【クイズです】
100万円を預金口座に預けました。金利は2%だとします。
5年後には口座の残高はいくらになっているでしょうか?
次の中から選びなさい。
①110万円より多い。
②110万円
③110万円より少ない
④わからない
2011年に金融広報中央委員会が行った『金融力調査』の中の一問です。
素直に考えれば(ひねくれて考えなければ)正解は①ですよね。
電卓を叩くとわかりますが、約110万4千円になります。
でも、日本人の回答者3531人のうち正解できたのは、30.5%しかいませんでした。
※但し、対象預貯金の商品性が明示されていないため、正解以外の回答者の中には、預貯金の商品性や税務等を考えて回答した者がいる可能性があると調査では指摘されています。
現代の日本人は単利よりも圧倒的に複利の計算が苦手なようです。
同様の調査がドイツとイギリスで行われていますが、
それぞれの正解率はドイツ47%、イギリス37%でした。
もしかすると、地球人は単利より複利計算が苦手なのかもしれませんね(笑)。
もしかすると、地球人は単利より複利計算が苦手なのかもしれませんね(笑)。
【実は数学に強かった日本人】
「武士や農民が数学で腕比べ 和算文化は江戸の華 」と言われるように、
世界最高水準だった江戸時代の「和算」を始め、
日本人は比較的数字に強い、あるいは数学に親しみのある民族でした。
明治維新を経て、西洋算術が入ってきますが、
日露戦争の行われていた、
1905年当時の高等小学校3年(現在の中1)の算術の教科書の中身はこんな感じでした。
「経済学のセンスを磨く 」より引用
1905年の高等小学校3年生(現在の中学1年生)の「算術」の教科書には、
複利の計算問題が数多くあるのだ。
この学年では、分数、歩合算、比例の3つを算術で学ぶ。
分数は、現在の教科書とあまり変わらない内容だ。
しかし、歩合算の部分は、ずいぶん異なる。
まず、割合やパーセントという歩合の定義を学んだ後に、並んでいる学習項目はつぎのものだ。
租税、公債及び株式、公債証書及び株式の売買、保険、単利法、為替、手形・手形の割引、複利法又は重利法、貯金及び預金となっている
【実はものすごく進んでいた日本の金融教育】
数字どころかものすごい金融教育が行われていますよね。
今でも「算数や数学の授業は大人になってから役に立たない」という子供がいるそうですが、
あるいは、社会に出た後「税金やお金のことよくわからない、なんで学校で教えてくれないのよ」という大人も多いと聞きますが、
それぞれに対する皆様からのツッコミは予想できます(笑)
公式の暗記や計算の演習だけではなく、
こういう明治の算術のように、より実生活に絡めて
、数学や数字の「使い方」「どう役立つ(役立てるのか)」などを、
実践的に教えれば、そういう意見は減ってくるのではないかなと思います。
租税の項目では、まず国税(地租、所得税、営業税、消費税、関税等)、
府県民税(地租割、営業税、戸数割、雑種税)、
市町村税(国税及び府県税の付加税等)という定義があって、
税率を定義した際の実際の税金がいくらになるか、という計算問題が出されている。
公債及び株式では、公債の利子率、株式の配当率が与えられたときの利子額や配当金額を求めさせている。
公債証書及び株券の売買という項目では、「公債又は株式を買入るれば、実際の利回りは、その買価によりて、公債の利子歩合又は株式の利益配当歩合よりも高きことと低きこととあり」と市場価格によって利回りが変動することを教えている。
その上で、様々な売買条件のもとで利回りを計算させている。
こんな算数の授業楽しいに決まってますやん(心の声)!!
こんな授業とテストなら、個人的にはおそらく自発的にもっと、もっとと勉強したい熱が
ITバブルより過熱したと思いますし、
社会に出てからも、実生活でも仕事や投資でもめちゃくちゃ役に立つと思います。
【まとめ】
この頃の高等小学校の就学率は9割近くに達していたそうですから、
当時の日本人の金融リテラシーは今よりも高かったかもしれません。
今、ようやく高校家庭科で金融教育が始まり、
金融庁も「中学生・高校生のみなさんへ」と中高生向けに金融教育に力を入れだしました。
これはとても素晴らしいことだと思います。
でも、120年近く前の日本ではもっともっと進んだ金融教育が行われていたわけですから、
数字や金融に強かった、江戸時代や明治時代の当時の人々に笑われたり、
「(未来の日本は)どうして、こうなった」と心配されないように(笑)、
若い人たちも、そして大人である私達も、
数学や金融知識をどんどん身につけていくことが大切だと思います。
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