S&P500の真実|年率9.8%の裏で毎年-16.4%下落している現実

S&P500の真実
― 年率9.8%の裏で毎年「-16.4%」下落している現実

📌 この記事の結論
・S&P500の長期平均リターンは年率9.8%(1928年〜・配当込み・ドルベース・インフレ調整前)
・しかし毎年平均₋16.4%の下落が起きている(ドルベース)
・「100万円が一時的に70万円になる」のは普通のこと
・S&P500購入はゴールではなくスタート。リスクを許容できる金額で投資しよう

【S&P500の真実】右肩上がりの裏側

S&P500は1928年以来、平均年率9.8%のリターンを記録してきました(配当込み・ドルベース・インフレ調整前)。

ジェレミー・シーゲル教授のチャートで有名なように、S&P500は長期的には右肩上がりで成長してきました。

ただし、その過程では下落する場面 がありました。

1928年以降のS&P500の 年間平均ドローダウン(年内最大下落率)は -16.4% です。

長期利回り年率約10%(インフレ調整後・実質で約7%弱)は広く知られていますが、このドローダウンの数字を知っている人はそう多くありません。

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【主要数値まとめ】S&P500の光と影

指標数値
平均年率リターン(名目)+9.8%
平均年率リターン(実質)+6〜7%
年間平均ドローダウン-16.4%
世界恐慌の最大下落-86%
リーマンショック-57%
コロナショック(2020)-34%

出典:Robert Shiller データセット、Charlie Bilello 公表データ、S&P Dow Jones Indices等を基に集計。

【よくイメージしよう】10%下落は「ごく普通」のこと

Charlie Bilello氏が公表しているデータを見るとよくわかりますが、

S&P500に1年投資をしていれば、10%の下落に出会うのはごく普通のことであり、年内に一時的に 20%以上下落することもざら にあります。

💡例:年初に新NISAでS&P500に360万円を一括投資した方は、
その360万円が翌月には290万円程度になることが普通にあり得る。

実際、ほんの数年前の2020年(コロナショック)には、年初から2月ちょっとの間にS&P500は約3割下落しました。

下落期間もまちまちで、すぐに回復した年もあれば、数年間回復しなかった年もあります(ITバブル崩壊・リーマン・1970年代スタグフレーション・世界恐慌など)。

また、これまでの内容、データはドルベースのものです。為替リスクを考慮するとより大きく動く可能性があります。

参考記事「為替リスクを忘れるな|円建てで見るS&P500の"本当の"ボラティリティ|データで見る為替リスクと対処法

「自分が耐えられる下落」を正しく見積もる

最近の新NISAに関するアンケートでは、「何%の下落まで耐えられますか?」という質問に対し、「10%まで」という回答が最多でした。

しかしオルカンやS&P500に投資するなら、10%超の下落は毎年のように起こる可能性があります。

株式比率の目安(許容下落率別)

許容下落 株式比率の目安 想定平均DD 想定最大DD
10%まで株式30%/現金70%約-5%約-15%
20%まで株式50%/現金50%約-8%約-25%
30%以上OK株式80〜100%約-13〜16%約-40〜50%

※ S&P500 100%の場合、平均DD約-16%、最大DD約-50%(リーマン級)をもろに食らいます。為替リスクも加わるため、円建てではさらに変動する年もあります。

10%の下落までしか耐えられない方は、株式比率30%でも厳しい可能性があります。下落が数年連続するケース(リーマン・70年代不況・世界恐慌)も視野に入れ、もっと少ない金額から始めるのが安全です。

【投資の落とし穴】よくある誤解 3つ

  • 誤解①:「S&P500は右肩上がりだから安心」
    → 長期では事実だが、途中で-50%級の下落を耐える必要がある
  • 誤解②:「下がってもすぐ戻る」
    → ITバブル崩壊からの最高値更新には約7年、世界恐慌からは約25年かかった
  • 誤解③:「新NISAだから安全」
    → 制度は税制優遇に過ぎず、中身の値動きは普通の株式

【まとめ】S&P500を買うことは、ゴールではなくスタート

最近、私の周りでも投資を始める人、新NISAに興味を持つ方が増えてきました。

ただ、株式投資をちゃんと勉強したうえで始めている方はそう多くない印象を受けます。

S&P500やオルカンへの投資は、その投資信託やETFを購入するのがゴールではありません。むしろそこからが、長い投資人生の始まりです。

ジムに入会するのがゴールではなく、継続して通い体を鍛えることが大切なように、
結婚がゴールではなく、結婚後の長い人生がその成否を決めるように、
S&P500を買うことは資産形成のゴールではなく、資産を株式市場のリスクに晒し始めてからが本番

長期投資は、長く続けるからこそ力を発揮します。

投資の過程で起こる下落やリスクをよく想定し、学び、自身の許容できるリスクをよく考えて、無理なく投資を続けていきましょう。

✅ 今日のチェックリスト
☑ 自分の投資額が一時的に -30〜50% になっても生活できるか?
☑ 下落が数年続いても継続投資できるメンタル・キャッシュはあるか?
☑ 株式比率は、自分のリスク許容度と整合しているか?

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📚 参考データ

  • Robert Shiller "Online Data"(Yale University)
  • Charlie Bilello "Creative Planning" 各種データ
  • S&P Dow Jones Indices 公表資料
  • NYU Stern, Aswath Damodaran "Historical Returns on Stocks, Bonds and Bills"