イギリスの過去100年間
以下は覇権国から転落した、
イギリスの過去100年間(1900~2000年)の各資産の実質リターンのグラフです。
株式 幾何平均 5.8% (10.1%)
算術平均 7.6% (11.9%)
債券 幾何平均 1.3% (5.4%)
算術平均 2.3% (6.1%)
()はインフレ調整前のリターン、ドルベース。
シーゲル教授の例のグラフのイギリス版といった所でしょうか?
短期的には上下があるものの、なかなか見事な右肩上がりのブラフだと思います。
イギリスと言えば、大英帝国として
19~20世紀初頭まで世界の覇権を握っていました。
覇権国から転落=株価の暴落。
成長やリターンは望めない・・・とは「限らない」のが、
まずはお分かりいただけると思います。
スペインの場合
もう一つ前の覇権国といえばスペインですね。
それでは覇権を失った後のスペインを見ていきましょう。
こちらはスペインの1900年~2000年の各資産のチャート(インフレ調整前)となります。
株式の年率リターンは名目リターン10.0%(実質リターン3.6%)となっています。
1970年代以降の急激なインフレによって、実質リターンが圧迫されていますが
株価自体は右肩上がりに、覇権国から転落後も伸びていることがわかります。
こんなに、身近かつ簡単な反例が複数あるのになぜ無視するのでしょう。
オランダも同様に覇権国から転落後も株価は上昇しています。
また、そもそも覇権国になった事のない国の株式市場も上昇しています。
参考 シーゲル教授 「株式投資より」
覇権国と株式市場のリターンはどの程度関係があるのでしょうか?
【未来はわからないが】
もちろん、歴史を振り返れば覇権国から転落し、
国自体が無くなってしまうケースがあります。
その前の段階でデフォルトしてしまうなどの事例もあります。
ただ、最近はあのアルゼンチンのメンバル指数も上昇しています。
安易に考えすぎてもよくないのですが、
例えば、米国の場合は、覇権国から転落して、2位、3位、もしくは4位以下になったとしても
資本主義や民主主義、株式市場のというシステムが続く限りは、
あるいは人類がある程度合理的であり続ける限りは、
リスクを引き受けた投資家にある程度のリターンをもたらしてくれるのではと思っています。
近年の米国株式市場のリターンが低金利や緩和政策の追い風を受けていたことは否定しません。
今後、多少成長は緩やかになるかもしれませんが、
以前はある程度の金利やインフレの中でも株価を上昇させてきたわけですし、
過去、幾多の危機を乗り越えてきた米国の底力などと合わせて考えてみれば、
個人的には、覇権国から転落しようとも、ある程度はやってくれると思います。
できればS&P500好き投資家としては、
このままトップを走り続けて欲しいのですが、
2、3位になったからといって慌てることではないと思います。
(もしかしたらその方が、対英、対独、対ソ、対日とライバル国を潰してきたの時のように、お尻に火がついて米国が更に成長するかもしれません(笑))
【どうすればいいか】
レイダリオ氏は中国が覇権をとると予想し、中国に活路を見出していますが、
個人的にはその意見には疑問がありますし、
仮に中国ががっつりと覇権を取ってしまえば、
日本人視点で見れば、割と株価や中国株どころではなく、資本や生命、安全に対するリスクを懸念しなくてはいけない事態になり得る可能性もあるのではと思います。
まあ、それはさておき、米国が覇権国ではなくなるという話はまだわかります。
では、どうすればいいか。が割と重要だと思います。
なかには、このレイダリオの意見を持ち出し不安を煽り、変な投資戦略や商材を勧める人もいるので注意しましょう。
以下は、特段変な戦略ではないのですが、
個人的に「米国は覇権国から転落する」の後に、よく続く投資戦略について、私個人の意見を簡単にまとめたものです。
〇全世界株式は①簡単に②世界中の市場に分散して③低コストで④株式投資ができる。という点でやはり王道だと思います。
米国の比率が高くて不安であれば、時価総額ではない比率で投資をしたり、資産配分を調整したり、のもいいと思います。
〇金は、意見が分かれると思います。個人的にはコスト等を考えると特に資産が小さいうちは不要ですが、分散として資産の一部に組み入れる方の意見もわかります。
〇ショートは、タレブらのように、余程うまい人以外は長期的にはやられてきた戦略なので、初心者の方や中級者の方であっても個人的にはあまり薦める気にはなれません。
〇仮想通貨はわかりません。税金の他、制度・法改正のリスク等もあります。
分散という意味でも、仮に米国が覇権から転落し、米国株が下がった際は、これまでの下落時の状況を見る限り、仮想通貨も一緒に下がるかもしれません。
あとは何があるでしょう?
【結局、自分にできることをやることが大切】
まあ、でも、多少覇権国が変わろうとも、資本主義や株式市場というシステムが生きている限りは、まずまずのリターンをあげてくれると個人的には思いますし、
米国株や株式に頼ったり、依存しなくていいくらい、世界のどこでも稼ぐ力をつけたり、資産を築くことが大切だと思います。
つまり、自分の出来ることに注力するのが一番ということです。
そして、覇権から転落することに対して騒ぎ過ぎだと思います。
もし、オランダやイギリス以上のこと、
民主主義や資本主義、株式市場崩壊や日本とどこかの戦争など、それ以上の事態を想定しているのであれば、
厳しい環境下でも生きていけるサバイバル力や、世界中どこでも稼いだり、生活できるバイタリティーを磨いたり、健康やいざという時逃げたりする体力などを鍛えていく必要があります。
つまり、結局自分にできることに注力して、自分の身や資産を守るのが大切ということです(笑)
また所詮、一個人にできることには限界があります。
ヒャッハーな世界にしないために、選挙に行ったり、皆が力を合わせて、
思いやりや矜持、規律をもって、ある程度合理的に生活することが大切だと思います。
人類や社会、世界全体がより優しく、合理的で、良い方向に向かうことを願っています。
未来はわかりませんが、わからないのをいいことに過度に騒ぎたてることを私はあまり好みません。
それよりも、わからないことを受け入れつつ、他にたくさんあるであろう、今と未来の自分のために、すべきことやできることに、日々全力で取り組んだ方が良いと私は思います。
いつもありがとうございます。
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