経済成長と株式のリターン
VYMの第7会計年度(2013年10月時点)の運用報告書に、次のような記述があります
VYMの第7会計年度(2013年10月時点)の運用報告書に、次のような記述があります
FRB の金融政策の不透明さとまだら模様の景気動向に対する不安が目立ちました。米国経済と米国株式のパフォーマンスの相違は驚くべきものかもしれません。
しかし、バンガードの調査によれば、一国の経済成長と株式のリターンは長期間においてはあまり相関関係がないことを示しています。
「補足」この会計年度中、米国経済は不安定だったにも拘わらず、米国株式市場は29%、VYMも24.4%と非常に高いリターンをあげています。
参考「バンガード・米国高配当株式インデックス・ファンドの運用報告書」
二つの理由
①長期間に渡って、国を越えて、株式リターンと経済成長率の相関はゼロでした。
ただ、この発言の少しあと
One is, over a longer period of time, the correlation between stock returns across countries and economic growth is zero
「経済GDPのグラフや株式市場の相関データのような単純なものは、そうですね、相関関係はありますが、完全とはほど遠いものです。」と少し柔らかくも述べていました。
②二つ目は「バリュエーション」
市場は経済がどのようになるのかの最善の測定値を、リアルタイムで割り引こうとしています。
そうすると市場は時に過剰反応したり、過小反応したりすることがあります。
そして「経済」はバリュエーションの「すべて」ではないと指摘しています。
成長の罠
ここまでの話は、直感に反していると感じる方もいるかもしれません。
そこで、わかりやすい例として、中国とブラジルについて紹介したいと思います。
ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」より引用
中国の経済は1992年から11年間で、平均GDP成長率9.3%(米国の約3倍)と世界的に高い水準で成長しました。
一方、ブラジル経済は不安定で、平均GDP成長率1.8%と途上国でも最低水準なものでした。
累積ベースでは中国は166%成長したのに、ブラジルは22%しか成長しませんでした。
しかし、この期間、中国株が投資家にもたらしたリターンは散々なものでした。
一方、ブラジル株式市場は年率15%を超えるリターンをあげ、11年間で投資した1000ドルは4781ドルとなりました。
シーゲル教授も、高い経済成長率が高い株式リターンに繋がらない例は、ブラジルと中国に限らず、かなり広い範囲でみることができるとしています。
また、ディムソン、マーシュ、ストーントンの3人は、「楽観論者の勝利」の中で、
世界16カ国を対象に1900年から現在までの株式市場のデータを分析し、GDP成長率と株式の実質リターンの間に逆相関の関係を確認しています。
世界16カ国を対象に1900年から現在までの株式市場のデータを分析し、GDP成長率と株式の実質リターンの間に逆相関の関係を確認しています。
まとめ
経済がどうでもいいわけではありませんが、重視し過ぎには注意が必要です。
経済成長と投資家が得るリターンには、あまり相関関係はありません。
ロイターより引用
ですから、こういう図をみたとき、
「経済成長しそうな地域」に飛びつくのではなく、
一歩進んで「投資家にリターンをもたらす地域」はどこかを考える事が大切だと思います。
ただ、残念ながら私にはそれがわからないので、オルカンなどに投資をしていきたいと思います。
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