「配当で生活」より「投資信託の取り崩し」のほうが手取りが多い?税金から考える資産の受け取り方
配当をもらうより、投資信託を自分で取り崩すほうが、実は税金面で有利なんです。
1. 「配当生活」は本当にお得なのか?
投資を続けていると、一度はこんなことを思うのではないでしょうか。
「毎月配当金が入ってきて、それで生活できたらいいな」
自動的にお金が入ってくる感覚は、たしかに魅力的ですよね。しかし、税金の仕組みをちゃんと見てみると、配当でもらうより投資信託を自分で取り崩すほうが、手元に残るお金が多くなるケースがあります。
今回はその理由を、3つのポイントに分けてお伝えします。
2. 税金の「かかり方」が全然ちがう
まず大前提として、配当金をもらうともらった全額に約20%の税金がかかります。
例えば100万円を投資していて、配当利回り5%として5万円の配当をもらった場合を比較してみましょう。
【配当の場合】
受け取る分配金はすべて「利益」扱いになります。つまり5万円まるごとに税金がかかります。
5万円 × 20.315% = 税金約10,158円 → 手取り約39,842円
【取り崩しの場合】
取り崩す5万円の中には「元本」と「利益」が混ざっています。税金がかかるのは利益部分だけで、元本には税金がかかりません。
評価額が105万円になった投資信託から5万円を取り崩すとき、5万円のうち利益に当たる部分はわずか約2,381円(含み益率4.76%)です。
評価額105万円から5万円取り崩し、含み益率4.76%
→ 5万円のうち利益部分2,381円 × 20.315% = 税金約484円 → 手取り約49,516円
比較表
| 項目 | 配当の場合 | 取り崩しの場合 |
|---|---|---|
| 受取額 | 50,000円 | 50,000円 |
| 課税対象 | 50,000円(全額) | 2,381円(利益部分のみ) |
| 税金 | 約10,158円 | 約484円 |
| 手取り | 約39,842円 | 約49,516円 |
同じ5万円を受け取るのに、手取りの差はなんと約9,700円。
これは「配当は全額が利益扱いなので全体に税金がかかる」のに対して、「取り崩しは元本と利益が混ざっているので、利益部分にしか税金がかからない」という仕組みの違いによるものです。
この税金の繰り延べ効果は長期になるほど大きくなり、40年間積み上げると最終的な受取総額に数十万円~数約万単位の差が生まれることもあります。
【補足】
もちろん、その効果は投資信託の含み益が大きくなればなるほど、実効税率は20.315%へ漸近し、優位性は減りますが、配当より有利な構造は維持されます。
そして今回は最終的な取り崩しを想定していますが、むしろ長期投資で考える場合、この構造は「途中の配当の再投資効率の差」の方がより効いてきます。
3. 受け取る金額を「自分でコントロール」できる
配当は企業や投資信託の運用会社が金額を決めます。「今年は業績が悪かったから配当を減らします」「毎月〇〇円分配します」と、受け取る側には選択肢がありません。
一方、投資信託の取り崩しなら、受け取る金額を自分で決められます。
- 今月は旅行があるから多めに取り崩そう
- 今月は特に使わないから少なめでいいや
- 今年は節税のために取り崩しを控えよう
こんなふうに、生活スタイルや税金の状況に合わせて柔軟に調整できるのが大きなメリットです。
また、野村アセットマネジメントの調査データによると、投資信託を保有している人でも、分配金の仕組みを正しく理解している人は4割を下回るという結果が出ています。「分配金が多いほど良い投資信託」と思っている保有者が28%もいました。
実は分配金を多く出す投資信託は、その分だけ基準価額(投資信託の値段)が下がる仕組みです。分配金はどこかから湧いてくるものではなく、自分の資産から切り出されているものなんですね。
4. 今を楽しむお金と将来のお金は「役割を分けて」考える
ここで少し視点を変えて考えてみましょう。
「今を楽しみたい!旅行したい、美味しいものを食べたい」という気持ち、とても大事だと思います。そのためのお金は手元にある現金や給与から使えばいいんです。
わざわざ投資資産を配当として受け取って(そこで約20%の税金を払って)、それを使うのは非効率です。今を楽しむための出費は手元の現金でまかない、投資に回せるお金はそのまま投資信託の中で効率よく増やし続ける。この考え方がとても大切ではないでしょうか。
考え方をシンプルに整理すると、
- 今使いたいお金 → 手元の現金・給与から使う
- 将来のお金 → 投資信託で効率よく、税金を繰り延べながら増やす
こう役割を分けることで、今も楽しみながら、将来の資産もきちんと育てることができると思います。
5. 結論:オルカンやeMAXIS Slim S&P500のような「無分配型」が最適解
以上の理由から、「分配金を出さずに内部で自動再投資してくれる投資信託」が、長期の資産形成においては最も効率的だと感じています。
具体的には、
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称:オルカン)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
こういったインデックスファンドは、配当や分配金を出さずにファンド内で再投資してくれます。税金の繰り延べ効果を最大限に活かしながら、複利で資産を育てることができます。
毎月分配型の投資信託(毎月お金をもらえるタイプ)は一見魅力的に見えますが、分配金が出るたびに税金がかかり、元本も削られていくので、長期的には非常に不利です。
まとめ
「配当生活」は夢があってロマンチックですが、実際の税金の仕組みを知ると、無分配型の投資信託を積み立てて、必要なときに自分で取り崩すという方法のほうが、手取りが増えて自由度も高いことがわかります。
- 配当は全額が利益扱い → 全体に約20%の税金がかかる
- 取り崩しは元本+利益が混ざっている → 利益部分にしか税金がかからない
- 受け取る金額を自分でコントロールできる
- 今を楽しむお金と将来のお金は役割を分けて考える
まずは難しく考えず、オルカンやS&P500のインデックスファンドを少額からコツコツ積み立ててみることから始めてみてください。将来の自分がきっと喜んでくれるはずです。
なお、私自身もオルカンへの積み立てを続けています。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品や行動を勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任のもとで行ってください。

