【利下げでも安心できない理由】
モーニングスターの「米国は「逆イールド」の発生で景気後退局面入りか、過去には利下げで株安継続の場合も」という記事の中におもしろいグラフがあったので紹介します。
リーマンショックを経験した世代の方にとっては懐かしいチャートではないでしょうか?

過去は未来と同じとは限りませんが、
このグラフを見るといろいろおもしろい点がいくつかあります。
まずFF金利を見ると、2004~2007年にかけて、
利上げ⇒高水準をしばらく維持⇒『利下げ』となっていますが、
その利下げした直後、S&P500は一旦最高値を付け、その後下落。
以下、1年以上かけて暴落していきました。
また、2年債と10年債の債券利回り差を見ると、
逆イールド発生⇒逆イールドが解消した『後』
しばらくして、S&P500が暴落を開始しています。
【これが絶対ではないが】
もちろん、常にこうなるわけではありませんし、
違うパターンも多々あるのですが、
少なくとも、
逆イールドが解消されたからOK、
利下げに転じたから株価が上昇する。
と安易に考えて油断していると
何かしらの罠に引っかかってしまう可能性があります。
特例とはいえ、
コロナショック前、企業を助けるためにFRBは利下げしました。
その「後」コロナショックは起きました。
経済が悪化しているから、景気後退しているから、
それらを助けるために利下げをするというのは普通にあります。
それらを助けるために利下げをするというのは普通にあります。
コロナショックの時は異例の緩和とワクチンの早期開発などにより株価はすぐに回復しましたが、
次の下落後にすぐに回復するとは限りません。
あの時多くの方が予想し外しましたが、今度は二番底があるかもしれません。
【景気後退VS利下げ?】
強い業績(+要因)VS利上げ(‐要因)の闘いが2021年にありましたが、
その逆で、弱い業績(‐要因)VS利下げ(+要因)という戦いもあります。
利下げは株価を左右する大きな要因の一つですが、
それが全てではないということを覚えておきましょう。
【金利さえ下がれば。は危険】
ただ、数年前には、これを自分の都合よく過大解釈や曲解し、
〇金利なんて関係ない
〇コストなんて関係ない
〇イノベーションが起きやすい(イノベーションが株価に結びつくとは限らない)
〇成長している(成長が株価に結びつくとは限らない。また鈍化する可能性もある)
〇Nasdaqは利上げや金利に関係なく上昇する
などと、金融の基本や原理原則から、少し外れた論調を吹きまわっていた
投資初心者インフルエンサーの投資情報発信、
及びそれを心から信じる集団がいましたが、
今、また利下げさえ下がればOKと言っているのであれば、
前回の時と同様少し安易かなとも思います。
もちろん、
私も金利が下がれば基本的に株価は上昇すると思いますが、
それが一時的な可能性もありますし、
おそらくまたしばらくすると、
現時点で見えていなかったり、わからない、リスクや問題、不確実性が火を噴いて、
市場の懸念や話題の中心となるかと思います。
「少し良くなると調子に乗って、何かがあるとすぐ悲観的になる」
そういう投資家をみた安西先生ならこういうでしょう。
「まるで成長していない」(成長株投資家なのに)
【まとめ】
今、市場で最も注目されていることの一つは「利下げがいつか」ということです。
しかし、「利下げしたから」といって油断は禁物です。
期待しすぎたり、油断しているとかえって足元を救われるかもしれません。
利下げを待っていると、逆にタイミングを逃したり、
利下げで株価があがるからここで投資だ
⇒そこが最高値付近であとは下がっていった。などと、タイミングを外す可能性もあります。
注意しましょう。
さて、振り返ってみると、
リーマンショックの時、S&P500は1年4カ月かけて52.6%下落。
戻るまでに5年5カ月かかりました。
全世界株式は1年4カ月にわたって56.2%も下落。暴落前の高値を回復するのに6年8カ月かかりました。
未来に目を向けると、
歴史的に異例の低インフレと低金利+リーマンショックで下がり切った低バリュエーションが追い風となった過去10年とは異なり、
金利とインフレが多少、落ち着いたと仮定して、普通のインフレ率2%前後と普通の政策金利2%前後、そしてまだまだ公正価格に近い(割安ではない)バリュエーション、
米国株に追加投資をするのに日本人視点では有利とはいえない為替などからスタートすることを考えると、
米国株に追加投資をするのに日本人視点では有利とはいえない為替などからスタートすることを考えると、
あるいはシラーPERなどを見ると、今後10年の期待リターンは過去10年ほど良くなくなるかもしれません
まあ、でも、株式市場や株式投資なんてそんなもんです。
当たり前に起こる金利の上下や景気の拡大縮小のサイクルにいちいち大騒ぎすることなく、
また、過剰反応して油断することなく、冷静に投資を続けていきましょう。
私は金利や経済サイクルを気にせず、いつもどおり投資を続けていきたいと思います。
いつもありがとうございます。
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