
ブラックスワンファンドの末路
相場の暴落した時に利益が出るヘッジファンド(ブラックスワンファンド・テールリスクファンド)に
08年の金融危機の後、一部投資家達は多くの資金を投じました。
ブラックスワンファンドが
最も好調だったのは2011年ですが、
その後の長期的な上昇相場の影響などを受け
ブラックスワンファンドの人気はすっかり失われ、
残っているファンドはわずかとなりました。
暴落に賭けて儲けることは相当難しい
〇例えば、eVestmentは
ブラックスワンファンドは、過去5年間のうち4年間がマイナスリターンだった。
という調査報告を発表しています。
〇ロンドンのヘッジファンド、マン・グループが、
09年に設立したallテール・プロテクトファンドの設立来のトータルリターンは-45%となっています。
〇AQRキャピタルマネジメントの計算では、
テールリスク戦略の収支をとんとんにするためには、
S&P500指数が1日で20%以上下落する日をブラックスワンと定義づけた場合、
最低でも平均10年に1回発生する必要があるとしています。
(なお、1987年10月のブラックマンデー以降、S&P500指数が1日で20%下落した日はありません)
例外もありますが・・・
ブラックスワンの著者タレブ氏が顧問を務める
(08年に+100%以上の利益を叩き出した)
テールリスクファンドの代表スピッツ・ナーゲル氏は、
上記のようなファンドの問題点を指摘しています。
(内容は長くなるので省略しますが・・・・)
要は、ブラックスワンファンドの運営は、
プロでも半端なく難しいということがわかります。
また、それらのファンドに、投資をして利益をあげるのも中々難しいと思います。
ボラティリティや暴落に対するヘッジは、
取引のタイミングが良ければ利益を得ることが出来ますが、長期的には不利な戦略となります。
一般的な投資家の方や初心者の方にはお勧めしません。
もちろん、運良く暴落を読みきり、
大きく賭け成功すれば大きな利益を出すことが可能でしょう。
しかしながら、
一般的な投資家の方や初心者の方が
暴落を待ち、
暴落を狙って利益を出そうとする事は非常に難しいと思います。
個人的には、
長期的に右肩上がりとなる可能性の高い株式市場などに、
素直に資産配分をするのがといいと思います。
余談
私の知人にも08年の金融危機際、実際に暴落を利用して大きな利益を出した方がいますが、これはものすごいことだと思います。
その方の素晴らしい実力と運があってのことで、少なくとも私には再現できないなあと思いました。
本当に心から尊敬しつつも、自分は自分に合った戦略でリスクと向き合っていきたいと思っています。
ブラックスワンには常に備えよう
誤解しないでいただきたいのは、
下落(やブラックスワン)に備えるなと言っているのではありません。
逆に「常に」備えるべきだとも思っています。
例えば、タイミングを計り、
下落を狙って(下落すると考えて)
ポートフォリオの資産配分を短期的な市況に合わせて、
変更するような戦略はあまりおすすめできません。
タイミング戦略は難しい&長期的にはイマイチ
タイミングを計る戦略は、成功する時もあるものの、
平均すると、タイミング戦略は市場ベンチマークを継続的に上回るリターンを生み出していないとする研究結果がいくつもあります。
(ストックトンおよびシュテックマンの論文など)
また、平均的なプロの投資家が一貫してマーケットタイミングを計る事に失敗しているというデータも有ります。
まあ、焦らずやっていこう
初心者の方には、
「暴落を狙ったり」「市場に合わせて」資産配分を安易に変えない事をお勧めします。
ただ、自分自身の環境の変化に応じて見直すのはいいと思います。(年齢・結婚・転職など)
また、投資を始めた後で、
いろいろ知識が増えたり、経験してからわかる事もあると思います。
数十年と言う、長い投資期間において、
最初数年くらいは勉強期間ともいえるので、
あまり肩肘を張らず、もし間違っていた・失敗した、これは合わないと感じたら、
そこは素直に見直してもいいとも思います。
初心者の方は規律を守ることが大切
長くなりましたが、
何より大切なのは、暴落の後でも資産配分を維持することです。
暴落の後でもしっかりと、
(例え、不安でも・すごく嫌でも)
資産配分を守り、リバランスをしたり、定期的な拠出を続けることが大切だと思います。
初心者の方、一般的な投資家の方は、
下落のタイミングを計って対応しようとするなど、
難しい事をしようとするより、
まず規律を守り、基本的な、当たり前のことを、
しっかりとやり抜くことが大切だと思います。
それだけでも十分に大変だと思います。
繰り返しになりますが、
暴落に備える事は大切です。しかし暴落に賭けるのは難しいと思います。
基本通りに、下落やブラックスワンに備え・対応することが大切だと思います。
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