【株式市場は5倍に】

1920年代の米国株式市場は、好調と言われているリーマンショック後の直近の10年よりも、遥かに急激に上昇していました。

1920年の12月から、大暴落が起きる1929年の9月までに米国株式市場の株価は約5倍となっていました。

1株当たりの利益も1920年代を通じて急増しましたが、株価はこれに通常よりも激しく反応しました。


【大恐慌を簡単に振り返る】


そして1929年の10月28日、ダウが1日で13%下がる暴落が起きました。S&P総合指数は28日と翌29日と合わせて21%下落しました。

ただ、この時点ではたった21%しか下げておらず、翌30日には2日間の下落の半分を取り戻す大きな反発がありました。

リーマンショックやITバブルでも見られた、反発しながら下げていくというやつですね。

≪世界恐慌時の年次リターン》

1929年 -17.17%
1930年 -33.77%
1931年 ー52.67%
1932年 ー23.07%

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http://blog.livedoor.jp/jungledog/archives/576087.htmlより

その後、なんだかんだあり(略)底打ちする1932年6月までの約2年半の間に株価は86%下げ、最初に紹介した1920年12月の水準以下になりました

この間投資家や経済学者、政治家は、実体経済は堅調だと主張し続けましたが、株式市場は過剰すぎるくらい、無慈悲に下落を続け、

その後、株価指数は1953年まで(配当を考慮すると暴落から15年くらい)1929年のピークを取り戻すことはできませんでした。


【靴磨きの少年の伝説】

さて、1929年の大暴落の中で生まれ、真実として語り継がれる逸話に「靴磨きの少年」というものがあります。

「靴磨き少年」は歴史の教科書でいう「聖徳太子」くらいの位置で登場する「初期の偉人」として、誰でも知っているお馴染み存在だと思います。

靴磨き少年の伝説はこんな感じです。

ジョン・F・ケネディ大統領の父親、ジョセフ・ケネディ・シニア氏が、

1929年、株式市場のピークの前に、靴磨きの少年が株式投資アドバイスを申し出たことをきっかけに、株式市場のピークを悟り、保有株を処分しようと決断したというものです。


【2017年ビジネスインサイダー】


さて、冗談はさておき、2017年のビジネスインサイダーでも、「靴磨きの少年」の様子は、はっきりと描かれています。

1929年、JFKの父親、ジョセフ・ケネディ・シニアはこうしたちょっとしたヒントを見逃さず、ピークで売り抜けただけではなく、下落にあたっても大量の棚ぼた式の儲けを手にした。

株式市場に投資をしたほとんどあらゆる人にとってと同じく、ジョセフ・ケネディ・シニアにとっても1920年代は実に素晴らしい時代だった。当然だろう。買えるだけの株を買って、それを上がるのを見守ればよかったのだから。

1920年代の喧騒の強気相場で大儲けをしたケネディ・シニアは、そろそろ靴を磨こうと考えた。

靴磨きの椅子に座っている間に、ケネディ・シニアは靴磨きの少年がどの株を持つべきかについていくつかのアドバイスを贈ってくれたのに驚いた。そう靴磨きの少年が株式市場に手を出している。

この頼まれもしないアドバイスのおかげで、ケネディ・シニアは人生の転機を迎えた。彼はすぐオフィスに戻ると、株式PFを全部処分し始めたのだ。

それどころか、単に市場を離れるだけではなく、それを大きくショートした。そして、その後まもなくやってきた暴落のおかげで濡れ手に粟の大儲けをした。

ピークに達したからといって鐘が鳴ったりはしないが、靴磨き少年が株式のアドバイスをするようになったら、そろそろ出口に向かう頃合いなのだ。



【だが、この通説には疑問が残る】

多少のバリュエーションはあれど、皆さんの知っている靴磨き少年の話も、だいたいこんな感じではないでしょうか?

しかし、これら通説には大きな疑問があります。

ノーベル経済学賞を受賞したロバー・シラー教授が、1920年代と30年代のデータベースを懸命に調べても、この物語の裏付けはとれませんでした。

シラー教授の調べたところ

「靴磨きの少年」が重要人物に株のアドバイスを贈った。という逸話を、最も早く言及したのは1957年のバーナード・バルークの回想記でしたが、

それですら「靴磨きの少年」によって天啓がきたと。いうよくある話とは言い難いとしています。

また、それより以前、1915年には「女中や靴磨き人たちがツキにより一財産を築いたような話は聞かない。そうしたロマンスは通常上昇の終末が近づいているのを示すのだ」といった記事はあったそうです。

ロバート・シラー著 ナラティブ経済学: 経済予測の全く新しい考え方参照


【まとめと感想】

人はチューリップ然り、イノベーション然り、仮想通貨や暗号通過然り、それが嘘か真実か、愚かか賢明かは別として、いろいろな物語を作り出し、共有していきます。

ある物語は根拠なき熱狂となって人々の信念を変え、人々や社会の行動、政治や国家の在り方を変えることまであります。

ナラティブはどのようなメカニズムで、通説化し、人々の心をとらえるのか?私にはわかりません。

でも、人はそういう「物語」が大好きだということを知っておくと投資の役に立つかもしれませんね。

ある意味では人間皆、靴おじということかもしれません。

もし、初心者の方や若い投資家の方で、私のようなおっさんに「靴磨きの少年wだから最近の初心者は」などと煽られた時は、「ソースをだせ」と言ってみるとよいでしょう。

某朝の番組で若い人に『喝』をいれている往年の名野球選手のような老人に、何か言われたときは使ってみてください。

初心者の方や若い投資家の方を、煽ったり、馬鹿にするのではなく『応援したい』りんりからのちょっとした、実践的なアドバイスでした。

とはいえ「後世の作り話かもしれない話を信じるなんて、真田十勇士や三国志を真にを受けちゃうタイプですか?そっちの方が投資家として危ういですよ」なんて返すのは、逆にあなたの身が危うくなるのでやめましょう。

話は少し脱線しましたが、投資家や人間は物語が好きということ。

嘘か本当かわからない物語でも実際にあったような通説、共通認識になりえ、それが株式市場や実体経済を動かすほどの力を持つことがあるということ。

そして、もし、株の大暴落で大損した靴磨きの少年が本当にいたとしても、その後も何でもいいから働いて、強く生きてさえいれば、

青年になり、靴磨きおじさんになるころには、1950年代の回復と1960年代の強い上昇相場によって一財産築けたかもしれません。

もしかしたら、1930年代の若い頃の失敗の経験を活かし、70年代の暴落のダメージを抑制できいたかもしれません。

そう考えると、少年の、若い頃の失敗というのはその後の活かし方一つで、立派な経験と恥ずかしい勲章みたいなものになるのかなと思います。

年明けからの相場を受け、初心者の方や最近投資を始めた方で、何かしら失敗したと感じている方がいるかもしれません。

その経験や感情を大切に、物語に騙されないよう気をつけながら、今後も楽しく投資を続けていきましょう。

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