バンガードS&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ

2015年からバンガードS&P500ETF(VOO)に長期投資してます。毎日、米国株や海外ETFを中心に投資・資産形成に役立つ情報を発信中。NISAやiDeCOも継続中。


【PER基準のポートフォリオ変更は有効か?】

ウォールストリートジャーナルに、米ジョージメイソン大学ビジネススクールの金融論の教授、デレク・ホーストメイヤー氏が書いた面白い記事があったので紹介します。

同氏は、株価収益率(PER)に基づいて、株・債券の保有比率を変える戦略のリスク・リターンを検証。この動的なPF戦略について、持論を展開しています。

【市場タイミングを計る指標】

筆者らが分析した戦略は、株式市場全体の株価収益率(PER)を基準に、株式から債券にポートフォリオをシフトするというものです。

PERが上昇した際は、株式は割高で、調整が入ってもおかしくないため、株式から債券にポートフォリオの一部を移動させるといった感じです。

より具体的には、古くからウォール街で有効だとされていた戦略に従い、イエール大学のロバート・シラー教授が考案したCAPEレシオが、

12倍未満なら、株式70%・債券30%のポートフォリオに。

12~20倍なら株式50%・債券50%に。

20倍を超えたら株式30%・債券70%にポートフォリオに移動するというもの。

※株式=S&P500 債券=米国総合債券インデックス

このバリュエーションベース・ポートフォリオ戦略の長期的なリスクとリターンを以下の3つの期間で検証し、その結果を、株式50%・債券50%の状態を維持しただけの基準ポートフォリオと比較しました。

①1949年以前
②1950~1999年
③2000年~現在


【結果】

①1949年以前()内は基準PF、リターンは年率。

リターン 5.61%(5.18%)
リスク  14.13(11.81)

②1950~1999年

リターン 7.93%(8.75%)
リスク  8.49(8.14)

③2000年~現在

リターン 5.43%(7.37%)
リスク  6.80 (8.04)

分析の結果、1950年代より前は、株式のバリュエーションが高い時期に、株式から債券に移行するポートフォリオ調整が奏功した可能性があることが分かりました。

ただ、それ以降はあまりうまくいかず、特に2000年以降は、市場バリュエーション戦略をとっていた場合、株式50%・債券50%のバランス型ポートフォリオよりも年間リターンが約2%劣る結果となりました。

また、1950~99年末にはバリュエーション戦略は、バランス型ポートフォリオよりも大きなリスクを取っている割にリターンは劣るという結果になりました。

【補足】




米国市場のバリュエーション指標は2000年以降、市場全体に占めるハイテク株の割合が大きくなったことで、過去水準を明白に上回っている、と指摘する投資家もいるかもしれない。

そこで、PERベース戦略にチャンスを与えるべく、債券と株式の配分を決めるPERを25~15倍に設定して、再度計算を行った。

この新しい取引ルールに従った場合でも、バリュエーションベース・ポートフォリオの年率平均リターンは5.73%で、基準ポートフォリオの同7.37%に届かなかった。

個人的には金利の影響やマネーストックも考慮した検証をしてみても面白いのかなとも思います。

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【まとめ】

この記事で、ホーストメイヤー教授は、

少なくとも現在の近代的市場においては、このような戦略がほとんど功を奏しないことが分かった。

このような結果は、市場は効率的であり、投資家がリスク調整後の超過リターンを長期にわたり獲得することはできない、と考える人々の説得力を高めるものだ。

と結論付けています。

検証期間が、3つの期間しかないため何とも言えませんし、市場は完全に効率的とは思わないものの、

指標や市場の雰囲気(割高感、割安感)を見て、動的に資産配分やポートフォリオを動かす戦略の難しさが改めて示唆される結果となりました。

また、実際には、PFを動的に動かすことにより、コストや場合によっては税金がかかりますから、実際に投資家が得るリターンはより押し下げられる可能性もあります。

投資家がリスク調整後の超過リターンを長期にわたり獲得することはできないとは思いませんが、それはとても難しいと私は思います。

少なくとも私自身にとっては難しすぎる事なので、基本に忠実に、市場タイミングを計らず、コストを抑えつつ、ただ黙って市場に居続けたいと思います。

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