大恐慌のGEの簿価
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ベンジャミン・グレアム著 証券分析 【1934年版第1版】より引用

今では貴重な大恐慌時の(1929~1930)GEの簿価です。

よく見ると、あっ・・(察し)となりますね。

今回は、1929年の大恐慌について話していきたいと思います。

1929年~51年までのS&P500チャート


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1929年の10月24日、暗黒の木曜日から始まった大恐慌。

株価がピークから、80%以上も下げるという大暴落でした。


暴落前の株価に戻ったのは1954年。

株価が回復するまで「25年」もかかった。

という事がよく話題に上がります。


でも、個人的にその通説には疑問が残ります。

以下「ドルベース・インフレ調整なし」で考察をしていきたいと思います。



①配当を考慮する

大恐慌の話をする時に大体使われるのが、

「配当無し」の株価チャートです。

先程のよく見るチャートも「配当無し」のものです。

S&P500指数そのものは確かに、回復まで25年を擁しています。


しかし、

実際に、投資家には「配当」が発生しているわけですから、

「配当込み」のデータを用いるべきだと思います。


配当込みの指数を見てみると、

回復までにかかった期間は、15年5か月と約10年以上短くなります。


②株と債券に分散投資をする

より大切なのはここからです。

大恐慌時代も、

Tビルなどの安全な米国債券はプラスリターンを出し続けていました。

例えば、1929~32年の間、一か月物のTビルのリターンは+6%程となっています。


もし、よく言われる

株と債券50:50のポートフォリオを組んでいれば、

下落幅も抑えることができ、

配当込の指数15年5カ月より、さらに短い、

6年2か月で元本を回復させることができました。

(1925年に100ドルを投資し、月次リバランスを続けた場合)


③ドルコスト平均法

②の株と債券(50:50)のポートフォリオで、

1929年8月の株価がピークの時から、

毎月一定額、ドルコスト平均法で拠出を続けた場合、


大暴落後も平均購入価格が下がり続けるため、

3年9か月後の1933年5月の時点で、収支がプラスに転じます。



机上の空論ではあるが・・・

もちろん、議論の余地はあると思います。

例えば、

4人に1人が失業している中、本当にドルコスト平均法を続けられたのか。

取引コストを考慮していないとか。

(当時のものを調べることができず、すみません)


その一方で・・・

(①の配当を考慮するのは普通の事として置いておいて)

②、③に関しては

〇「資産の分散」

〇「ドルコスト平均法」(下落時でも定期的に拠出する)

といった、投資の基本と言われている事の大切さが

よくわかる結果だったのではないでしょうか?


難しい事をしなくても、基本通り、

「当たり前の事」を「当たり前に続ける」だけで、

1929年の大暴落後ダメージは、かなり和らげることができた。

ということはわかって頂けたかと思います。




以下余談です。

事実を知る。

「ファクトフルネス」ではありませんが、

株価のチャートだけをみて「25年も・・・」と、

何となく恐怖を感じたり、不安を煽る前に、

事実をしっかりと知ることが大切だと思います。


リスク許容度に応じて・・。

②、③に関しては「50:50」仮定に基づくものですが、

例えば「株と債券 60:40」した場合、

当然回復までに要する期間は長くなりますが、

それでも、株式100%の時に比べて大きくダメージを減らす事が可能です。

このバランスは、各々のリスク許容度に応じて良く考えて頂ければと思います。


市場に居続けることが大切。

米国株式市場が最も最悪の年だった1年は

1931年で、

1年間で-43.1%という下げ幅を叩き出しました。


その一方で、

最も1年間のリターンの高かったベストイヤーは、

1933年。+54.2%の上昇を記録しました。


暴落の後も市場に居続ける事の大切さ、

そしてタイミングを計る難しさが

よくわかる好例だと思います。


実は70年代の米国市場の方が厳しい

もちろん、

この「米国株式+米国債券 50:50」のポートフォリオが、

全てにおいて万能と言うわけではありません。


例えば70年代。

特に中盤の下落や後半のインフレに対しては、

(やりようがないわけではありませんが)

米国内の資産だけで乗り切ろうとするよりも、

国際分散を図った方が、より簡単に、よりよい結果に持っていけると思います。



結論

余談の方が長くなってきたので、

結論をまとめたいと思います。


「資産の分散」・「定期的な資金の拠出」

(ドルコスト平均法や配当再投資など)

基本的な事、当たり前だと言われるような事でも、

それをやり通せば、

1929年の大恐慌後のダメージをも大幅に軽減することができます。


もちろん、下落そのものを抑える事はできませんが、

暴落直後に資産を全て売り、投資をやめてしまったり、

全く何も備えていない場合よりは、

大分マシだと思います。


「当たり前の事」が、なぜ大切なのかをしっかりと理解し、

決して基本を軽視したり、おろそかにすることなく、

規律を保ち、

最期まで続けることが何より大切だと思います。


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