00

【VGKとVPLに秘められた思い】

バンガードの地域ごとETFを見ると、先進国ETF(米除く)の他に、欧州先進国ETF(VGK)とアジア先進国(VPL)の2つに分かれていることがわかります。

純資産額をみると両方ともあまり人気がなく、多くの投資家は普通に、米除く先進国ETF(VEAやVEU)に投資をしていることがわかります。

この2つのETFの元となる投資信託(バンガードのETFは元々あった投資信託がベースとなるケースがほとんど)は、1990年に誕生しました。

逆に『(米除く)先進国全体』に投資をする投資信託が誕生したのは、1999年とだいぶ後発になります

バンガードの理念として、幅広い国際分散投資を掲げているのにも関わらず、なぜあえて、そして珍しく、地域を限定した投資信託をわざわざ先に販売したのか。

今日はちょっとしたトリビアを紹介したいと思います。



【ボーグル氏・日本のバブルを懸念】

1990年、バンガード・米国以外の先進国市場の銘柄に投資をするMSCI EAFE(欧州、オーストラリア、極東)指数に連動するインデックスファンドの提供を検討しました。

しかし、ジョン。ボーグル氏は、バブル渦中の日本の株式市場をめちゃくちゃ懸念していました。

1989年、日経平均株価は38900円の高値にあり、株収益率(PER)は約70まで上昇していました。

広く海外へと分散投資しようとしている米国の投資家に、その資本の67%を太平洋地域(主にバブル渦中の日本)に投資させてしまう。投資家にそのリスクをとらせてしまうことを許容したくなかったといいます。

そこで、バンガード社は、アジア地域(ほぼ日本)に投資をする投資信託と、欧州先進国に投資をするファンド、2つのインターナショナルファンドを立ち上げたというわけです。

「VGKとVPL」という2つのETFの元になる投信が誕生した理由は、端的に言えば、日本市場のバブルのせいだったわけです(笑)

これは、米国の個人投資家を思うボーグル氏とバンガード社の気持ちの表れだったかもしれませんね。

めちゃくちゃ(コストに)厳しい人たちがふいに見せた優しさのせいだったりするのかもしれませんね。

また、流石のボーグル氏でも、バブル化中の株式市場に集中投資をする(時価総額加重で分散投資をすると大きなウェイトを割くことになる)のには抵抗を示していたというもの興味深いと思います。



【後日談】

その後、2010年には日本の株式市場の時価総額は全世界の株式の45%から7%へと低下しています。

1990年当時、アジアや欧州の株式にインデックス投資をする、国際株式ファンドは前例がなく、

更にバンガードは、1994年に世界初となる新興国インデックスファンドも立ち上げ、これでインデックスファンドを用いて、世界の投資可能なほぼすべての地域に国際分散投資が可能となりました。

今、私たちが手軽に、良質な投資信託を用いて低コストで国際分散投資、インデックス投資ができるような環境になるまで、国内外においていろいろな挑戦や課題やリスクがありました。

100円から投資ができる時代、クレジットカードで投資ができる時代、低コストの投資信託が数多く販売される時代が来るとは思いませんでした。

私が投資を始めた時はS&P500に連動する投資信託などありませんでしたし、投資信託はコストが高い(自分で個別株投資した方がマシ)と思うくらいでしたから、

多くの問題を乗り越えて、現在のように、個人投資家にとって良い投資環境が整ったことをとても嬉しく思っています。

今後も、日本の個人投資家の投資環境が、改悪ではなく、より改善されていくことを願っています。


いつもありがとうございます。


もしよかったら、応援クリックよろしくお願いします。

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村


米国株ランキング

ランキングサイトに参加しているので、

上の応援ボタン2つをクリック頂けると、

ものすごくありがたいです。毎日記事を書く励みになります。