【一括投資 vs 積立投資】1500万円、あなたならどう動かす?
投資に回せるお金が1500万円ある。そんなとき、あなたはどうしますか?
「一気に全部入れた方がいい?」「でも暴落したら怖いし、少しずつの方が安心かも…」
一括投資がいいのか、それともドルコスト平均法(積立投資)がいいのか。
この悩み、投資をはじめたばかりの方にも、ある程度経験を積んだ方にも、よくある質問です。以前このブログにも同じような質問をいただいたことがあり、今回はそれをきっかけに、どちらが有利なのかを一緒に考えていきます。
結論から言うと「私なら一括投資を選びます」
もし今すぐ1500万円を投資に回せるなら、私は迷わず一括投資で目標の資産配分に整えます。
理由はシンプルです。複利の恩恵を最大限に受けるためには、できるだけ長い時間、お金を市場に置き続けることが大切だからです。
たとえば「株式100%のリスクは許容できる」と判断しているのに、積立投資を選んだとしましょう。すると最初は「株式1%・現金99%」、しばらくして「株式10%・現金90%」というような状態が続きます。これでは目標の資産配分とはかけ離れていますし、1500万円全額が市場に投入されるまでに何年もかかってしまいます。
一括投資と積立投資、それぞれのメリット
とはいえ、どちらにも良い点があります。まず整理しておきましょう。
【一括投資のメリット】
- 株式市場へのエクスポージャーをいち早く確保できる
- 歴史的に、株式は現金より高いリターンを生んできた
- 市場が上昇局面にあるとき、その恩恵をフルに受けられる
【積立投資のメリット】
- 大きな下落(ダウンサイドリスク)の影響を分散できる
- 市場の値動きを利用して、平均取得単価を抑えられる
- 「一括投資後に暴落」という最悪のシナリオへの後悔を防げる
データでは一括投資が有利
米バンガードの調査によると、一括投資と積立投資を比較した場合、約3分の2のケースで一括投資の方が高いリターンを得られたという結果が出ています。その理由として、次の3点が挙げられています。
- 現金の長期リターンは、株式・債券と比べて低い
- 投資を先送りすること自体が、「タイミングを計る行為」にほかならない
- 市場のタイミングを読んで成功し続けられる投資家はほとんどいない
つまり、理屈の上でも過去のデータでも、一括投資の方が合理的な選択と言えます。
ただし「続けられること」が何より大切
とはいっても、「一括投資した翌日に暴落したら…」と考えると、なかなか踏み切れないのが人間というものです。その気持ち、すごくよくわかります。
バンガードも「もし一括投資後の下落が心配なら、積立投資の方が向いているかもしれない」と述べています。感情に負けて投資をやめてしまっては、どんな戦略も意味がありません。
投資において最大の失敗は、途中でやめてしまうことです。
一括投資で心が折れるくらいなら、積立投資で長く続ける方がずっといい。そちらの方が最終的なリターンは大きくなります。
実はドルコスト平均法には「限界」がある
ここまで読んで「やっぱり積立投資の方が安心かな」と思った方に、もう少し踏み込んだ話をしておきたいと思います。
ドルコスト平均法はよく「リスクを抑えながら誰でも使える優れた方法」として紹介されますが、実はそれほど万能ではありません。特に、資産形成の後半になるにつれて、その効果は薄れていきます。
資産が積み上がると「平均単価を下げる」効果が消える
ドルコスト平均法の仕組みは、価格が安いときに多く買い、高いときに少なく買うことで、平均取得単価を抑えるというものです。
でも、これが効くのは主に資産形成の初期〜中期の話です。
市場が右肩上がりに成長していくと、後半になるほど購入単価はどんどん上がっていきます。
また元本が大きくなってくると、多少安値で追加購入しても、平均取得単価はほとんど動かなくなります。5000万円の元本があるところに毎月1万円投資しても、全体への影響はごくわずかです。ほとんど平均取得単価は下がりません。
資産形成後半の「暴落リスク」に備えられない
長期投資家にとって本当に怖いのは、資産形成の後半で起きる暴落です。
若いうちの暴落は、時間と労働収入で立て直しができますし、むしろ安く買えるチャンスでもあります。でも、リタイア間近の時期に大きな暴落が来ると、立て直しの時間もなく、生活に直結するダメージになりかねません。
ドルコスト平均法で積み上げてきた資産も、後半には株式比率が高くなっています。そして、ここが重要なのですが、一括投資だろうがドルコスト平均法だろうが、1000万円積み上がった状態で50%の暴落が来れば、500万円資産が減るという事実は変わりません。それまでどんなタイミングで買い付けてきたかは関係ないのです。
つまり、資産形成後半に受ける暴落のダメージは、どちらの方法で積み上げてきたかに関わらず同じです。ドルコスト平均法が「後半の暴落を和らげてくれる」という期待は、残念ながら成り立ちません。
