バンガードS&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ

2015年からバンガードS&P500ETF(VOO)に長期投資してます。毎日、米国株や海外ETFを中心に投資・資産形成に役立つ情報を発信中。NISAやiDeCOも継続中。


スクリーンショット 2023-07-21 185827

【ジェイソン・ツヴァイク氏の記事】


ウォールストリートジャーナルにおもしろい記事があったので紹介します。

筆者のジェイソン・ツヴァイクは、このブログで度々紹介している。

ウォーレンバフェットもお気に入りのコラムニストの一人。
彼の『金融版 悪魔の辞典』はすごく面白くてお勧めです。


さて、今回の彼の記事ですが、

ESGファンドの不都合な真実 手数料が高いだけ

ESGファンドをぶった切る記事となっています。

簡単にいうと、米国のESGファンドは市場全体(S&P500)との類似性がとても高く、ずば抜けて良い成績ではないにも関わらず、手数料を3倍近くとっている。というお話です。



【序文】

善行を積んで世界を良くしたいと思っても、うまくいかないかもしれない。

だが、自己満足するのに多くのお金がかかるのは間違いない。

ウォール街の時流に乗ったテーマで圧倒的な勢いを放っているのがESG投資だ。

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったESG投資は、ビジネスと世界全体が環境保全に注力し、社会的公正を高め、より良いガバナンスの実現を目指すものだ。

こうした理念のもとでファンドを購入する人たちの大半は、自分がどれだけの金額を支払い、どれほど少ないリターンを得ているのか知らないようだ。

最新の調査によると、平均的なESGファンドの実質的な手数料は報告されているよりも3倍高くなるケースがある。

その理由は、「グリーン(環境に優しい)ファンド」「サステナブル(持続可能な)ファンド」「レスポンシブル(責任ある)ファンド」」とも呼ばれるESGファンドが、自ら主張するほど清廉潔白ではないからだ。


もうキレキレですよね。ツバイク氏のこういう文章好きです。

【ESGファンドの特徴】

ESGファンドは、その理念から、必然的にソフトウエアやヘルスケア銘柄が好まれ、石油・天然ガス銘柄は敬遠される傾向にある。

モーニングスターによると、米国株に投資するサステナブルファンドの組み入れ銘柄の内訳は、テクノロジーが22.1%、ヘルスケアが15.4%で、エネルギーはわずか2.6%でした。

一方、ESGを除く従来型ファンドの内訳は、テクノロジーが18.7%、ヘルスケアは14.3%、エネルギーは5.7%となっている。

過去5年間でグリーンファンドがアウトパフォームし、昨年アンダーパフォーマンスしたのはこのセクターウェイトの違いが影響しているものと思われます。(ハイテク株のアウトパフォーマンスと昨年急落、エネルギー株の上昇)

では、ここで何が問題なのかというと、コストです。


グリーンファンドは結局のところ、従来型ファンドとほぼ同じ投資をしているだけなのかもしれない。

ESGという流行語を冠さない従来型ファンドと同じ投資戦略であるのに、高い手数料を請求しているのかもしれない。


記事によると、S&P500と平均的なESGファンドの相関は0.98。(1が完全相関、従来型のファンドで0.95)

つまり、ESGファンドは従来型ファンドと比べ、市場全体との類似性が低いわけではなくむしろ、よりS&P500と似ている(にも拘らずコストが3倍)という点が問題だということです。

また、平均的なESGファンドでは、組み入れ銘柄のうち明らかに「環境に優しい」のは3分の1にすぎないが、手数料はポートフォリオ全体に対して発生する。

この研究の著者の一人であるハーバード・ビジネス・スクールのマルコム・ベイカー教授は「あなたは自分自身が関心を寄せていること、つまりポートフォリオの差別化された部分に対し、実際には3倍もの手数料を支払っていることになる」と指摘しています。


多くのサステナブルファンドの組み入れ上位銘柄には、アップル、マイクロソフト、グーグルの親会社アルファベット、医療保険・管理医療サービス大手ユナイテッドヘルス・グループ、金融大手JPモルガン・チェースといった同じ米企業が名を連ねる。

