「VIG」について
最近バンガード・米国増配株式ETF「VIG」が、
少し話題なので、個人的な意見を述べていこうと思います。
一言で言えば、
名前のイメージに騙されてはいけないETFです。
※この記事は2020年に書いたものです。
直近の成績
直近3年のトータルリターンをVOOと比較した場合
VOOが0.92%なのに対し、VIGは2.74%。
直近5年のトータルリターンで見た場合も
VOOが3.84%なのに対し、VIGは4.68%と、
S&P500ETF(VOO)や同じバンガード社の高配当ETF「VYM」を上回るトータルリターンを残しています。
ETFの分配金や増配率は普通
過去の分配金利回りはおよそ2%前後。
ETF自体の分配金の増配率は割と普通で、
前年より減ったこともあります。
これらの点から、あまりVIGを好まないという投資家の方もいます。

VIGの長所はボラティリティの低さ

(上のチャートはVYMと比較するため06年11月からとなります)
設定された、2006年から比較した場合、
SPY(S&P500ETF)やVYM(高配当ETF)よりも高いトータルリターンと
低いボラティリティを残しています。
特にボラティリティの低さは長所で
例えば、
金融危機のあった2008年のトータルリターンは、
VIG -26.69%
また、18年年末の急落の際や
現在のコロナウィルスによる下落時も、
最も下落幅が少ないのはVIGでした。
VIGのリターンの源泉
VIGの特徴としてバンガードの公式HPを読むと
〇10年以上連続して増配の実績を持つ米国大型企業で構成されたETFです。
〇大型株の中でも前年比増配の実績を持つ銘柄に重点が置かれています。
〇増配の可能性が低い銘柄やREITは除外されています。
と記されています。
しかし、これだけだと、
なぜ、上記のような結果になるか少しわかりづらいかもしれません。
そこでファクター戦略の面からアプローチしてみたいと思います。
ファクター分析
2006年6月~2016年2月年までの間
VIGのリターンを5ファクターによる回帰分析を行った結果、
市場ベータ 0.93 → 市場平均よりリスクが少し低い
バリュー 0.14 → バリュー(銘柄)にややよっている
クオリティー 0.34 → クオリティーの高い企業が多い
モメンタム 0.01 → モメンタムはほぼ0
サイズ -0.09 → 平均より大型株が多い
となることがわかっています。
このことから、VIGは、
クオリティーファクターの影響を強く、
バリューファクターの影響やや受けているETFだということがわかります。
クオリティーファクターの特徴
クオリティーファクターの特徴として、
①利益のボラティリティが低い(安定している)
②利益率が高い
③資産回転率が高い
④財務レバレッジが低い
⑤営業レバレッジが低い
⑥銘柄特有のリスク(マクロ経済に関係のないリスク)が小さい。
つまり、簡単に言うと、
収益性が高く、安定し、成長し、
下落相場に強い企業であるという特徴を有しています。
クオリティープレミアム
また、1927年~2015年の間
クオリティープレミアムは市場平均より年平均3.8%高いリターンを残してきました。
とくに配当性向の高いクオリティー企業は高いパフォーマンスを残しています。
参照 ファクター投資入門より
VIGはこのクオリティーファクターへのエクスポージャーが高いETFとなっているのです。
つまり、VIGとはクオリティーが高くかつ若干バリューより(割安or割高でない)の米大企業が集まったETFだといえるのです。
私はこの点が好きです。
(そもそも、そういう企業でなければ、長期に渡って安定し連続増配することは難しいですしね。)
VIGの構成銘柄
以下のVIGの上位構成銘柄をみればよりイメージしやすいと思います。

強い!
いくつかの懸念
更にVIGは10年以上連続して増配の実績を持つ米国大型企業に限定されています。
これは長所でもあり、分散が乏しくなるという短所でもあります。
市場平均を下回る事も。

まとめ
バンガード米国増配株式ETF(VIG)について簡単にまとめました。
まず前提として、
ものすごい低コスト「経費率0.06%」だということ。
そしてバンガードが10年以上運用しているという安心感があります。
ファンド純資産も520.14億米ドルあります。
そして個人的には、VIGは、ETFそのものの「分配金」を狙うのではなく、
連続増配企業に投資することで、クオリティー&バリューファクターへのエクスポージャー有し、
ボラティリティや下落幅を抑えつつ、ディフェンシブに高い「トータルリターン」を狙うことのできるETFだと思っています。
私は市場にパッシブ運用をしているため、VIGに投資をする事は一生ないと思います。
でも、全然嫌いではない、むしろ好きなETFの一つです。
あとは各々自由に判断して頂ければと思います。
知らなかった方や興味のあった方、
気になっていた方などの少しでもお役に立てたのなら幸いです。
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最近バンガード・米国増配株式ETF「VIG」が、
少し話題なので、個人的な意見を述べていこうと思います。
一言で言えば、
名前のイメージに騙されてはいけないETFです。
※この記事は2020年に書いたものです。
直近の成績
直近3年のトータルリターンをVOOと比較した場合
VOOが0.92%なのに対し、VIGは2.74%。
直近5年のトータルリターンで見た場合も
VOOが3.84%なのに対し、VIGは4.68%と、
S&P500ETF(VOO)や同じバンガード社の高配当ETF「VYM」を上回るトータルリターンを残しています。
ETFの分配金や増配率は普通
過去の分配金利回りはおよそ2%前後。
ETF自体の分配金の増配率は割と普通で、
前年より減ったこともあります。
これらの点から、あまりVIGを好まないという投資家の方もいます。

