【一括投資とドルコスト平均法】

バンガードがおもしろい研究論文を公開していたので簡単に紹介します。

https://corporate.vanguard.com/content/dam/corp/research/pdf/cost_averaging_invest_now_or_temporarily_hold_your_cash.pdf

1976年から2022年のMSCIワールド・インデックスを用いて1年後のリターンを測定した結果、一括投資が68%の確率でドルコスト平均法を上回りました

しかし、ドルコスト平均法で投資をした場合であっても、現金100%で運用するよりましであり、69%の確率で現金を上回りました。(一括投資は70%の確率で現金を上回りました)

一括投資と3カ月のドルコスト平均法の比較。ドルコスト平均法は一括投資と等しい額を3等分し、1/3ずつ毎月投資をする。投資は株式100%で行われており、投資されていない部分には利息はつかない。現金は3カ月物の米短期債のレート

また、地域別でみても同様の傾向が見られ、米国、米国を含む先進国、イギリス、オーストラリア、カナダ、EUなど、一括投資のリターンの方が上回りました。


【3つのポートフォリオの比較】

 一括投資 黄色 ドルコスト平均法

株式はMSCIワールドインデックス

債券はブルームバーグ米国総合債券インデックス

株式100% 株式60%・債券40% 株式40%・債券60%

10,000ドルで投資を始めた時、一括投資と3カ月ドルコスト平均法(10.000ドルを3等分し、一カ月間隔で投資する)の一年後のリターンの幅(1976~2022年)

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ほとんどのケースでドルコスト平均法よりも、一括投資の方がよいリターンを生み出しました。

しかし、「一部の最悪の市場環境下(25%タイル未満)」では、一括投資の損失の方が「やや」大きくなりました。

期間を1年ではなく、5年に延ばしても、一括投資の方がリターンを生み出すという結果は変わりません。



【3カ月ドルコスト平均法についての補足】

「いや、3カ月のドルコスト平均法だからだろ」とか、「なんで3カ月?」と思った方もいると思います。

これに関しては、端的に言えば、ドルコスト平均法のやり方についても、いろいろ研究した結果これが良かったという話です(笑)。

例、世界の各市場で、一括投資がドルコスト平均法を上回った確率。3カ月のドルコスト平均法が最も健闘している。

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 Hit ratio is defined as the outperformance of one strategy against the other after a one-year investment period. One-year rolling investment performancecompares LS against CA. Our base case for CA is the three-month split, meaning splitting the investment into three equal parts and investing each one monthapart. Data are based on: for the U.S., the Russell 3000 Index, 1979–2022; for the U.K., the FTSE All-Share Index, 1986–2022; for Canada, the S&P/TSXComposite Index, 1985–2022; for Europe, the MSCI Europe Index, 1998–2022; for Australia, the S&P/ASX 300, 1992–2022; for emerging markets, the MSCIEmerging Markets Index, 1988–2022; and for global returns, the MSCI World Index, 1976–2022 (for USD and GBP) and 1998–2022 (for EUR).

逆に、この論文を書いたMegan Finlay氏等は、

「一括投資よりもドルコスト平均法が良いと考えるリスク選好度の低い投資家であっても、現金を維持することの機会費用を最小限に抑える必要がある」として、3カ月程度の短い期間でのドルコスト平均法を提案しています。

年初一括つみたてNISAが一時期話題でしたが、それに抵抗がある方でも、12カ月ドルコスト平均法の前に、年初から(投資可能な月)から3カ月ドルコスト平均法を考えてみたり、

そういうアイディアもあるというこを覚えておくと言いでしょう。

過去記事で紹介しましたが、実はウォーレン・バフェットもS&P500への投資について、似たような主旨のことを言っていました。

【定量化した結果】

バンガードのFinlayと共同研究者のZornは、こんな感じで、様々なタイプのポートフォリオとドルコスト平均法の期間の長さをテストしました。

更に、全ての投資家が純粋に資産を最大化することを目的にしているわけではなく、大きな損失を回避するためであれば、ポートフォリオの成長を緩やかにすることの方に価値を見出す人もいる可能性があるとして、

損失を嫌う投資家が低リスクのドルコスト平均法を好むことを定量化することを試み、

リスク回避と損失回避のレベルが異なる仮想の投資家を考慮した効用モデルを構築し、各投資家がどちらの戦略を好むかを判断しました。

その結果、損失回避の度合いが大きい投資家は、ドルコスト平均法戦略の方が適している可能性があることがわかりました。


【まとめ】

そして彼らは最終的にこう結論づけています。

ほとんどの投資家、特に損失をあまり嫌わない投資家であれば、すぐに一括投資をする必要があります。(また、ほとんどの市場環境においても)

また、損失回避性の高い投資家であっても、ドルコスト平均法の期間を3ヶ月など、比較的短くすることで、機会費用を最小限に抑えることが最善です。

ただ、ドルコスト平均法戦略は、現金100%のままも優れており、適切に実施すれば、リスクを嫌う投資家により適している可能性があります。

とのことです。

三行でまとめると、

ほとんどの投資家にとって基本はリスク許容度の範囲内で一括投資。

一括投資を嫌う投資家であっても短い期間のドルコスト平均法が良い。

現金の状態のままずっともっておくよりは、ドルコスト平均法でも投資をした方が良い。

こんな感じですね。

私自身は、理論や理屈、合理性を重視しており、コロナショックでも全く何も感じないくらいのリスク許容度なので一括投資が好きですが、

ここら辺は人それぞれ差があることをSNS等を通じて痛いほど知っています。

なので、他人に無理強いする気は一切ありません。

知識を正しくしることがまずは重要なので、

理論的には、あるいは複数の信頼できる研究においても、「一括投資の方が合理的で良い結果となる可能性が高い」と言うことを一旦知ったうえで、

あえて無視したり、自身の性格や戦略、投資環境に合わせて上手く落とし込むことが大切だと思います。(給料から毎月一括投資など)

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