まとめると、ドルコスト平均法は資産形成の初期〜中期においては、本来取れるリスクを過小にしか取れず、目標とする資産配分の完成を遅らせてしまいます。そして後半になると購入単価を下げる効果は薄れ、かつ積み上がった元本への暴落ダメージはそのままフルに受けることになります。リスクを軽減する効果もなくなるわけです。つまりドルコスト平均法とは、魔法のような優れた投資法ではなく、現金を多く残したまま株式への投入タイミングを遅らせるだけの方法に過ぎない、とも言えます。
「資産配分」こそが最大のリスク管理
ここで重要なのが資産配分という考え方です。
投資のリスクとリターンの大部分を決めるのは、「いつ買うか(タイミング)」ではなく、「株式・債券・現金をどの割合で持つか(資産配分)」です。
長期的によく分散されたポートフォリオで運用する場合、そのリスクとリターンの大部分は資産配分が決めるという考え方です。投資タイミングがもたらす影響は限定的です。
長期的に暴落リスクに備えるなら、買い付けのタイミングを工夫するよりも、年齢やライフステージに応じてリスク資産(株式)の割合を調整していく方がずっと効果的です。
バンガードやブラックロックのターゲットデートファンドも、このアプローチを採用しています。若いうちは株式比率を高く保ち、退職に近づくにつれて債券などの安定資産へ少しずつシフトしていく、というのが基本的な考え方です。
私がおすすめする考え方
以上を踏まえて、私が個人的にベストだと思う考え方をまとめるとこうなります。
- ① できるだけ早く目標の資産配分を整える
投資可能なお金があるなら、ドルコスト平均法で少しずつ入れるより、早めに目標配分を完成させる方が有利です。 - ② できるだけ長く市場に居続ける
市場にいる時間が長いほど、複利の恩恵を受けやすくなります。 - ③ リスク資産の買い付けタイミングではなく、資産配分で暴落リスクに備える
現金や個人向け国債のような無リスク資産と、株式などのリスク資産の配分を意識しましょう。また、人的資本(将来の労働収入)や年金、その他の収入も含め、人生トータルでリスクに備えるのが効果的です。
ただ、現実的には毎月の給料から少しずつ投資していく場合、結果的にドルコスト平均法に近い形になるのは自然なことです。それは全然悪くないと思います。大切なのは「積立投資だから安心」と過信せず、資産配分という視点も持ち続けることです。
結局、何を選べばいい?
ドルコスト平均法は「悪い方法」では全くありません。感情に任せて高値で大量に買い、暴落の時に投資をやめてしまうよりも、ずっと賢明な選択です。投資習慣をつけるうえでも、有効なツールだと思います。
ただ「ドルコスト平均法さえやっていれば大丈夫」と過信するのは禁物です。特に、資産形成後半の暴落リスクへの備えは、資産配分の調整で対応することを意識しておいてください。
自分に合う投資を続けることが、最強の戦略
最後に、一番大切なことを書かせてください。
投資理論・金融理論的にも、そして過去のデータが示す上でも、一括投資の方が合理的で正しい選択です。
ただ、それが精神的に合わないという人がいるのも事実です。一括で入れた翌日に暴落したら眠れない、市場の動きが気になってストレスになる…そういう人が無理して一括投資をする必要はありません。
本来であれば、そういうストレスやドキドキを感じない程度の現金と株式の比率こそが、あなたにとって適切なリスク許容度です。その配分で一括投資するのが理屈上は合理的です。
ただ、最初から自分のリスク許容度を完全に把握するのは難しいものです。投資を始めてみて初めて「思ったよりリスクに強かった」「思ったより弱かった」とわかることもあります。自分に合った資産配分を見つけていく過程で、あるいは投資について学んでいく過程で、ドルコスト平均法を使いながら少しずつ慣れていくのはありだと思います。
また、そもそも今まとまったお金がないという人も多いと思います。そういう場合は、毎月の収入から都度一括投資していくのが現実的ですし、それで十分です。
大切なのは、投資をやめないことです。ストレスを抱えたり、暴落に耐えられず途中で売ってしまうくらいなら、ドルコスト平均法を使って無理なく続ける方がずっといい。どんな方法であれ、長く市場に居続けることが最終的なリターンにつながります。
理想や理論は大切です。でも最終的に、リスクを背負って投資するのはあなた自身です。理論を参考にしながら、自分の投資環境や性格に合わせて、うまく落とし込んでいただければと思います。
まとめ
- 理屈でも過去データでも、一括投資の方が合理的
- ドルコスト平均法は初期〜中期は資産配分の完成を遅らせ、後半は暴落対策にもならない。悪くはないが特別優れた方法でもない。
- 暴落リスクへの備えは「買い付けタイミング」ではなく「資産配分」で行う
- 精神的に合わない・まとまったお金がない場合は、無理せず続けることを優先してOK
- どんな方法でも、投資をやめないことが最大の戦略
是非、楽しく、素敵な投資ライフを。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品や行動を勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。
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