【ポートフォリオの構築の基本】
資産クラスを選択し、配分を決めることはポートフォリオ構築の最初のステップです。
資産クラスとして代表的なものは、
現金・国内株式・外国株式・国内債券・外国債券、不動産・金などがあります。
どの資産クラスを選択し、各資産クラスにどれほどの割合で投資をするか。
と、資産配分を決めるところから、ポートフォリオの構築は始まります。
と、資産配分を決めるところから、ポートフォリオの構築は始まります。
【資産クラスの流行】
ポートフォリオを構築する資産クラスは、時代や流行とともに変化していきます。
今回はその一例として、大学基金として有名な
イエール大学の過去150年の資産配分の変化を見ていきたいと思います。
イエール大学の過去150年の資産配分の変化を見ていきたいと思います。
【イエール大学の150年の資産配分の変化】
〇1850年のポートフォリオ
イエール大学の1850年のポートフォリオを見てみると
主な資産クラスは「不動産」で50%以上を占めていました。
残りは「担保付きの債券や手形」ついで「株式」という配分でした。
〇1900年のポートフォリオ
1900年のポートフォリオの
主な資産クラスは「モーゲージ債券」「鉄道債券」「不動産」であり
「株式」「鉄道以外のその他社債」などが少し含まれているという配分です。
〇1950年代のポートフォリオ
1950年代のポートフォリオは
1950年代のポートフォリオは
「国内(米国)債券」「米国株式」「優先株」「不動産」を保有していました。
〇1985年以降
1985年以降は、機関投資家界のバフェット事デイビットスウェンセン氏の
1985年以降は、機関投資家界のバフェット事デイビットスウェンセン氏の
「エールモデル」(株式を中心に複数の資産クラスに分散投資する)
長期的戦略を駆使し、以下の図のような資産配分でポートフォリオを運用してきました。
長期的戦略を駆使し、以下の図のような資産配分でポートフォリオを運用してきました。
27年間で10億ドルの資産を239億ドルへ成長させ、13.9%の利回りを達成させました。
現在では、下の図のようにオルタナティブ投資の比率が高くなっています。
参照 エール大学基金(http://investments.yale.edu)
現在のイエール大学の実際のポートフォリオと目標のポートフォリオは、
1985年のポートフォリオよりも大幅に高い期待リターンと低いボラティリティを持っているとのことです。
1985年のポートフォリオよりも大幅に高い期待リターンと低いボラティリティを持っているとのことです。
個人的には、ベンチャーキャピタル、石油・ガス、木材、不動産など、株式以外の資産クラスへの投資割合が増えてきているのがおもしろいなと思いました。
【普通の個人投資家には】
なお、デイビッドスウェンセン氏は一般的な米国の個人投資家には
〇米国株式
〇米国債
〇米国物価連動国債(TIPS)
〇先進国外国株
〇新興国外国株(エマージング・マーケット)
〇不動産投資信託(REIT)
これら6つの資産クラスをこれを以下の基準に合わせて配分することを勧めています。
〇株式70、債券30%がベース
〇特定の資産に30%以上投資しない
とはいえ、割とオーソドックスな資産クラスばかりですね。
これらは米国の個人投資家向けのアドバイスで、
日本人投資家には為替リスクがあることを考慮しなければなりません。
イエール大学の基金とは異なり、個人投資家には、ベンチャーキャピタルやリアルアセットへの投資を提案していないことにも注目ですね。
「鉄道債券」というアセットクラス
さて、もう1点。
イエール大学の過去の資産クラスを見ていくと、「鉄道債券」というものが目を引きました。
というの19世紀後半から20世紀前半にかけて、
「鉄道債」は一つの独立した資産クラスとして扱われていました。
「鉄道債」は一つの独立した資産クラスとして扱われていました。
(この名残はベンジャミングレアムの「証券分析」にもあります)
この当時、鉄道会社の「貸付期間100年」という条件の債券も、
価値の高い鉄道整備が確実な補償になるとして、多くの人は喜んで購入したといいます、
価値の高い鉄道整備が確実な補償になるとして、多くの人は喜んで購入したといいます、
リーハイバレー鉄道の債券
ただ、未来の私達視点で見ると悲しい現実がわかります。
1989年に償還を迎える予定だった、
リーハイバレー鉄道の社債(利回り4.5%)のその後を
1989年に償還を迎える予定だった、
リーハイバレー鉄道の社債(利回り4.5%)のその後を
発行当時の1890年代の投資家が知ったら相当驚いたと思います。
社債発行後の40年間は普通に全額支払われました。
しかし、1930年代から不振に陥り、その後・・・
リーハイバレー鉄道の概要⇒(WIKI)
全ての鉄道債がリーハイバレー鉄道社債ような運命をたどったわけではありませんが、
ほとんどの鉄道債は投資家の期待に応えることができませんでした。
そして現在では鉄道債は皆さんもご存じの通り、
独立した資産クラスとして扱われなくなっています。
独立した資産クラスとして扱われなくなっています。
結果論ですが
イエール大学を含め、この時代の多くの投資家は鉄道債に資産の多くを配分し、
相対的に米国株式にはほとんど配分していませんでした。
みなさんもご存知の通り、1900年から米国株式に投資をしていれば、素晴らしいリターンが望めましたが、当時の投資家の多くは素晴らしいポートフォリオを構築し損ねてしまいました。
【まとめ】
今回の教訓
各資産クラスには時代ごとに流行があります。
しかし、流行に流されてアセットアロケーションを決めてはいけません。
大切なのは、各資産クラスが果たす役割を理解し明確にすること。
そして、将来という「不確実な環境の中」でも、成功するポートフォリオを構築することです。
資産クラスではないのですが
かつての鉄道債や少し前の仮想通貨など、
一時的に価格が上昇していたり、流行っていたとしても、
(また、次にどんなのが流行するかはわかりませんが・・・)
くれぐれも流行に乗っかって、
全ての資産をツッコまないように気をつけましょう。
将来がわからない以上
目先の利益や流行、ここ数年間のリスクリターンのみに目を奪われずに、
幅広い資産クラスに十分に分散して投資をすることが、
資産を守り、増やすうえでは大切だと思います。
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