
【世界初のインデックスファンドの話】
世界最初のインデックスファンドは、
約50年前の1971年に、米ウェルズ・ファーゴ銀行が企業年金向けに発売したものでした。
これはNY株式市場に上昇する全ての企業1500社均に等配分するものでしたが、
運用手法がまだ確立されていなかったことや当時の売買コストの高さから、頻繁にリバランスを繰り返すたびに、コストがどんどん嵩んでいき上手くいきませんでした。
1973年にウェルズファーゴ銀行はS&P500指数との運用を目指す運用に切り替えました。
これが世界初のS&P500インデックスファンドとなります。
【バンガードS&P500インデックスファンドの誕生】
そして、1976年、ジャックボーグルの設立したバンガード社が世界初の個人むけインデックスファンドを設定。
その名は、『ファースト・インデックス・インベストメント・トラスト』
S&P500指数に連動を目指す時価総額加重型のインデックスファンドで、後のいわゆる「バンガードS&P500インデックスファンド」となります。
ただ、その船出は決して順調ではありませんでした。
【まさかの280銘柄でスタート】
あまり知られていませんが、
バンガードS&P500インデックスファンドは、280銘柄でスタートしました
5000万~1.5億ドルの範囲を目標にIPOしたのですが、
投資家からは1130万ドルしか調達できなかったからです。
S&P500指数の全500銘柄を100株ロット買う事すらできず、
S&P500指数の上位200銘柄+指数連動するように選出された80銘柄の、
全280銘柄でバンガードS&P500インデックスファンドはスタートしました。
【とある「弁護士さん」のお話】
危うく失敗するところだったこのIPOの裏側にはおもしろいエピソードがあります。
引受会社の「弁護士さん」は、投資家があまりにファンドを買わないので心配になり、
自分のお金で1000株ほど、ファースト・インデックス・インベストメント・トラスト、つまり、バンガードS&P500インデックスファンドの株を買っていました。
その後、バンガードS&P500インデックスファンド40周年を祝うための集まりで、その弁護士さんはこう話したそうです。
「私は引受の助けになればと思って、IPOの時に、6%の販売手数料込みの1株15ドルで、ファースト・インデックスの株を1000株買いました。
配当は全額再投資して、税金は別途納めました。
この会食の席に来る前に、直近の資金運用表を確認した所、
今私は”4493株もっていて、今日の純資産価値は1株当たり250.99ドルなので、
現在の資産価値は”112万7704ドルということになります」
投資15ドル×1000株=1.5万ドルで投資したS&P500インデックスファンドが、
約42年後、約112万ドルとなっていたわけです。
弁護士さんは熱烈な拍手を浴びながら席に戻ったと記されています。
参照 航路を守れ: バンガードとインデックス革命の物語
”の数字は2018年6月30日時点のもの。現在はより増えていると思われます。
S&P500インデックスファンドの最初の投資家の一人「弁護士さん」
もし仮に、IPOが大成功して、彼がS&P500インデックスファンドに投資をしていなかったら。
彼の資産はどうなっていたのか。歴史のIFも気になる所です(笑)
【まとめ・感想】
バンガードS&P500インデックスファンドに投資をして、
特に何もせず、配当を42年間再投資した結果、
最初の1万5000ドルが112万7704ドルになった。
ロナルド・リード氏(ガソリンスタンドおじさん)のような素敵な長期投資の成功談ですね。
航路を守り、淡々と日々インデックスファンドに投資を続けている、
投資家の皆様にとってはとても心強い話ではないかと思います。
さて、こういう話を聞くと「40年も待てないよ」という方もいるかと思います。
気持ちはわかります。
そういう方は、定期的に拠出したり、拠出額を更に増やすよう努力すれば、確実に資産形成のペースを上げ、目標額へ到達する期間を大きく縮めることができます。
まあ、人生人それぞれ。投資戦略やアプローチも人それぞれだと思いますが、
私も自分のペースでS&P500への投資を続けていきたいと思います。
いつも本当にありがとうございます。
オススメ書籍
「航路を守れ: バンガードとインデックス革命の物語」
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