バンガードS&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ

2015年からバンガードS&P500ETF(VOO)に長期投資してます。毎日、米国株や海外ETFを中心に投資・資産形成に役立つ情報を発信中。NISAやiDeCOも継続中。


【S&P500】

米国株式市場が好調だったこともあり、過去10年くらいのS&P500を切り取ると、一般的な理論とは異なり、全世界株式よりも株式よりもS&P500の方が「低リスク」であった。

この事実を過大に評価して、全世界株式よりもS&P500の方がハイリターン・ローリスクだという意見をSNSなどではたびたび見ようになった。

そういう発言を信じてしまう方が見落としている点が2つあるので今回は紹介したいと思う。

【2つの指摘】

①過去、特定の国や市場が10年単位でも、全世界株式よりもハイリターン・ローリスクになることは度々あった。S&P500が珍しいとか特別というわけではない。

②そういう国が次の5年、10年で調子が悪くなって全世界株式よりもローリターン・ハイリスクになったケースもしばしばあった。逆に次の10年「も」上昇を続けたケースもあった(80~90年代の米国、オーストラリアなど)。

つまり、よく言われることだが、過去5年、10年の成績と次の5年、10年の成績には相関がない。ということだ。


【オルカンよりもS&P500よりも優れていた日本株】
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あなたはもう忘れたか、あるいは若くて知らないだけだろうか

以前約20年間、全世界株式やS&P500をアウトパフォーマンスした国がある。しかもローリスクでだ。そんな国の指数に集中投資をしたら翌20年どうなっただろう。

1990年7月に書かれた古いレポートを読むと、日本株式市場への集中投資がものすごくよかったこと、教科書通りの国際分散投資が役に立たなかったことが書かれている。


総じて80年代の株式の海外投資の成果は,みじめなものであった。国際分散投資の基本理念はハイリターン,ハイリスクにあり,国際市場に投資することで各国市場の相関度の違い、成長サイクルの相異を利用しながら,ポートフォリオのリスクを軽減し,相対的に高い投資収益をめざすものである.

しかしながら図1に示すように80年後半の世界の株式市場をみまわすと,日本の株式市場のパフォーマンスが他を圧倒,85年1月から89年12月末までをとると,日本が年率27.5% (日経225),アメリカが17.8%(ダウ),イギリス14.5%(FT100)であり,日本の1人勝ちであった。

87年のブラックマンデイは各国市場は大きな傷あとを残したものの,日本市場はいち早く上昇に転じたことも大きく寄与し,ポラティリティ(標準偏差,リスク)も最も低く,ハイリターン,ローリスクと国際分散投資の前提をくつがえすような成果を挙げたわけである。

加えて為替面でも,85年はじめの1ドル=260円台から,88年の120円まで一直線で円が上昇した結果、外貨建ベースでは収益があがったにしても,円ベースでは散々のパフォーマンスとなってしまった.。

国際分散投資の成功条件をさぐる 阿部正樹 より

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この表は、時価総額加重での国際分散投資の限界と、国際分散投資の大切さ、その両方が窺い知れる良い表ではないか。


【まとめ】

国際分散投資や時価総額加重の限界や弱点を知りつつ、その時々アウトパフォーマンスする国や地域、ファクター、業種があることは当然だ。イチイチ騒ぐことではない。

その対象が過去10年くらいはS&P500やNasdaqだっただけのことだ。

でも、自身がが投資を始めてからやめるまでどの資産が最も良い投資対象だったかは事前にはわからない。

市場にはサイクルがあるから、どの資産もいい時期もあるし悪い時期もあるだろう。これをタイミングよく、かつコストを正当化しつつ乗り換えるのは至難の業だ。

そういう意味では丸抱えするオルカンは良いアイディアだろう。

S&P500がダメだと言っているのではない。

私自身S&P500に集中投資していたのだからどうして否定できようか。

過去5年、10年がよかったからという理由だけで集中投資をするのはどうなんだろうという話だ。

また、全世界株式やオルカンも、最高ではないし、万能でもない。

ただ、簡単かつ、低コストで、リスクを抑えつつ、世界中の株式市場に効率よくアプローチできる良い手段だと思う。

少なくとも間違った投資対象に集中投資をしたり、その他の多くの平凡なアイディア(多くのアクティブファンド)よりはマシな結果になる可能性を期待できる。

よく言われていることだが、教科書通りいくにせよ、博打を打つにせよ、

株式投資をするのであれば、株式投資のメリットだけではなく、株式市場や理論の限界をよく知ったうえで投資をすることが大切だと思う。

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