【過去1年のスタイルボックス】

先週はグロース株が売られ、バリュー株が買われるという展開が続きました、
過去1年を振り返ってみると小型グロース株が大きくマイナス。
昨年以降、インフレや金利上昇といったレジームシフトを受けて、
ここ数年好調だったグロース株からバリュー株へのシフトが進んでいるようです。
過去1年を振り返ってみると小型グロース株が大きくマイナス。
昨年以降、インフレや金利上昇といったレジームシフトを受けて、
ここ数年好調だったグロース株からバリュー株へのシフトが進んでいるようです。
【バリュー株には明るい未来が待っている?】
約1年前に紹介した米バンガードの2021年5月のレポートによると
https://advisors.vanguard.com/iwe/pdf/ISGVVG.pdf
米バリュー株は、米グロース株を、
今後5年間は年率平均で9~13%、
今後10年間は年率平均5~7%上回ると予想されています。
また、今後10年間において、米国株式全体の年率平均リターンの予想は3~5%に対して、
バリュー株にPF全体を振り向けた場合のリターンは4.3%~7.3%になると予想されていました。
(市場に対しては、バリュー株が1.3%~2.3%のアウトパフォーマンス)
初心者の方はほんの数%と思うかもしれませんが、
年率5~7%で10年間を複利で考えると、ずいぶん差が開く予想だということがわかりますね。
On an average annualized basis,our forecast suggests value should outperform growth by between 9% and 13% over the next five years and 5% to 7% over the next ten years.
Investors who allocate their entire equity portfolio to value can expect average annualized returns of 4.3% to 7.3% over the next decade, versus 3% to 5% for the broad U.S. equity market.
約1年が経過した今振り返ってみると
ラッセル1000バリューETFVONVの過去1年のリターンが+9.8%なのに対し、VONGのリターンは+5.7%とバリュー株のアウトパフォーマンスとなっています(ドルベース)
1年前にこの予想を紹介した時には、レバナスに投資をしている方の中のごくごく一部の方に、私とバンガードが叩かれたりもしましたが(笑)
今紹介したらどうなるのか。あと4年ごと9年後この予想がどうなるのか個人的には楽しみにしています。
【長期に渡って存在していたバリュープレミアム】

Fama-French の手法を用いて構築されたバリュー対グロースのポートフォリオの、1936年6月から2021年1月までの10年間の年率トータルリターンの月次観測値
1927年から2015年までの米国株のバリュープレミアムは年率4.8%
この間、バリューファクターが市場をアウトパフォーマンスする確率は、
1年 63%
3年 72%
5年 78%
10年 86%
20年 94%
となっていました。
※但しバリューファクターは、最長で60か月以上(5年以上)市場をアンダーパフォーマンスしたこともあります。
【理由① グロース株はやや割高】
ではなぜ、バリュー株が今後グロース株や市場を上回るとバンガードが予想するのか。
この点が縦横だと思います。
いくつか理由が挙げられていましたが、
わかりやすい所では、21年2月時点で、バリュー株はフェアバリューの下限ギリギリで割安なのに対し、
グロース株はフェアバリューの上限ぎりぎりで割高だったことがあげられています。

近年、グロース株に有利な低インフレ・低金利といった経済的な環境や、
企業の成長などに伴い、グロース株の公正価格は上昇し、バリュー株の公正価格は低下してきました。
が、市場はやや過剰反応しているようにも思われます。
フェアバリューからの偏差は通常、時間と伴に公正価格に戻ります。
【理由②】
先程の「フェアバリューへの回帰」に加えて、
今後「フェアバリューそのものが変化」する可能性があります。
過去10年、グロース株は米国のバリュー株を年平均7.8%上回ってきました。
「バリュープレミアムは消滅した」とか、「バリューの定義が変わった」というような主張をしている方もいますが、
バンガードは、このアウトパフォーマンスの80%程度は、過去のインフレ、実質金利、企業の利益成長率、ボラティリティなどを考慮したモデルで説明可能だと言います。
特に、1979年以降の40年間にも渡るインフレ率の長期的な低下は、バリュー/グロースのフェアバリューの低下の大部分を説明しています。

バンガードは、今後コロナからの回復の中で、
インフレが2%を目標に正常化し始め、実質金利が上昇し、企業の利益成長が上昇していくにつれて、
今後5年~10年はフェアバリューが徐々に上昇していくと予想しています。

ITバブル時や直近の緑のラインを見るとわかるように、
過去、フェアバリューレンジが下がっていく時はグロース株が強いですが、
上昇する時にはバリュー株の方が強かったことがわかります。
ITバブルがはじけた後、次の5年間米バリュー株は年率で16%程グロース株を上回りました。
※ただし、回復が停滞(もしくは逆転し)インフレも企業収益も加速しなかった場合、引き続きグロース株がアウトパフォーマンスする可能性もあるとのことです。
※また、このアウトパフォーマンスはバリュー株の急成長ではなく、
グロース株のパフォーマンスの悪化によって引き起こされるとしており、市場全体でのリターンは控えめな予測となっています。
【まとめ】
「フェアバリューへの回帰」と「フェアバリューの変化」によって、
米バリュー株は今後5~10年間において、米国株式市場やグロース株を上回る可能性が高い。
というのがバンガードの予測です。
十分なリスク許容度、期間、および忍耐力を備えた投資家にとって、
米バリュー株へのオーバーウェイトは、今後10年間に予想される米国市場および他の資産価格のリターンの低下を相殺するのに役立つ可能性があります。
としています。

ただ、他にも考慮すべきリスクや、省略した説明がたくさんありましたので、
興味のある方は是非原文をご覧下さい。
記事内のグラフの引用元もこちらです。
https://personal.vanguard.com/pdf/ISGVVG_042021_A4_ONLINE.pdf
このレポートが将来を保証するものではありません。
未来はどうなるかわかりません。
【ジョセフ・H・デイビス氏の見解】
バンガード社のグローバルチーフエコノミスト
ジョセフ・H・デイビス氏は21年3月に「市場の評価に確信があり、忍耐強い時間軸を持ち、高いボラティリティの中でも規律を保持できる投資家は、
リスク許容度に見合ったバリュー株へのオーバーウェイト配分を行う事で、リターン(α)を得ることができるかもしれない」と発言していましたし、
つい先日もモーニングスターのインタビューで、「バリュー株がグロース株を上回る」との見解を示していました。
追記 2021年のこの発言以降、約2年半以上が経過しましたが、発言したとおり、バリュー株のアウトパフォーマンスが続いています。

私は長年米バンガードのファンでしたが、ここまで条件付きですが、アクティブ投資(バリュー株への加重)を勧めるバンガードはこの7年間見たことがなかったのでものすごく興味深く感じています。
また、ブラックロックやGMOなど他の運用会社や著名投資家等も同様の意見が多く見受けられます。
一方で、ARKやレバナスが好きな投資家の皆様や、FANG+SBIや楽天の買付無料ETFに食い込むQQQやVGTなどグロース株によせたETF(VTVなどバリューETFは含まれていない)を見るに、
はるか遠くの島国でも、未だ米グロース株は人気だということもわかります。
私はどちらかといえば、バリュー株が好きですが、今後どうなるかはわかりません。
ので、いつも通り市場全体に投資をできるパッシブファンドを用いて、
その両方に適切にベットしながら、いつも通りの運用を続けていきたいと思います。
いつもありがとうございます。
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