【行動経済学の逆襲】
NY証券取引所に上場している全銘柄を対象に、3~5年の期間(投資家が過度に楽観的あるいは悲観的になるのに十分な期間)をとって、騰落率でランク付けする。
騰落率上位の銘柄を「勝ち組」、下位のグループを負け組とする。
例えば、上位35銘柄の「勝ち組」と、下位35位の「負け組」銘柄を抽出してリターンを比較する。
市場が効率的であるならば、2つのポートフォリオのリターンは、同じにようなリターンを示すことになるし、過去のデータから将来を予想することもできないはずだ。
しかし、セイラ―教授らの「過剰反応仮説」が正しいのであれば、負け組のリターンが勝ち組のリターンを上回るはずである。
セイラ―教授等は、市場の過剰反応を様々な方法で検証したが、
結果は、彼らの仮説を裏付けるものだった。
長い間、たとえば3年の騰落率を基準に取ると、負け組ポートフォリオのリターンが勝ち組ポートフォリオのを大幅に上回った。
また、5年間の騰落率を基準にし、その後の5年後のリターンを検証し、市場平均と比較した。
その結果、負け組のPFリターンは市場平均を30%上回ったが、勝ち組のリターンは市場平均を10%下回った。
参照2017年ノーベル経済学賞受賞 リチャード・セイラ―著 「行動経済学の逆襲」
第22章 株式市場は過剰反応を起こす
第23章 勝ち組の方が負け組よりリスクが高い。
ここら辺は、何年か前に詳しく話したので省略するが、
これが紆余曲折あり、ファーマ・フレンチ3ファクターモデルやバリューファクターへとつながっていくわけだ。
行動経済学の話があったので、ふと懐かしい本を思い出し紹介してみた。
負け組の銘柄は倒産寸前のクズ企業かもしれないが、
それが儲からないとも限らないし、
勝組銘柄がいつまでも勝ち続けるとは限らない。
実際に、昨年のS&P500の下落の約半分は「GAFAM+テスラ、ネトフリ、エヌビディア」のせいだったわけだ。
もちろん、その逆もしかり。
その時々の流行っている銘柄や直近のリターンの銘柄に投資をすれば、
長期的に、コスト控除後のリスク調整後リターンで市場を上回ることのできるのであれば、
投資は簡単なのだが、現実はそんなに甘いものではない。
勝ち組銘柄や直近のリターンの高い銘柄はだいたい割高だし、勝ち組銘柄は入れ替わったりもする。
じゃあ負け組がいいのかと言えば、(私はバリュー投資家なので好きなのだが)バリュートラップもある。
どんな手法でも上手くいくこともあれば、いかない時もある。
万能の手法はない。ということを初心者の方は忘れないようにすることが大切だ。
悪い先輩やインフルエンサーやアフリエイターに騙されないように(笑)。
そして、株式市場は人の感情によって動いたり、過剰反応する時もあるわけなのだが、
ここで、自分も祭りに乗っかって過剰反応して騒いだり、変な行動をとるのではなく、
遠目から冷ややかに祭りを眺めるくらいの方が、きっと長期的には良いリターンを残せる可能性が高いと私は思う。
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