
バフェットは予言しない。
世界一の投資家ウォーレンバフェットは
株式市場の先行きや、具体的な株価水準・リターンなどについて、
公の場でめったに発言することはありません。
特にエコノミストやアナリスト等がするような「予言」は、
しないよう意識している節もあります。
1999年下半期の話。
そんなバフェットですが、1999年の下半期に、
講演や親睦会などで、4回も、
株式市場の将来のリターンを予想をする発言をあえてしています。
「最近の株式投資家はあまりにも多くを望み過ぎている・・・」と

1999年と言えば、米国株式市場は長期に渡る上昇を続けてた時期で、
米国の投資家達は年間平均利益率12%に慣れきっていた時期でした。
「1999年7の月」の予言
1999年の予言と言えば、「ノストラダムス」を思い出しますね。
くしくも、バフェットは1999年7の月(~9月にかけて)こう予言しました。
「1999年から2016年までの17年間、投資家が得られる利益率は7%(インフレ調整前)になる」
「しかもこれは、粗利であり、膨大な取引コスト(中略)・・・このような経費を指し引くと妥当な予想リターンは6%になる」
「福音の伝道師」バフェットの予言は届かない・・・
投資家のマイケル・グリーブランドは
バフェットとバークシャーの株主総会の事を
「あれは宗教の集会で、バフェットは我々の福音の伝道師だ」
と評していました。
しかし、1999年のバフェットは神の手を失ったように見えた。
と揶揄されました。
というのも、
バフェットの神聖な銘柄(コカ・コーラなど)が暴落し、ネット株が急騰したからです。
バフェットは、初めてS&P500指数を20.5%も下回りました。
そして、バークシャーの株価も50%下落しました。
1999年の投資家の多くは、そんな予言者のする、低すぎるリターンの予言を、
心の底からは、信じようとしませんでした。
「そんなリターンは低すぎる」・・・と
2012年の投資家達は・・・
2012年にこの予言について、キャロル・ルーミスは記事にして振り返っています。
バフェットは、明らかに現在のような低金利の時代になるとは予想していなかった。
株式投資のリターンがここまで低くなるとも思っていなかった。
しかし、株式市場全般に対する悲観的な見方は正しかった。
嘆かわしい事に、1999年から2012年半ばまで、
ダウ平均株価の年間複利利益率はたったの3.32%だった。
S&P500は救いようのない1.26%を記録した。
17年間の終わりまでには、もちろんまだ4年残っている。
しかし、投資家が失地を回復し、
年間平均6%を達成するには、その間にとびきり上等な成績をあげなければならない。
1999から2012年までの株式市場の低すぎる平均リターンを受けて
2012年の投資家達はこう思ったでしょう。
あのバフェットの6%という予言のリターンは
高すぎるんじゃないか・・・と
それでもバフェットは言いました。
「あの時の発言(予言)は一字一句変えるつもりはない」
予言の結果は・・・・

1999年から2016年末まで17年間の米国市場のリターンは
年率平均5.89%でした。
バフェットの予言の数字には若干及ばなかったものの、
かなり予想に近い水準となっています。
(もし、もう一年2017年末まで期間を伸ばせば6.64%となりました)
少なくとも、1999年の投資家達が期待した12%というリターンや、
2012年の投資家達の悲観的な予想よりは、現実に即したものとなっていました。
まとめ
リーマンショック以降、米国市場は投資家に高いリターンをもたらしてきました。
だけれども、米国株式市場にあまりにも多くを望み過ぎてもいけません。
バフェットのこの予言の話からは、
投資家がいかに直近の市場やリターンに影響を受けやすかったり、
判断や予想を引きずられてしてしまうかがわかります。
よく「投資はバックミラーをみてしてはいけない」と言いますが
優秀なプロやアナリストでさえ、これに引っかかったり
「ミスターマーケット」に振り回されたりもします。
私達も直近の出来事ばかりに注目して、
1999年の投資家のように高すぎる期待をしたり、
2012年の投資家のように過度に悲観的になってはいけません。
自分自身がいつまで投資を続けるのかにもよりますが、
もしゴールがまだ先であるのでしたら、
今まで慣れ親しんだ利益率やリターンに、
今後数年間到達できなかったとしても
株価や市場、先行きの予想などに惑わされることなく
長期的な視野と戦略をもって投資を続けて頂ければなあと思います。
私は米国の景気が後退したり、株価が低迷ても、
バンガードS&P500ETF(VOO)に投資を続けていきたいと思います。
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