株式インデックスファンド

具体的には eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)や同 先進国株式 などを名指しで推奨

アクティブファンド・毎月分配型・テーマ型・ラップ口座などは年齢を問わず否定という立場でした。

「使い切る前提」だけが投資の出口ではない

もう1つ、見落とされがちな視点があります。例えば「40歳で始めて80歳で使い切る」という前提でのみ語ると、議論が窮屈になります。

  • 退職後も資産を一括では使わず、段階的に取り崩す
  • 生活費の一部のみを資産から取り崩す
  • 配偶者や子世代に資産を引き継ぐ可能性がある

こう考えると、運用期間は「自分が使い切るまで」とは限りません。実質的な運用期間が想定より長くなるケースもあります。

初心者がやりがちな判断ミス

「年齢で運用手法を変えるべき」という思い込みから、次のような選択がなされることがあります。

  • 高齢になったからと、毎月分配型や高コストのテーマ型ファンドに乗り換える
  • 「もう遅い」と感じて、(リスク許容度に余裕があるのに)現金のままインフレで実質目減りさせる
  • 逆に「取り返さなきゃ」と、短期トレードや個別株集中に走る
  • 若いからといって株100%にして、最初の下落で撤退してしまう

いずれも年齢を理由に商品選択や行動を歪めてしまうパターンです。

年齢ではなくリスク許容度と資産配分の設計が重要な点。そして何歳であっても合理的な株式運用の手法を取るのが良いという整理に立ち返ると判断が落ち着きやすくなります。

注意)インデックス投資以外の投資戦略や手法が全て合理的ではない、全て否定するという意図ではありません。株式投資をする場合、金融理論や教科書的に考えて、インデックス投資が合理的な戦略の代表格であり、それを「年齢」によってあえてやめる必要はないということです。

Q&A

40代から始めても複利は十分に効きますか?
期間が短くなる分、20代から始める場合より効果は小さくなりますが、40代からでもまだ20年、30年と運用は可能なため、複利的な効果は期待できます。
60歳からなら債券中心の方がいいですか?
一般論として、年齢が上がるほど債券比率を上げる考え方はあります。

ただし、年金・退職金・他資産・使う時期によって最適な比率は変わります。「60歳だから債券中心」と機械的に決めるより、自身のリスク許容度や金融資産以外の資産など人生全体でよく考えて決めると良いかと思います。

参考「個人投資家は債券に投資をすべきか?」山崎元氏の見解。
高齢者には毎月分配型ファンドが向いていますか?
「定期的な収入が欲しい」というニーズには応えますが、コストが高く元本を取り崩している場合も多く、合理的とは言いにくい商品が多いです。

インカムが欲しいなら、投信の取り崩し・ETF・債券・不動産など、別の手段で対応する方法もあります。

おわりに:合理的な投資を始めるのに、遅すぎることはない

「40歳からでは遅い」「60歳からでは意味がない」

投資の世界では、そんな言葉を見かけることがあります。確かに、20代から始める人と比べれば、複利的な効果を活かせる期間は短くなるでしょう。

しかし、それはインデックス投資が不合理になることを意味しません。大切なのは年齢そのものではなく、

  • どれだけの下落に耐えられるのか
  • 株式と安全資産の比率をどう設計するか

を考えることです。

もし株式に資産を配分するなら、その部分を低コストで広く分散されたインデックスファンドで持つという選択は、40代でも50代でも60代でも有力です。

インカムが欲しい、リスクを抑えたいというニーズは、商品をアクティブに変えるのではなく、資産配分・債券の組み入れ・取り崩し方法・分配のあるETFといった設計面で応える方が筋の通った対応になります。

資産形成は「若者だけのゲーム」ではありません。これから積み立てるお金があり、将来に向けて資産を育てたいと考えるなら、年齢を理由に選択肢を狭める必要はないと考えます。

合理的な投資を始めるのに、遅すぎることはありません

年齢に縛られるのではなく、自分に合った資産配分を考えながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

この記事のポイント

・株式に投資するなら、何歳でも低コストインデックスは有力な選択肢

・年齢を理由に無理にアクティブ運用に乗り換える合理性は乏しい

・インカム・低リスクのニーズは、資産配分・債券・取り崩し・ETFで応える

・年齢で変えるべきは「商品」ではなく、株式比率・資金用途・取り崩し設計

参考文献・データソース

  • チャールズ・エリス『敗者のゲーム』日本経済新聞出版
  • ウィリアム・バーンスタイン The Ages of the Investor / 『投資の四本柱』パンローリング
  • 山崎元 著作および各種コラム(リスク資産と無リスク資産の分離、低コストインデックス活用に関する論考)
  • S&P Dow Jones Indices "SPIVA" レポート(アクティブファンドのインデックス対比成績)
  • Samuelson, P. A. / Bodie, Z. による時間分散に関する論考

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