
【面白い記事】
トウシルに山崎元氏の著した「シリコンバレー銀行、クレディスイスは何が問題だったのか?」という面白い記事があったので紹介します。
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/40871
目次は以下の通り。
(1)シリコンバレー銀行(SVB)は何がまずかったのか?
(2)クレディスイス(CS)の経営は何が問題だったのか?
(3)リーマンショックと今回はちがうと考えていいのか?
(4)SVB、CSと日本の金融機関に似た点はあるか? 銀行経営で何が問題なのか?
(5)投資家は市場への影響をどう考えたらいいのか?
【個人投資家はどうすればよいか?】
個人的には、(4)の日本の銀行の話がおもしろかったのですが、
結局のところ、個人投資家に最も役に立つ箇所は(5)のこの部分だと思います。
結局現実的なのは、様々な材料は現在の株価に相当程度反映されているのだと理解しながら、自分にとって適当なリスクポジションを維持し続ける「バイ・アンド・ホールドの長期投資」である場合が殆どでしょう。
多くの投資家にとって、「注視すれども、行動せず」、「売りも、買いも、しない」といった態度が最適解になる公算が大きいように思います。
感情が揺れるのは仕方がないとしても、もともとの状態が自分にとって最適なリスクテイクの状態なら、イベントがあっても何もしないのが正解という場合が資産運用では殆どなのだと申し上げておきます。
それに、仮に資産形成が20年以上に及ぶのだとすると、今の情勢や株価の動きが、「20年後の株価」に影響するようには思えません。20年後の株価は、20年後の材料と判断から、20年後の市場参加者が決めるものでしょう。
「今」の情勢判断や、細かなポートフォリオの調節などは、大筋は無意味であるか、むしろ有害である可能性が大きいと思うべきでしょう。
【感想】
同じ(5)の中で、山崎元氏は、「SVBの問題が投資のチャンスを提供する可能性があるかもしれないと考えた」と述べていました。
私も元々安値で拾うのが好きなバリュー投資家あがりですから、すごく気持ちはわかります。
ただ、山崎元氏はこの可能性が実現するには、
①ショックで株価が魅力的な水準まで下がること
②ショックが本格的な金融危機に連鎖する性質のものではないこと
③FRBが当面のインフレ対策よりも金融システムの安定を重視して利上げを止めたり、少なくともペースを落としたりすること
といった多重的な条件が絡むことに加えて、
④そのようなことを市場参加者の多くが知っていて「既に株価等に反映されている可能性」、についても考慮することが必要と指摘し、
「チャンスか!?」と直感的に思っても、実際に投資行動に至るための条件は案外単純ではない
と述べています。
実際安値で拾ったつもりでも、もっと前に投資をした方が実はより安値で買えていたり、投資後に更に下がるなんてことはざらにあります。
トレーダーやアクティブ投資家の方にとっては、平穏な市場など退屈そのもので、こういう時こそ腕の見せ所で面白いと思います。
ただ、長期的に市場をアウトパフォーマンスしたり、市場タイミングを計ることのできるスキルもしくは運のある方以外は、
コストを抑えつつただ黙って市場に居続けた方が良い結果になる場合が多いと、過去の複数の研究では明らかになっています。
超一流大学を出て、最新の設備と情報を有するプロであっても、長期的にコスト控除後のパフォーマンスで、各ベンチマークを上回ることに苦戦しています。
長期的にインデックス投資をしている方であれば、
こういう時に「何もしない」というのは、動き回ることと同じかそれ以上に強く、賢明な戦略であることを思い出し、
情報は知ったうえであえて無視をして、ミスターマーケットに振り回されることなく投資を続ける事が大切だと思います。
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