
【バフェット氏を尊敬しています】
世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏の投資術に関する本や記事は何百、何千とあります。
実際私もバフェット氏の大ファンで、関連書籍を何冊も所有していますし、個別株投資をしていた時はものすごく意識していました。
いわゆるグレアム・ドット村のスーパー投資家達はインデックス投資に舵を切った、今でも尊敬をしています。
【バフェット銘柄=成功とは限らない】
ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャーハサウェイのPFに組み入れられた銘柄はよく「バフェット銘柄」と呼ばれ、
長期的に高いリターンが期待できる銘柄であり、優良企業であると受け止められがちです。
よく投資初心者の方は、バフェット氏の追いかけをして、バフェット銘柄に投資をしたり、あるいは自身の保有銘柄にバフェット氏が投資をしたら、勝利を確信したりもします。
1994年以降の株式の平均保有期間は3.88年です。
【バフェット銘柄を長期保有した場合】
ただ、バークシャーが1998年以降投資した173銘柄中、
2020年末時点で上場している127銘柄を調べてみると、
2020年末時点で上場している127銘柄を調べてみると、
この127銘柄を取得時から2020年末まで持ち続けた場合、
S&P500に勝った 47銘柄
S&P500に負けた 80銘柄
となり、必ずしも「バフェット銘柄」が長期投資で成功するとは限らないということがわかります。
【ウォーレン・バフェット氏の銘柄選択力】
もう少し学術的な研究でもこの点は指摘されています。
2013年の研究「Buffett's Alpha」という有名でおもしろい論文があります。
この著者らは、バークシャーの保有する保険業からの安価なレバレッジ(1.4~1.7倍ほど)を使用できるという利点と、
バークシャーが低ベータで、割安で、クオリティーの高い大企業を買っていることを発見しました。
この研究でおもしろいのは、
同様の特徴を有する企業は優れたパフォーマンスを上げる傾向があり、それはバフェットが買った銘柄に限らないということです。
著者らは翌年更に論文で、市場ベータ、サイズ、バリュー、モメンタム、クオリティーなどのファクターでバフェットのパフォーマンスのほとんどを説明できるとしています。
グレアムやバフェットは何十年も前からバリュー銘柄や収益性の高い企業へのアプローチをしていました。その点はものすごく評価できる点です。
一方で「バフェット銘柄」じゃなくても、同様の特徴を持つ「優良銘柄」は他にも複数あるということもわかります。
実際モンスタービバレッジやドミノピザなど「バフェット銘柄」より、長期的に高いリターンを残す銘柄はたくさんあります。
【短期投資家バフェット】
バフェット流投資を参考にしようとすると、どうしてもバリュー投資や優良銘柄の長期保有というところに注目がいってしまいます。
バフェット氏本人の過去の発言も、そこにフォーカスするものが多いのでそれもよくわかります。
ただ、個人的にはバフェット流投資術を学ぶ際は、バフェット氏の銘柄選択の手法を過大に評価しすぎないことに加えて、
売却術を合わせて良く学ぶ必要があると考えています。
ここにフォーカスした良い書籍は実はあまりありません。
1998年以降のバークシャーの普通株式の平均保有期間は4.5年(正確な日付はわからないため四半期ベース)。
1998年以降投資が明らかになった175銘柄のうち、39銘柄は半年未満の保有であり、半年~1年未満が13銘柄。1年以上~2年未満が22銘柄となっており、
全体の53.7%の94銘柄が、3年未満で売却(または2020年末で保有期間が3年経過していない)となっています。
【売りの名手?バフェット】
1998年から2020年末に売却済みの132銘柄(上場廃止含む)を検証すると
保有期間中S&P500に勝った 71銘柄
保有期間中S&P500に負けた 61銘柄
→勝率54%
サルダーツとあまりかわらないともいえるが、長期的に50%を上回る数字を出し続けることは一定の評価もできる。
1998年以降に投資をし、2020年末に上場している127銘柄中、2020年9月までの売却した81銘柄を調べると
保有し続けたらS&P500に勝った 33銘柄
保有し続けたらS&P500に負けた 48銘柄
→勝率59%
(正確な売買日時はわからないため)保有銘柄報告書を基に四半期末時点の価格参照。
ここら辺の数字をみると、バフェット氏は良い企業を長期保有するというイメージに加えて、
「買い」よりも「売り」、特に悪い銘柄に見切りをつける力に優れている投資家と言えるかもしれません。
【まとめと感想】
以前も何度か話しましたが、バフェット氏のマネをしようとする時は、イメージと実際の行動のギャップに注意しましょう。
また、より有利な条件で株式や債券を取得するなど、個人投資家にはマネできない部分もありますので、そこも割り引いて考えることも大切です。
安易にバフェット氏の手法をマネしても、S&P500インデックスファンドに勝てるとは限りません。
米国個別株投資、初心者の方は、どの銘柄を買おうかと探したり、学ぶことと同じかそれ以上に、
悪い銘柄を避けることや、保有している企業の見切りのつけ方も合わせて学ぶ事が大切だと思います。
私はバフェット氏のマネをして石油株で儲けたり、IBMでやられたり、いろいろいい思い出があるのですが、
結局のところ、バフェットが好きなら安易にマネするよりバークシャーを買うのが良いとも思います。
大くなって成長が鈍化したり、近年のFANGMの牽引するで一時アンダパフォームしたものの、
直近ではまたS&P500を上回る成績を残しています。流石ですね。

そして、結局は、バフェット氏自身が勧めるように、低コストのS&P500インデックスファンドを買うのが、ほとんどの投資家にとって米国株にアプローチする最良の方法だと思います。
株式投資に人生をかけるという方やすごいセンスやスキルを持つ方は別ですが、
「普通の」日本の兼業個人投資家の方が、米国のウォール街や世界中の凄腕投資家と勝負して勝つのは難しいと思います。
手間とコストをかけて、とれるかどうかわからないαを狙うより、
S&P500などのインデックスファンドを用いて、株式市場の恩恵を享受しつつ、手間とコストを抑え、
その分の力を確実に資産形成に直結する、入金力UPに力を注いだ方が普通の一般的な日本人にとっては効率がよいと個人的には思います。
私はウォーレン・バフェット氏が大好きですし、個別株投資も大好きでしたが、今はあまり株式投資に人生を捧げたくないと思っているので、
そして、そのくらいの気持ちでは市場に勝つことなど不可能だと思ってもいるので、普通にVOOなどに投資を続けていきたいと思います。
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