
【低リターンの時代?】
具体的な数字は異なるものの、
バンガード、GMO、ブラックロックなど、大手運用会社各社の、
今後の米国株式市場の長期(7~10年)のリターンの予想は、
バリュエーションが伸びきっていた、昨年よりは改善したものの。
過去の平均より厳しめとなっています。
【ジョー・デイビス氏の見解】
そんな中、米バンガードのグローバル・チーフエコノミストであるジョー・デイビス氏が見解を記事にしていました。
デイビス氏はこの低リターンの時代をどう乗り切ればいいか。投資家にアドバイスを送っています。
https://advisors.vanguard.com/insights/article/whymarketforecastsmattertolongterminvestors
【高い資産価格が将来のリターンを抑制】
デイビス氏の見解。
低成長と低金利だったこの10年間、米国株式のリターンが予想以上に大きかったのは、バリュエーションの拡大が大きな要因でした。
投資家は、特にここ数年は、米国企業の将来の収益を、米国外の企業の収益よりもより高い価格で買うことを厭わなかったわけです。
過去記事「【S&P500】S&P495はTOPIXと同レベル。ならなぜ3割も割安な日本株を買えとならないのか?(笑)」
世界的な金融危機の際の低いバリュエーションが、その後の10年間における米国株の堅調な成長を支えたように、
今日の高いバリュエーションは、今後10年間の上昇がはるかに困難であることを示唆しています。
ファンダメンタルズが変化しない限り、近年のような大きな利益を将来得ることは非常に困難です。
最近の投資家の楽観主義が同じように報われるためには、米国企業が今後数年間で豊富な収益を実現する必要があります。
【個人的な見解】
個人的にも今の高いバリュエーションを正当化し、
かつ、将来に渡って過去10年のように年率15%近いリターンを投資家に提供し続けるほどの、
予想「以上」の成長を米国株式市場が続けるのは非常に困難であり、
あまり現実的ではないと考えています。
米国株式市場が悪いとか成長しないということではなく、
過去10年のようなリーマンショック後の緩和政策、
および低金利、低インフレといった経済環境によって引き起こされた、
「バリュエーションの拡大」を追い風とした株式市場の爆発力を、
次の10年も期待するのは現時点では厳しいのかなとも思います(可能性は0ではありませんが)。
バリュエーションに関して言えば、
下落で、公正価格に近付いてきているように思いますが、
加えて日本人であれば為替を考える必要があります。
(2022年は為替がクッションになった代わりに、今後の期待リターンの改善を阻害している可能性がある)
もちろん、それらはS&P500への投資をやめる理由にはなりえませんが、
今後10年に渡って、低リターンの時代がきても全然おかしくないと思っています。
過去米国や世界の株式市場にとってそういう10年は何度かありました。
【デイビス氏のアドバイス】
では、低リターンの時代が来た時、投資家はどうすればよいのでしょう?
デイビス氏は以下のようにアドバイスしています。
今日の予測によると、投資家は次の10年が過去と同じようになるとは思わず、
低リターンの環境を克服するために戦略的な計画を立てる必要があると考えられます。
このことを理解した上で、投資家はより多くの貯蓄を行い、
費用を削減し、目標(退職等)を遅らせ、
必要に応じてアクティブなリスクを取ることを計画しましょう。
【まとめ】
低リターンの時代がこようとも、投資や資産形成の基本である
①より多くの貯蓄を行う(≠収入を増す・拠出額を増やす)
②支出のコントロール
③目標(退職の予定等)を遅らせる(=現実的な目標設定)
これが大切だと思います。
市場はコントロールできませんし、将来のリターンもわかりませんが、自分自身に確実にできること、コントロールできることはあります。
私は投資や資産形成に対しては悲観主義でも楽観主義者でもなく『現実主義者』です。
が、人類の未来に対しては基本的に「楽観的」です。
「楽観主義」とは、物事が勝手に自動的に良くなると期待して待ち続けたり、信じ込こむことではなく、自分やみんなの努力で物事を良い方向に変えられると考える事、物事をより良くできると信じること私は考えています。
世界中の人がそこそこ合理的に行動すれば、世界は基本的によくなっていくと私は考えています。
とはいえ、まずは、自分のやれることをしっかりとやりつつ、
今後の「低リターンの時代」という可能性に備え、
現実的に努力し、自分自身と戦っていきましょう。
いつもありがとうございます。
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