【今日は高インフレ、明日は仕事だらけの不況】
バンガードのグローバルチーフエコノミスト、
ジョー・デイビス氏が、
米国のインフレと景気後退のリスクについての
見通しを解説していたので紹介します。
「High inflation today, a “job-full recession” tomorrow」
【スタグフレーションは起こるのか】
ジョー・デイビス氏は70年代型のスタグフレーションが起こる可能性は高くはないと指摘します。
現在、スタグフレーションの3つの要素のうち 2 つ、
「高インフレ」と「経済の低成長またゼロ成長」までは揃っていますが、
「高インフレ」と「経済の低成長またゼロ成長」までは揃っていますが、
3番目の「高失業率」が欠けています。
米国の労働市場は堅調で、弱まる兆しはあまり見られません。
これは、70年代を繰り返す可能性があまり高くないことを示しています。
【70年代との2つの違い】
高インフレの危険な点は、インフレが自己実現的な予言となり、
頑固な「粘着性」を持つようになる点です。
頑固な「粘着性」を持つようになる点です。
物価がさらに上昇すると予想される場合、当然ですが、人々は賃金の引き上げを求めるようになります。
そして、雇用主は利幅を守るため、提供する商品やサービスの価格を引き上げ、それが更なる賃上げ要求につながるという、賃金ー物価スパイラルが発生することに繋がります。

ただ、現在の消費者、ビジネスリーダーおよび金融市場の多くは、
このような高いインフレが長期的に続くとは予想していません。
これが70年代との大きな違いです。
70年代とのもう一つの違いは、
FRBが、最近の積極的な引き締めがまだ十分にインフレを抑制していないと認識している点です。
FRBが、最近の積極的な引き締めがまだ十分にインフレを抑制していないと認識している点です。
70年代のバーンズFRB議長の失敗(政治的配慮や時期尚早の大幅利下げ)は、
後に大きな代償を支払うことになりました。(FF金利20%、失業率10.8%、景気後退16カ月)
パウエル議長等、現FRBのメンバーが1970年代のFRBの金融政策の失敗を認識し、
同じ轍を踏まないよう行動している点が当時との大きな違いとなります。
【ソフトランディングもないが、スタグフレーションもない】
これらを踏まえて、ジョー・デイビス氏は
「不況の可能性は高いが、過去の不況とは異なるものになるであろう」と指摘します。
デイビス氏は、以下のように述べています。
主に中央銀行がインフレを抑制するため、利上げを継続する必要があることから、2023年のベースラインの予想は、米国およびその他の主要経済国での景気後退が考えられる。
「不況の可能性は高いが、過去の不況とは異なるものになるであろう」と指摘します。
デイビス氏は、以下のように述べています。
主に中央銀行がインフレを抑制するため、利上げを継続する必要があることから、2023年のベースラインの予想は、米国およびその他の主要経済国での景気後退が考えられる。
米国では、インフレ率は低下するものの3%以上を維持し、短期金利は4%前後で推移すると思われ、ソフトランディングではないが、スタグフレーションでもない状態が予想される。
また、金融市場はこのシナリオをまだ十分に織り込んではいません。今後数ヶ月、市場のボラティリティは高まるだろう。
この予想が当たるかはわかりませんが、個人的には、
も、今後数カ月、ボラティリティーが高い展開が続いても、
慌てず、平常心で投資をすることが大切です。
また、予めそのような投資ができる環境や資産配分を構築することが重要だと思います。
【不況の様相は様々】
そして、ジョー・デイビズ氏は、次のように続けます。
今回の景気後退はおそらく過去のものとは異なるものになる可能性が高い。
2020年の新型コロナウイルスによる不況は深刻なものであったが、短期間で終わりました。
2007年から2009年にかけての世界金融危機は、深刻な雇用喪失と非常に弱い回復をもたらしました。
2001年の不況は穏やかだったが、不況後の数年間は雇用の増加が乏しく、「雇用なき回復」と呼ばれました。
【2023年の予想】
としています。
いろいろな投資戦略があると思いますが、バンガードのグローバルチーフエコノミスト、ジョー・デイビス氏の見解が何かしらの参考になれば幸いです。
私自身は、以前紹介したように、景気後退を読んで多少ポートフォリオを動かして当てても、そこまで大きくリターンが改善しないとの研究もありますから、
過去記事「もし、景気後退を当てることができたら、どのくらいリターンが改善するのか?」
こういう見解もあると知ったうえで、特に何もせず、いつもどおり投資を続けていきたいと思います。
この予想が当たるかはわかりませんが、個人的には、
も、今後数カ月、ボラティリティーが高い展開が続いても、
慌てず、平常心で投資をすることが大切です。
また、予めそのような投資ができる環境や資産配分を構築することが重要だと思います。
【不況の様相は様々】
そして、ジョー・デイビズ氏は、次のように続けます。
今回の景気後退はおそらく過去のものとは異なるものになる可能性が高い。
2020年の新型コロナウイルスによる不況は深刻なものであったが、短期間で終わりました。
2007年から2009年にかけての世界金融危機は、深刻な雇用喪失と非常に弱い回復をもたらしました。
2001年の不況は穏やかだったが、不況後の数年間は雇用の増加が乏しく、「雇用なき回復」と呼ばれました。
【2023年の予想】
デイビス氏の考える、最も可能性の高いシナリオは、CPIインフレ率の低下と実質GDPの一時的な減少です。
解雇が増え、失業率は3.7%という非常に低い水準から上昇しますが、おそらくそれほど大きくは上昇しないでしょう。
デイビス氏のベースケースでは、失業率は5%を大きく下回り、過去の不況と比較すると「雇用の多いの不況になる」と見ています。
解雇が増え、失業率は3.7%という非常に低い水準から上昇しますが、おそらくそれほど大きくは上昇しないでしょう。
デイビス氏のベースケースでは、失業率は5%を大きく下回り、過去の不況と比較すると「雇用の多いの不況になる」と見ています。
労働需要の多くは、さまざまな産業における特定のスキルに対する深いニーズを反映しており、
労働供給は、成長率が低下しても、目の前の仕事に対して不十分なままであり、
仮に企業が、求人を20%減らし、レイオフを20%増やしたとしても、米国の労働市場は相対的にタイトなままであろう。
また、コロナショックの後のように、再雇用できないかもしれないという不安から、労働者を手放したがらない企業もあるかもしれない。
労働供給は、成長率が低下しても、目の前の仕事に対して不十分なままであり、
仮に企業が、求人を20%減らし、レイオフを20%増やしたとしても、米国の労働市場は相対的にタイトなままであろう。
また、コロナショックの後のように、再雇用できないかもしれないという不安から、労働者を手放したがらない企業もあるかもしれない。
としています。
そして、デイビス氏は最後に、「不況の様相はさまざまです。労働市場は弱まるでしょうが、一部の人が懸念するほどではないでしょう」とまとめています。
いろいろな投資戦略があると思いますが、バンガードのグローバルチーフエコノミスト、ジョー・デイビス氏の見解が何かしらの参考になれば幸いです。
私自身は、以前紹介したように、景気後退を読んで多少ポートフォリオを動かして当てても、そこまで大きくリターンが改善しないとの研究もありますから、
過去記事「もし、景気後退を当てることができたら、どのくらいリターンが改善するのか?」
こういう見解もあると知ったうえで、特に何もせず、いつもどおり投資を続けていきたいと思います。
いつもありがとうございます。
もしよかったら、応援クリックよろしくお願いします。

にほんブログ村
コメント
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。