【個人投資家はどう投資すればよいか?】
私がとても尊敬する投資家の一人、スピッツ・ナーゲル氏が、
景気後退のリスク、それらによる株式市場暴落が懸念される中、
個人投資家はどのように投資すればよいか。
WSJのインタビューで語っていたので紹介します。
【暴落を利用して莫大な利益を得続けてきた稀代の投資家】
さて、まずはスピッツ・ナーゲル氏について簡単に紹介したいと思います。
スピッツ・ナーゲル氏率いるテールリスクファンド「ユニバーサ・インベストメンツ」は、コロナショック渦の2020年3月に+3612%。
2020年、1~3月期で+4144%のリターンを記録しています。
同ファンドは、「ブラック・スワン」の著者ナシーム・タレブ氏がアドバイザー。
「ブラックスワンの回避法 」のマーク・スピッツナーゲルが社長、兼最高投資責任者を勤める、極端な株式市場の下落から利益を得る方法に特化したファンドです。
市場の暴落や不確実性について語らせたら、右に出る投資家はそうはいません。
【真似たフェイクファンドは消えていった】
リーマンショック後、このようなコンセプトのファンドは一時人気となり、似たようなブラックスワンファンドが多く誕生しました。
しかし、その後の上昇相場でほとんどのファンドが姿を消していきまいた。しかし、スピッツ・ナーゲル氏のファンドは現在でもなお上手く運用を続けています。
また、スピッツ・ナーゲル氏等は、コロナショック以外にも、ブラックスワン、ITバブルやリーマンショック、2015年の下落時などに荒稼ぎしています。
2020年3月にS&P500指数は12.51%下落しましたが、もし仮にS&P500に96.7%、ユニバーサ・インベストメンツに3.3%投資していれば、リターンは±0となっていました。
リーマンショック前の2008年3月から同配分で投資をした場合、S&P500、100%のポートフォリオより、年率リターンが約3.6%改善しました(過去記事参照)。
【個人投資家はどうすればよいか】
しかし、このナーゲル氏のファンドは機関投資家を対象としたファンドで、とてもじゃありませんが、普通の個人投資家が投資することはできません。
ただ、これを再現しようとしたプロのファンドがことごとく失敗していったように、
個人投資家もこのファンドを変に再現しようとして、リターンを損ねている。とナーゲル氏は指摘します。
【ナーゲル氏の指摘】
その手法はさまざまで、経済動向を予測して市場のタイミングを計ろうという慢性的なミスを犯したり(ナーゲル氏はタイミング戦略に元々否定的)、
ヘッジ手段とうたわれている商品や投資を利用したりしています。
その一例はSQQQです。これはナスダック100指数の日々のリターンに対して3倍逆の動きをするものです。過去12カ月間の上昇率は32%となっている。
だが、それを長期保有すると恐ろしい結果が待っていることを投資初心者の多くは理解してません。
SQQQは2010年の設定以降、その価値が99.9%減となっています。
短期の場合も、過去1年では、5%以上の下落した日が45日、10%以上も7日あったため、タイミングを少し間違った場合も痛手となっている。
SQQQを例に出しつつ、個人投資家が先物やデリバティブ、ヘッジ商品などを用いて「ユニバーサ・インベストメンツ」のように暴落から利益を得るのは難しいとしています。
【個人投資家はどうすれば】
では、伝統的な株と債券、60/40ポートフォリオはどうでしょう?
2022年は年初来約‐16%でイマイチなリターンとなっていました。
伝統的なヘッジ手段である金も2022年の暴落時は‐9%、デジタルゴールドと期待されていた、暗号資産(仮想通貨)ビットコインはそれよりもはるかに悪く‐57%となりました。
金や債券については、ある程度大きな比率でPFに加えないとヘッジ効果がないため、リターンを落としてしまう可能性があるとも指摘しています。
【結論】
こんな八方塞がりの中、ナーゲル氏の個人投資家へのアドバイス、
その結論は至ってシンプルです。
「株を買って長く保有するだけ」
株価暴落が迫っているとしても、株式への長期投資は資産を最大化する方法だ。
としています。別の機会ではS&P500インデックスファンドを勧めています。
あの悲観論者で、暴落の専門家とも言えるナーゲル氏回答は、
意外にもウォーレン・バフェット氏等と同じように「株式の長期保有」でした。
ちなみに、機関投資家にはS&P500を97%、自身のテールヘッジファンドを2~3%保有することを普段は勧めています。
ただ一般投資家には投資できないファンドのためこういう回答なのでしょう。
戦略はものすごく単純だが、なかなか実行できない人が多いのも確か。
私は今後FRBの積極的な引き締めや、景気後退が起ころうとも、いつもどおり通り、バイ&ホールドを続けていきたいと思います。
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