これらの銘柄は、S&P500種指数構成銘柄の中でも時価総額上位にランクインしている。

米ハーバード大学が行った最新の調査によると、ESGファンドは平均して資産の68%を従来型ファンドと「全く同じ」銘柄に投資している

(S&P500にはない小型銘柄にも投資をしているが、比率は低いため、影響は少ない)


【素晴らしい理念を利用して儲けようとする人たちへ】

ツバイク氏は、資産運用会社がESGを好むのは、高い手数料を徴収できる上、投資資金に「粘着性」があるからだと指摘します。

つまり、投資家が世界を救おうと思ってファンドを購入する場合、たとえリターンが低くても、そのまま投資を継続する可能性が高いということです。

個人的には、ESGの理念は素晴らしいと思いますが、ESGファンドや日本の年金基金のESG云々の部分など、資産運用にESGを絡めると、逆に多くの摩擦コストが取られることが懸念され、かえって運用が非効率になることが懸念されるので個人的に好きではありません。

少なくとも素晴らしい理念を利用して儲けようという人の口車に乗るのは癪に障るからです。

資産運用ではなく、実生活で、できる範囲でESGというか、そういう流行には捕らわれずに、人として当たり前に社会や他人、地球のためにできることを普通にやっていきたいと思っています。

し、もしESG企業に投資をしたいのであれば、変な(ほぼS&P500と同じような)ファンドに投資をするのではなく、自身で調べてしっかりと行うのが良いと思います。


【まとめ】



2015年に2000本以上の研究論文を分析したところ、驚くべき結果が得られた。企業を対象とした研究の半数強が、ESGの原則を採用した企業は業績が改善したと指摘。

一方、ESGファンドを対象とした研究論文では、これらのポートフォリオが平均を大幅に上回るパフォーマンスを見せたと報告したのは、わずか6本につき1本にすぎなかった。

もしかすると、サステナブル銘柄の価格が持続不可能な水準まで押し上げられてしまい、それを保有するファンドの将来のリターンを低減させているのかもしれない。

ESGファンドは「良い」企業を選定するのが下手なのかもしれない。


個人的にはここがとても面白く感じました。

〇ESGの原則を採用した企業は業績が改善。一方で、ESGファンドのリターンは必ずしも高いとは言えない。

〇ESG銘柄が、ESGファンドやブームで割高圏まで押し上げられいるのかもしれない。

〇逆にESGに嫌われるような銘柄の方が割安かもしれない?




筆者の同僚であるジェームズ・マッキントッシュが昨年の連載で説明したように、

株式を買わないことが「悪い」企業を罰し、株式を買うことが「良い」企業に見返りを与えるわけではない。あなたが売却あるいは敬遠した銘柄は、別の誰かが保有することになるだけだ

株価が高騰しても、企業の意思決定を改善するインセンティブにはならない。

この考え方もおもしろいなと思いました。

株価にうるさく、投資家の厳しい目に晒されていると言われる米国企業でもそんなもんなのかと感じました。

最後にジェイソン・ツヴァイク氏は辛辣な言葉でコラムをしめています。



こうした事実にもかかわらず、

ESGファンドへの投資を通じて自分が正義の味方だと実感できるのであれば、高い手数料を支払うだけの価値があるだろう。

善行を積むことに喜びを感じる「ウォームグロー」には、それほど価値があるかもしれない。

高価な時計や車を購入して、自分がどれだけ特別な存在なのか悦に入るのと同じように。

ただ、その対価が提示されている手数料の3倍になる可能性があることは、肝に銘じておくべきだ。

私はジェイソン・ツヴァイク氏ほど辛辣なことは言つもりは全くありませんが、

テーマ型ファンドや高い手数料のファンドや、ほとんどベンチマークと同じ動きをする(のにコストは高い)アクティブファンド

頭の良くて、賢そうな人たちが、自分たちが儲けるために考えた口車にのることなく、

いつも通りの投資を続けていきたいと思います。

いつもありがとうございます。

もしよかったら、応援クリックよろしくお願いします。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村


米国株ランキング

ランキングサイトに参加しているので、

上の応援ボタン2つをクリック頂けると、

ものすごくありがたいです。毎日記事を書く励みになります。