【同じ指数なのにコストが異なる投信】
ニッセイ基礎研究所に「株式インデックス投資の手数料はどのくらいなのか-手数料を引いたら最終残高がどれだけ減るのか」というおもしろいレポートが掲載されていたので紹介します。
同レポートでは、同じインデックスを対象としていても、手数料の異なるファンドの存在に振れ、
特に長期投資をする際は低コストのファンドを使うことが大切だと論じています。
同レポートより引用。同じ指数を対象とするファンドでも、信託報酬が大きく違う事がわかります。

【投資家への影響はどのくらい】
では、このコストの差は投資家にどのくらいの影響をもたらすのでしょう。
下の図は、日経平均株価、S&P500、MSCIコクサイを対象に、
①日本のバブル崩壊、②ITバブル、③リーマンショク、④コロナショックの4つの金融、経済危機直前から、毎月2万円ずつ投資をした場合、
現行の手数料水準を過去まで遡って適用し、手数料差し引き後(最安値、平均値、最高値)で、最終残高はいくらになったかを試算ものです(税金は考慮していない)。
画像が見にくい方はクリックして頂けると拡大できます。

まずは、日経平均株価、S&P500、MSCIの各インデックス、各検証期間において、いずれも投資元本を上回る結果となっていますね。
もちろん検証期間やタイミングにもよると思いますが、大きな暴落や停滞があるなかでも、株式市場への長期投資、積立投資の魅力がわかるグラフだと思います。
次に信託報酬の差の違いに注目してみましょう。投資期間が短いためコロナショックからの試算ではあまりわかりませんが、
リーマンショック、ITバブルと遡るにつれて、最低値と最高値の「コスト差による違い」が明らかに大きいものとなっていきます。
【複利はマイナスにも働く】
“米国株式(S&P500)インデックス型投資信託の場合だと、投資期間が短いコロナ・ショック直前からの試算では信託報酬が違っても信託報酬総額は2,000円~3,000円程度で、対収益占率も1%~3%程度に過ぎない。
しかし、リーマン・ショック直前から試算すると、
最安値の信託報酬0.33%の場合、信託報酬総額は34万円、対収益占率は4%だが、
最高値の信託報酬0.61%の場合だと、信託報酬総額は62万円、対収益占率は8%になる。
さらに、ITバブル崩壊直前から試算すると、
最安値の信託報酬の場合、信託報酬総額は88万円、対収益占率は6%だが、
最高値の信託報酬の場合だと、信託報酬総額159万円、対収益占率は10%にもなる。
日本バブル崩壊直前からの試算では、
最安値の信託報酬の場合、信託報酬総額は365万円、対収益占率は8%だが、
最高値の信託報酬の場合だと、信託報酬総額は652万円、対収益占率は15%にもなる”
本文より引用
長期投資家が大好きな複利の魔法は、マイナス方向(コスト)にも働きます。
【まとめ】
一般的によく言われるように、また私の投資哲学を支えるバンガード4つの原則にもあるように、投資においてコストを抑えることは大切です。
投資リターンはどうなるかわかりませんが、コストは確実に投資家の実際に手にするリターンを押し下げます。
また、コストの低い証券会社や投信を選んだりすることは、投資家自身が確実にコントロールすることのできる数少ない要素の一つです。
現実として、同じ株式インデックス型投資信託の中で、信託報酬等の手数料には大きなばらつきがあります。
リスクやリターンがほぼ同じであるにもかかわらず、手数料はファンドによって大きく異なり、
先程の図のように、長期では実際の受取金額に思っている以上に大きな違いが生じてきます。
リスクやリターンがほぼ同じであるにもかかわらず、手数料はファンドによって大きく異なり、
先程の図のように、長期では実際の受取金額に思っている以上に大きな違いが生じてきます。
長期投資では信託報酬や実質コスト等にに注目し、なるべく手数料が安い投資信託を選択したり、手数料を抑えつつ投資をすることがとても大切でだと思います。
他にも手数料の構成や日米の投信の比較など面白い内容がのっていますので、是非元のレポートも読んでみてください。
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