
【バンガード・最高投資責任者の見解】
高いインフレが続き、FRBが金利を上げ続ける中、
バンガードの最高投資責任者、グレッグ・デイビス氏が
市場に関する見解を語っていたので紹介します。
Our chief investment officer’s take on the markets
【投資タイミングを計ることは困難だ】
まず、グレッグ・デイビス氏は、株価の底打ちを正確に予測するのは困難であること。
そして、タイミングを計る戦略の難しさから語り始めます。
『信頼できる水晶玉があればいいのですが。底値を見極めるのは常に難しい。
歴史が示すように、市場のタイミングを計ろうとする投資家が利益を得ることはまずない。
私はプロのマネージャーもその一人だと考えている。
マーケットから出るタイミングだけでなく、戻るタイミングも的確に判断する必要があるからだ。
株式市場のタイミングを見計らうことは不可能に近い。
その理由の一つは、最高の取引日と最悪の取引日が重なる傾向があることだ』
S&P500指数の日次価格リターン(1980~2021)

※最も良い取引日と最も悪い取引日は通常接近してます。
最高の20日のうち9日は、トータルリターンがマイナスであった年に発生しており、
最悪の20日のうち11日は、トータルリターンがプラスの年に発生しています。
また、ほんの数日の上昇を逃すと、驚くほど大きな影響を及ぼします。
1928年までさかのぼると、最高の30日取引日の間だけ株式市場に参加しなかった場合、その期間のリターンは半分になってしまいます。
※日々の価格リターンに基づくと、1928年から2021年までの米国株式市場のリターンは年率6.2%でした。もし、最良の取引日30日を逃した場合、年率換算のリターンは3.3%となります。(再投資された配当金を含まない)
【景気後退についての見解】
次に景気後退に関する質問に回答しています。
Q米国、欧州、または中国は現在、景気後退に陥っているのか?
もしくは近いうちに景気後退に陥る可能性があるのか?
『現在、主要経済国が景気後退に陥っているとは考えていませんが、
欧州は2022年末から2023年初頭にかけて緩やかな景気後退に入る可能性が高いと考えています。 .
米国については、今後24ヶ月の間に比較的穏やかな景気後退が起こるというのがベースシナリオです。
中国の状況が景気後退の正式な定義に当てはまる可能性は低いですが、成長率はコンセンサスを下回る可能性があります。
中国の政策立案者が景気刺激策を制定し、ある時点でCOVIDゼロ政策を緩和しようとする意欲があれば、長引くサプライチェーンの制約と、ひいては中国国内および世界の成長に影響を与えることになるでしょう。
ただ、景気後退の可能性が高まる前でさえ、当社は今後数年間、株式と債券のリターンが歴史的な低水準になると予想していました。
とはいえ、金融市場は先を見据える傾向があるため、景気後退はすでに織り込み済みかもしれません。
ただ、これらは、低コスト、バランス、分散に焦点を当てた投資アプローチを、このまま継続することの利点を否定するものではありません』
景気後退は起こるかもしれませんし、株式や債券のリターンが低水準になる可能性もあります
しかし、それでも、「コスト」や「(分散効果により)リスク」を抑えつつ、長期的に、株式市場にエクスポージャーを取り続ける戦略のメリットは消えるわけではない。とデイビス氏は語ります。
【FRBの利上げについて】
Q、FRBは、今後数ヶ月の間にさらに利上げを行う可能性があることを明らかにしました。投資家は傍観者として待つことを考慮すべきでしょうか?
『先ほど申し上げたことは、この質問にも当てはまります。
高インフレ、低インフレ、強気相場、弱気相場、さまざまな景気循環(ビジネスサイクル)の中で、長期的に、着実かつ戦略的なアプローチを維持することの利点は何度も証明されてきました。
高インフレ、低インフレ、強気相場、弱気相場、さまざまな景気循環(ビジネスサイクル)の中で、長期的に、着実かつ戦略的なアプローチを維持することの利点は何度も証明されてきました。
しかし、このようなボラティリティの高い時期には、人間なら誰でも不安になるものです。また、個人個人の状況、財務、時間軸、リスク選好度も異なります(必要なら単発だろうと、継続的な関係だろうとに、バンガードのアドバイザーに相談することを検討してみて)』
株式市場や、長期、分散、低コストの戦略的なアプローチは、いろいろな景気循環の中で、ここまで成長してきたということを忘れないようにしましょう。【株式と債券の相関関係について】
Q今年は、債券のリターンが株式のリターンと相関したままであり、分散投資のポートフォリオ保有者にとって過酷な試練となった。バランス型ポートフォリオにパラダイムシフトが起きているのでしょうか?
『確かに、今年は株式と債券の相関関係が高まり、分散投資のメリットが一部損なわれてしまいました。しかし、それは過去にも時折起こっていたことです。
長期的に見れば、株式市場の混乱期には、債券がポートフォリオの安定化に寄与することが多い。
これは、債券の利回りの高低に関係なく言えることであり、伝統的なバランス型ポートフォリオの終焉を宣言するのは時期尚早である。
投資家が債券をポートフォリオに組み入れる理由は、分散効果に加え、インカムゲインなど様々なものがある。
金利上昇を踏まえ、今後10年間の債券の期待リターンは、2021年9月以降、2%近く上昇しています。
債券を保有する意味はさらに高まっており、分散されたポートフォリオの中で重要な役割を担っていることに変わりはありません。』
今年一年、株と債券の分散が上手くいかなかったからと言って、株式と債券の分散効果や伝統的なPFが死んだというのは早計過ぎると私も思います。
将来もし日本の短期国債の利回りが2%くらいまであがるようなことがあれば、日本の投資家にとっても、国内債券クラスやバランスファンドの再評価が進むかもしれません。
もし今まで債券についてよく学んでこなかった方は、せっかくですからこの機会に学んでみると良いと思います。
【最後に】
Q投資家へのアドバイスはありますか?
『この下げ相場は、特に若い投資家に有利です。
このところの売りで、株式市場はフェアバリューに近い水準にあります。
債券市場は、金利上昇により目先の痛手はあるものの、リターンへの期待が高まっています。
このところの売りで、株式市場はフェアバリューに近い水準にあります。
債券市場は、金利上昇により目先の痛手はあるものの、リターンへの期待が高まっています。
まだ投資人生の蓄積段階にある人は、より安い価格で買いたいはずです。
だからこそ、現在のような厳しい相場では、投資家は目先の口座残高にとらわれず、長期的な目標に集中することが重要なのです。
だからこそ、現在のような厳しい相場では、投資家は目先の口座残高にとらわれず、長期的な目標に集中することが重要なのです。
低コストのミューチュアル・ファンドやETFを使って幅広い分散投資を維持し、軌道に乗せることが、複利の力を活用する適切な方法でしょう。
アインシュタインはかつて、複利を「世界の8番目の不思議」と呼びました。
時間をかけて少しずつ得られる利益の累積的な影響は驚くべきものです
しかし、投資をしていなければ、その複利を得ることはできないのです』
以上、グレッグ・デイビス氏のアドバイスとなります。
株価の下落や市場の先行きな不安な方の力になれば幸いです。
私もいつもどおり、低コストのインデックスファンドを用いながら、基本に忠実に、投資を継続していきたいと思います。
アインシュタインはかつて、複利を「世界の8番目の不思議」と呼びました。
時間をかけて少しずつ得られる利益の累積的な影響は驚くべきものです
しかし、投資をしていなければ、その複利を得ることはできないのです』
以上、グレッグ・デイビス氏のアドバイスとなります。
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