VIGの長所はボラティリティの低さ

(上のチャートはVYMと比較するため06年11月からとなります)
設定された、2006年から比較した場合、
SPY(S&P500ETF)やVYM(高配当ETF)よりも高いトータルリターンと
低いボラティリティを残しています。
特にボラティリティの低さは長所で
例えば、
金融危機のあった2008年のトータルリターンは、
VIG -26.69%
VYM ー31.91%
SPY -36.81%
と、VIGが最も(S&P500ETFより10%以上)下落を抑えることに成功しています。SPY -36.81%
また、18年年末の急落の際や
現在のコロナウィルスによる下落時も、
最も下落幅が少ないのはVIGでした。
VIGのリターンの源泉
VIGの特徴としてバンガードの公式HPを読むと
〇10年以上連続して増配の実績を持つ米国大型企業で構成されたETFです。
〇大型株の中でも前年比増配の実績を持つ銘柄に重点が置かれています。
〇増配の可能性が低い銘柄やREITは除外されています。
と記されています。
しかし、これだけだと、
なぜ、上記のような結果になるか少しわかりづらいかもしれません。
そこでファクター戦略の面からアプローチしてみたいと思います。
ファクター分析
2006年6月~2016年2月年までの間
VIGのリターンを5ファクターによる回帰分析を行った結果、
市場ベータ 0.93 → 市場平均よりリスクが少し低い
バリュー 0.14 → バリュー(銘柄)にややよっている
クオリティー 0.34 → クオリティーの高い企業が多い
モメンタム 0.01 → モメンタムはほぼ0
サイズ -0.09 → 平均より大型株が多い
となることがわかっています。
このことから、VIGは、
クオリティーファクターの影響を強く、
バリューファクターの影響やや受けているETFだということがわかります。
クオリティーファクターの特徴
クオリティーファクターの特徴として、
①利益のボラティリティが低い(安定している)
②利益率が高い
③資産回転率が高い
④財務レバレッジが低い
⑤営業レバレッジが低い
⑥銘柄特有のリスク(マクロ経済に関係のないリスク)が小さい。
つまり、簡単に言うと、
収益性が高く、安定し、成長し、
下落相場に強い企業であるという特徴を有しています。
クオリティープレミアム
また、1927年~2015年の間
クオリティープレミアムは市場平均より年平均3.8%高いリターンを残してきました。
とくに配当性向の高いクオリティー企業は高いパフォーマンスを残しています。
参照 ファクター投資入門より
VIGはこのクオリティーファクターへのエクスポージャーが高いETFとなっているのです。
つまり、VIGとはクオリティーが高くかつ若干バリューより(割安or割高でない)の米大企業が集まったETFだといえるのです。
私はこの点が好きです。
(そもそも、そういう企業でなければ、長期に渡って安定し連続増配することは難しいですしね。)
VIGの構成銘柄
以下のVIGの上位構成銘柄をみればよりイメージしやすいと思います。

強い!
いくつかの懸念
米国株の約60%が無配当株です。
更にVIGは10年以上連続して増配の実績を持つ米国大型企業に限定されています。
これは長所でもあり、分散が乏しくなるという短所でもあります。
市場平均を下回る事も。
2011年4月5日~2020年1月2日
リーマンショック以降の上昇局面を本当に」適当に切り取ってみました。
切り取る時期にもよりますが、
SPY(S&P500ETF)やVYMにトータルリターンで劣っていた時期もあることがわかります。
リーマンショック以降の上昇局面を本当に」適当に切り取ってみました。
切り取る時期にもよりますが、
SPY(S&P500ETF)やVYMにトータルリターンで劣っていた時期もあることがわかります。

まとめ
バンガード米国増配株式ETF(VIG)について簡単にまとめました。
まず前提として、
ものすごい低コスト「経費率0.06%」だということ。
そしてバンガードが10年以上運用しているという安心感があります。
ファンド純資産も520.14億米ドルあります。
そして個人的には、VIGは、ETFそのものの「分配金」を狙うのではなく、
連続増配企業に投資することで、クオリティー&バリューファクターへのエクスポージャー有し、
ボラティリティや下落幅を抑えつつ、ディフェンシブに高い「トータルリターン」を狙うことのできるETFだと思っています。
また、VIGは増配やファクターに基づく、
アクティブ戦略のETFだとも思います。
故に、市場平均に勝つ時期もあれば、後れを取る時期もあると思います。
アクティブ戦略のETFだとも思います。
故に、市場平均に勝つ時期もあれば、後れを取る時期もあると思います。
私は市場にパッシブ運用をしているため、VIGに投資をする事は一生ないと思います。
でも、全然嫌いではない、むしろ好きなETFの一つです。
あとは各々自由に判断して頂ければと思います。
知らなかった方や興味のあった方、
気になっていた方などの少しでもお役に立てたのなら幸いです。
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