【eMAXIS S&P500クオリティ高配当インデックス】
三菱UFJ国際投信が、eMAXIS S&P500クオリティ高配当インデックスを新規設定することを発表しました。
https://emaxis.jp/text/release_221227.pdf
S&P500クオリティ高配当指数(配当込み、円換算ベース)の値動きに連動する投資成果をめざして運用を行います。
eMAXISシリーズとしては、久しぶりの新規設定ですね。
個人的には、アクティブな考えの指数(スマートベータ型)に連動する、インデックスファンドだと考えています。
【概要】
設定日 2023年1月12日
当初申込期間 なし
連動対象 S&P500クオリティ配当指数
手数料 0.33%以内
〇為替ヘッジなし。
〇対象インデックスとの連動を維持するため、先物取引等を利用し株式の実質投資比率が100%を超える場合があり。
〇信託財産の成長を優先し、原則として分配を抑制する方針とします。ここら辺はよくある内容かと思います。
【連動対象】
こういう投信は、連動対象である「S&P500クオリティ高配当指数(配当込み、円換算ベース)」についてよく、そして正しく学ぶ必要があります。
こういう時はまずは公式のレポートやHPをあさりましょう。
同指数の指数プロバイダーであるS&Pダウジョーンズがレポートを公開しています。
この指数は、S&P500指数の構成銘柄から、
クオリティ・スコアおよび配当利回りの基準からそれぞれ上位200位以内にランク付けされる銘柄を抽出し、原則として両方の基準を満たす銘柄を均等に組み入れます。
つまり、クオリティファクターと配当利回りにアプローチした戦略ですね。
一言で言うと「質の高い、高配当なS&P500企業に投資をする」といった戦略です。
また、配当利回りに重点を置くことから結果的にバリューファクターに加重することになるかと思います。
ですから、市場全体に投資をするような伝統的なインデックスファンドに比べて、分散効果は劣ります。
このようにアクティブな戦略ですが、個人的にクオリティーファクターは最も好きなファクターですし、やみくもに配当利回りだけをみて投資をするよりは遥かにいいと思います。
【クオリティーとは?】
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスでは、クオリティを収益の創出、収益の質、及び財務の健全性の組み合わせとして定義しています。
これらの特性を兼ね備えている企業は、景気サイクルに伴うボラティリティから守られる傾向があるため、景気減速の影響を受けにくくなるとS&Pダウジョーンズはしています。(が、実はこれには諸説あります)
【S&P500 クオリティ高配当指数の主な特性】
1. 安定的かつ魅力的な配当
2. ボラティリティに対するバッファー
3. 良好なファンダメンタルズ
但し、切り取る期間によっては、
このようにS&P500をアンダーパフォーマンスすることにもなります。
【投資をする上で大切なこと】
過去記事に書いた通り、
クオリティーファクターは過去S&P500を長期的にアウトパフォーマンスしてきたファクターの一つですが、
その一方で、60ヶ月(5年以上)S&P500をアンダーパフォーマンスした時期もあります。
良い時期だけではなく、そういう時期にどうするか、どう向き合うかを投資前によく考えることが大切です。
過去は未来と同じになるとは限りませんが、今後のクオリティーファクターの優位性が続くと仮定した場合でも、
「長期的にみれば、S&P500をアウトパフォーマンスしてきた」戦略は、長期的に理論通りに実践してこそその効果を期待できます。
つまり、アンダーパフォーマンスの途中で投げ出したり、右往左往したりするとその効果が理論通りに発揮できない可能性があります。
良い道具でも、正しく使わなければ、その効果は発揮できません。
そういった時期に動じずに航路を守れる方、逆に安値で仕込めるような胆力のある方であればいいのですが、
そうでない場合は変にアクティブに加重せず、普通のインデックス投資を続ける事に集中した方がいいのではないかとも思います。
【配当利回りについて】
過去の配当利回りを見ると、リーマンショックで株価が大きく下げた時以外は、4%前後で推移しています。
これは同時期のS&P500の平均の2%前後よりも2%ほど高い水準にあります。
また、FF金利の上昇に伴い、今後両社とも更に配当利回りが高くなる可能性があります。
過去の推移をみると、金利が下がる局面ではS&P500が、金利が上昇する局面ではS&P500クオリティ高配当指数が強い傾向がありました。
【最後に】
『eMAXIS S&P500クオリティ高配当インデックス』について説明しつつ、
個人的な意見を書いてきましたが、最後にいくつか補足したいと思います。
〇コスト
まずは、コスト。eMAXIS slimシリーズと比較すると2倍。
同じ米国株式市場に投資をするslimS&P500とは約3倍のコスト差があります。
インデックスファンドとして見れば結構高く、アクティブファンドとして見れば安く見えるそんなコストだと思います(笑)。
「S&P500クオリティ高配当指数」つまり「クオリティー+配当戦略」にそれだけのコストを払って投資がしたいか。これが一つのポイントとなります。
(個人的にはこの戦略が好きな方であれば許容できる範囲かなと思います)
〇自身の資産とのバランスを見るべし(ファンドコレクターになるな)
ただ、同じ米国株に投資をするのであれば、S&P500や「他のファンド」や「他の配当指数」との比較も大切ですし、
運用成績の大部分を決める自身の資産全体の資産配分を考えることが大切だと思います。
次々と新しく誕生する良さそうなファンドを集めるだけのファンドコレクターになってはいけません。
グロース株が調子のいい時期に、グロース株ファンド。次は配当、次は・・・とただ集めていくのであれば、全体のバランスが悪くなる可能性がありますし、管理が難しくもなります。
チャンと管理をしても、たくさんのファンドを持つことで、結果的に市場全体に投資をするインデックス投資とそう変わらなくなる可能性もあります(しかもコストをよりかけた)。
ここら辺は自身の資産や投資戦略とよく相談して決めましょう。
〇分散効果
また、市場全体に投資をするような伝統的なインデックスファンドに比べて、分散効果は劣ります。
69銘柄に分散してれば分散効果はあると思うかもしれませんが(確かに多少はありますが)
そもそもが特定のファクターによって抽出された偏った69銘柄と言うことを忘れてはいけません。
〇良い時期もあれば悪い時期もある
リーマンショック後に流行したリスクが抑えられるという触れ込みの、低ボラティリティー戦略がその後約10年間の成績でS&P500をアンダーパフォーマンスしたように、
上手くいく時もあれば、いかない時期もある戦略だということをよく覚えておきましょう。
まとめると
①S&P500クオリティ高配当指数をよく知る事。
②ファンドについてよく調べること(コストや他の投資対象との比較)
③全体の自身の資産配分や運用目的もよく考える事
④うまくいかない時期のこともよく考える事
ここら辺が大切だと思います。
また、隠れコストもまだわからないので、様子をみてからでも遅くないと思います。
個人的には、アクティブ投資をするのであれば、クオリティーファクター、クオリティーの高い企業へのアプローチは大好きです(でした)
ただ、現在は株式に関しては、パッシブ運用のインデックス投資のみで基本通りの運用をしていますから、個人的には投資をする予定はありません。
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