バンガードS&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ

2015年からバンガードS&P500ETF(VOO)に長期投資してます。毎日、米国株や海外ETFを中心に投資・資産形成に役立つ情報を発信中。NISAやiDeCOも継続中。


【S&P500一本もちで大丈夫?】

楽天トウシルに「S&P500一本持ちで大丈夫?

分散投資のコツという記事がありました。

S&P500連動の投資信託一本で大丈夫かという質問に対して、


ただし、投資可能額のすべてをS&P500連動型インデックスファンドに振り向けてもよいかというと、これはケースバイケースです。

市場が急落した時に保有株式を慌てて売却してしまう、いわゆる「狼狽(ろうばい)売り」のような事態を回避するためにも、分散されたポートフォリオを意識して作ることが重要です。

大筋の意見には同意できます。

自身の投資目的やリスク許容度、投資可能期間に合わせて資産配分を決めるべきですし、

例えば、米国マーケットの影響のみに依存するのが耐えられないのであれば、

より無リスク資産をもったり、基本通り全世界の株式に分散投資をするのも良いと思います。

異なる資産を組み合わせるのも有効でしょう。分散効果を高めるという意味では、長期的な視点で債券や金に配分するのも良いと思います。(個人的にはあまり好みませんが)

もちろん、リスクが許容できて、かつ米国が良いという方はS&P500一本でも悪いということはないと思います。


【りんりさんはツッコミたい】

では、なぜ、わざわざこの記事をとりあげたかというと、

この図にちょっとだけ違和感を覚えたからです。

この図はS&P500等との分散効果を示したものです。

端的に言えば、S&P500と金や高配当株インデックスの分散が高いとしています。

私はこの主張に疑問があります。

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※なお現在は「より高い分散効果を求めるなら、先述した高配当株のほか」と元記事下段にありますが、以下で指摘している高配当ETFの行がカットされており、いきなり金の話にとんでいます。


配当インデックスに連動するETFの規模でいうと、最も大きい配当系ETFは1位はVIG(個人的にこれを配当ETFと入れていいか迷うのですが)、2位はVYMとなっています。

VYMは楽天やSBIなどが、ETFを買うだけ投信を発売していますので、米国株投資家だけではなく、日本人の投信投資家の方にもなじみがあると思います。

VIGは「S&P US Dividend GrowersIndex」という、その名の通り高クオリティーで配当を支払う連続増配銘柄へのエクスポージャーを目指した、増配インデックスに連動するETFであり、

VYMは、「FTSEハイディビデンド・イールド指数」という、その名の通り、高配当インデックスとの連動を目指したETFで、全米国銘柄の中から大型株を中心に予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄で構成されています

では、VIGやVYMは、S&P500に対して、どの程度の分散効果があるのでしょう?

下の図はVOO(S&P500ETF)とVYMとの比較。

赤丸が米国マーケットとの相関。1が完全相関(1に近いほど米国株式市場≒S&P500との分散効果は薄い)

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画像はクリックで拡大できます。

S&P500ETFとVIGの相関  0.96
S&P500ETFとVYMの相関   0.93

運用資産残高トップ100に入っている高配当インデックスに連動するメジャーな配当ETFとして、あとSCHD(0.91)やSDY(0.88)がありますが、

こちらも米国株式市場との相関は高く=分散効果は低くなっています。

トップ100には入っていないものの、日本人投資家になぜか人気のSPYDが0.82とまだマシですがそれでも決して低くありません。

また、それはSPYDの設定来大型グロース株がS&P500を牽引したという市場環境もあるからで、今後グロース株が鈍化したり、バリュー株が米国株式市場を支えるようになると、逆に相関は高まると思います。

相関は変化します。

もちろん、高配当インデックスというのはこれが全てではありませんが、

元記事の主張、意図に沿い「分散効果を狙って、高配当インデックスに投資をする」を〇としているのにはものすごく疑問があります。



【S&P500と分散するなら】

確かに「S&P500と先進国」や「S&P500と全世界株式」は相関が高いので分散効果は薄いです。

でも、それは元々中身に、S&P500が含まれており大きなウェイトを占めているからでもあります。

(なぜ、△のところの比較対象をS&P500ではなく、先進国等としているのでしょう(笑))

そこからS&P500を取り出し、各地域ごとの相関を見てみると

相関は変化し、切り取る期間にもよりますが、設定来で比較すると

S&P500とVEA(先進国除く米)で0.90

S&P500とVWO(新興国)で0.79

S&P500とVXUS(米除く全世界株式)で0.85

となりますから、どうでしょうね

高配当インデックスに投資するよりは素直に地域を分散して

「S&P500+VXUSorVWO」の方が分散効果は高いのではとも思います。


あと、アップルとS&P500や全世界株式との相関はめちゃくちゃ低かったりします。

もっと検証期間を延ばすと0.5よりももっと下がります(笑)

今後はわかりませんが、過去は高配当インデックスよりも遥かに分散効果がありました(笑)

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画像はクリックで拡大できます。

もちろん、S&P500と全米株式、S&P500と先進国、

S&P500と金など正しい評価をしている部分もあります。

しかし、数字に基づいて考えるのであれば、あべこべというか

〇、△、×の評価に疑問を抱かざる経ない部分も数か所あります。

実は元記事内にある、もう1つの図の方にもツッコミたかったりもしますが長くなるので割愛します。

(今回は景気後退の可能性だけじゃなく、金利やインフレも考慮した方いいとか、そうすると図は変わってくるとか・・・・(笑))

※現在はこちらもカットされており見られなくなっています。また当時はなかった動画も追加されていました。

【今回の件から学ぶべき教訓】

楽天及び各証券会社、トウシル等の記事でもピンキリで、

良い記事もあれば、予想が当たる外れる以前に、理屈や理論的におかしい記事も多々あります。

初心者の方はそれを見分ける目を養うことが大切です

グラフや図でビジュアル的な印象で見せられると、

わかりやすくて納得してしまいがちになりますが、

まず、最低限印象ではなく数字を使って判断しましょう。

数字も絶対ではありませんが、イメージや印象よりは間違いを防ぐことができます。


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一級建築士矩子の設計思考 より


また、必ず「自分自身」で情報の元、一次ソースを調べたり、分析する癖をつけてください。

トウシルの記事だからと言って、この記事を妄信し紹介するような情報発信に、私はなりたくありません。

それが面倒なら変にあれこれ手を出さず、

全世界株式インデックスファンドに投資をしましょう。

全世界株式で不安ならばまずはリスク資産と無リスク資産の比率を考えましょう。


私はもう約7年ほどS&P500ETF(VOO)に投資をしていますが、

その間ずっとVOO組み合わせるなら何がいいか考えてきました。

いくつか良さげなアイデアはありましたが、

「分散効果」という意図であれば、高配当インデックスを加える優先度は×並みに低い(もっと良い方法はある)と私は思います。

少なくともあの〇✕△を鵜呑みにしない方が良いと思います。

限られた自分の資産をどう配分するかですし、その責任を負うのは自分自身なので、よく考えて投資判断しましょう。

私の記事を含めて、投資記事を読んだら必ず疑問を持ち疑ってかかるようにしましょう。

それが脱初心者のために一番重要なことだと思います。

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