
【悪い円安の流行】
昨年、誰がたきつけたかはわかりませんが、悪い円安が話題となりました。
日経新聞や毎日新聞をはじめ、一部のマスコミ、一部の野党、一部のインフルエンサーは、
悪い円安によって、「日本の経済の危機だ。景気後退が起きる。日本の株式市場がやばい」というに、不安を煽るような内容の解説をしていました。
また、22年7月の参議院選挙では特に野党を中心に「円安を是正して円高に戻せ」「金融緩和を解除し、金利を上げろ」という議論が行われていました。
参考 悪い円安のトレンド

【TOPIXの過去一年のチャート】

しかし、蓋を開けてみれば、日経平均もTOPIXも過去1年、あるいは最も話題になった昨年4月から見ても10%以上上昇しました。
これを受けて、日経新聞は「消えた「悪い円安」 株高との好循環再び」という手のひら返しの記事を公開しました。
外国為替市場のドル・円相場は、日本政府が約24年ぶりの円買い介入を実施した昨年の水準に近づいている。株高を伴いながら円安が進んでいるためか、当時のような「悪い円安論」は聞かれず、円安阻止に向け切迫感が高まる気配は今のところない。
ドル・円は25日に昨年11月以来となる1ドル=140円台に上昇した。年初から6%以上ドル高・円安が進み政府・日本銀行は昨年9月、145円付近まで円安が進んだ後、143円台で介入準備のために市場参加者に相場水準を尋ねるレートチェックを実施。約1週間後に1998年以来となる円買い介入を行った。
こうして振り返ってみると、当時あれだけ悪い円安と騒いだのは何だったかと思いますよね。
今日はこの記事の感想を少し書いていきたいと思います。
【日経新聞の振り替えり】
そもそも日経新聞は当時から「悪い円安」を指摘する一方で、
「円安に良いも悪いもない」という真逆の(経済学的には真っ当な)記事を載せていたり、
2022年11月19日に、2022年初頭から急速に進行した円安は、なぜ「悪い円安」となったのか。という内容の書籍を日経プレミアムシリーズから発売していたりと、「悪い円安 良い円安 なぜ日本経済は通貨安におびえるのか」
と、ちぐはぐに、一貫性のない、複数の異なる意見を掲載していました。
【高橋洋一氏の解説】
「円安に良いも悪いもない」や「悪い円安」に対しては、
高橋洋一の解説(ツッコミ)動画がわかりやすかったので興味のある方はぜひご覧ください。

日本や円に限らず、各国とも基本的に自国通貨安は、自国の経済にとって有利に働くというのが基本です。
もしかしたら、昨年の「悪い円安」ブームの時に公開されたこの動画の方がわかりやすいかと思います。
【まとめ】
投資家はアベノミクス 円高を是正して円安にもっていくことで、日本経済を復活させようという政策意図に大いに期待し、歓迎していたはずですが、
なぜ去年の今頃には急に円安が悪いとされ、騒がれていたのでしょうか。
どこかに「悪い円安」と騒ぐことで得をする人でもいるのでしょうか?
それとも今までの発言や社説と整合性を取るために、円安を悪く言わないと都合の悪い新聞社でもあるのでしょうか?
私にはよくわかりません。
そもそも、米国の利上げが円安を誘発しているわけですから、いくら「円安が悪い」と叫んだところで、米国のインフレが落ち着き、高い水準のFF金利がある程度のところに落ち着くまでは、この問題は解決しません。
投資家であれば、そういうマスコミやインフルエンサーの不安煽りに乗って騒ぐよりも、自身にできることをやった方がいいと私は思います。
【今回のポイント】
さて、長くなりましたがまとめます。
たびたび話していますが、「日経新聞」といっても、記者のレベルは大きく異なります。
良いや普通の記事と、金融理論や経済学の基本からずれた「???」となるような記事が点在していることに注意する必要があります。
これはWSJとか、楽天のトウシるとかも同じです。
ですので、各記事を書いた記者の名前をよく覚えておくとよいかと思います。
この記者は良い記事を書く。勉強になる。この記者はたいそうなタイトルをつける割に、投資理論の基本すら知らず、変なことを書くから読んだり、真剣に考えるだけ時間が無駄だ。とわかるようになります。
具体的には私はWSJなどジェイソン・ツバイク氏の記事などが好きです。(逆に、トウシるの某女性筆者の方の記事を読むと????となります)
まあ、ポディティブにとらえると変な記事に心の中でツッコミを入れことで勉強になります(笑)。
今はYOUTUBEやネットで学べるとよく言われています。
それはその通りだと思いますが、その一方で間違った情報や変な情報もたくさんあります。
ですから、耳学問をする前に、一旦、金融理論などの基本を学び、多少情報の良し悪しが多少なりともわかるようになったうえで、そういう媒体に触れていくのが良いと思います。
最後に投資の入門書としてお勧めの書籍3冊を紹介して終わりたいと思います。
〇この1冊ですべてわかる 金融の基本
〇ファイナンス理論全史
〇投資と金融がわかりたい人のための ファイナンス理論入門
あとは証券アナリスト証券のテキストとかもお勧めです。
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