バンガードS&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ

2015年からバンガードS&P500ETF(VOO)に長期投資してます。毎日、米国株や海外ETFを中心に投資・資産形成に役立つ情報を発信中。NISAやiDeCOも継続中。

【退職のための4%ルールのアップデート】

先日米バンガードが、

FIREやインデックス投資の出口戦略の一つとして、

よく知られている「4%ルール」について、

おもしろいレポートを公開していましたので紹介たいと思います。

Fuel for the F.I.R.E.: Updating the 4% rule for early retirees

FIREやアーリーリタイア、老後の出口戦略を考える方は目を通してみると良いかと思います。



【レポートの主旨】

F.I.R.E.の支持者たちは、リタイア後の40~50年の間にPFから取り出せる金額を決めるために「4%ルール」を利用してきました。

ただ、4%ルールは元々退職後30年の期間を伴う投資家のために設計されたものです。

そして、将来のリターンや手数料、分散投資について、単純化された仮定に基づいているため、より短い期間や長い期間のリタイアメントプランの実行可能性を制限する可能性があります。


と述べ、F.I.R.E.早期退職を成功させる可能性を高めるためにどうすればよいのか。

バンガードの基本原則を用いながら説明しています。


【要点】

以下、全文を紹介すると大変なので、要点だけ紹介します。

〇3Pでは4%ルールについて、前提条件等が説明されています。

〇4Pでは4%ルールで使用している仮定が、早期退職の成功確率を低下させてしまう可能性について述べています。



【リスク①ヒストリカル・リターンへの依存】

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左は、1926年1月から2021年3月までのリターンとインフレ率(幾何平均・ドルベース)

右はバンガードのモデルによって今後10年間のリターンを推定したものです。

インフレを考慮した場合、10年間の実質リターン予測の中央値は、米国株式が2.44%、米国債券が-0.27%となっています。

もちろん、バンガードの予想が絶対というわけではありませんが、過去の実績は将来を保証するものではありません。

過去の(良すぎる)ヒストリカルリターンに依存し過ぎた計画は禁物です。

【リスク② 退職後の期間の長期化】

4%ルールは、30年の退職期間を持つ投資家を想定して計算されています。

F.I.R.E.の投資家は、最長で50年のリタイア生活を送る可能性があります。

4%ルールは、50年間の退職後を過ごす可能性のある早期退職者には不十分かもしれません。

バンガードの試算によると、4%の引き出し率のまま期間を延ばすと、成功の確率が81.9%から36.0%に減少するとのことです。

自分の目標に合わせて、正しい計画を設計することが大切だとバンガードは述べています。
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【リスク③ 投資手数料】

ここは、当ブログの読者は耳タコだと思いますので、簡単に紹介します。

投資にはコストがかかります。

リタイア後のポートフォリオの成功確率を高めるには、これらのコストを考慮しなければなりません。

コストは実際に投資家が手にする純利益を減少せます。

コストが高いほど、4%ルールの成功確率は低くなります。



【④国際分散投資すると、4%ルールの成功確率が高まる】

Bengen (1994)は、退職者の安全な引き出し率を計算する際、米国の株式と債券の配分のみを考慮していました。

バンガードの調査によると、グローバルな分散投資はポートフォリオのボラティリティーを低下させることが実証されています。(この調査レポートは過去のブログ記事で紹介しています)

また、バンガード社の最新の10年後の資本市場予測では、国際株式が米国株式を上回る可能性が高いとしています(こちらも以前ブログで紹介していますので参考に)

このような理由から、ポートフォリオに海外の株式や債券を加えることの効果を検討すると下のような感じになります。

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財産が100万ドルで、引きだし率は4%

左が米国株式50%、米国債券50%

右が米国株式30%、海外株式20%、国内債券35%、海外債券15%となっています。

退職後の退職期間は50年と仮定。手数料や税金は含まれていません。


ここは、米国人目線のドルベースでの試算だという事に注意し、日本人目線に置き換えて考える必要がありますが、

少なくとも、米バンガードは米国の投資家に「分散投資は、投資における唯一のフリーランチ」と言われています。国際分散投資を検討してみてはいかがでしょうか?

と提案しています。


【リスク⑤:定比率の引き出し】

一定の生活水準を維持できるよう設計されている4%ルールですが、市場のボラティリティや、PFが枯渇する可能性を考えると、4%ルールは効率的ではないかもしれません。

例えば、市場の暴落時には、一時的に支出を減らす(=PFからの引き出し率を下げる)事をバンガードは提案しています。

生活水準が年々大きく変動することは避けたいものですが、ある程度普段の支出に柔軟性を持たせることで、退職後のポートフォリオが成功する確率を高めることができます。

レポートの後半はこの動的な引き出し計画について説明されています。


【まとめ】

レポートを一言でまとめると、

今後4%ルールを用いて、FIRE・早期退職の成功の確率を高めるには、

①目標に合わせた計画を建てる
②ヒストリカルリターンに依存し過ぎない。
③コストに注意
④分散投資
⑤支出のコントロール(引き出し率も調整)

を考慮することが大切です。

もう一度4%ルールの前提条件を確認し、

このようなレポートも参考にしつつ、これからの日本人視点でどう応用すればよいかを考える事が大切かと思います。

今回紹介したレポートが何かのお役にたてば幸いです。

FIRE・早期退職を目指している方の成功を願っています。

個人的には必ずしも4%に拘る必要はないと思っています。また、必要な時に、必要な分だけ取り崩し戦略を好んでたりもします。

いつもありがとうございます。


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