「サバイバル」
スティーブン・J. ブラウン氏等の「サバイバル(Survival)」という論文があります。
1995年の少し古い論文ですが、
新興国についておもしろい見解が記されています。
新興国やVWOといったETFが少し話題となっていましたので、
簡単に紹介したいと思います。
【36の証券取引所を調査した結果】
この論文では以下の2点が記されています。
①1900年に開所していた、36の証券市場のうち半分以上が、
一回以上戦争や国有化などにより取引が中断された時期があること。
まさにサバイバルですね。
そして、
②1900年に開所していた、
36市場のうち15市場は100年以上たっても新興国市場のままであったこと。
例えば、セルビアのベオグラード市場は、
100年以上たった現在でも、新興国インデックス指数にすら採用されていません。
この論文の著者らは、以下のようにまとめています。
事実、『新興国市場』という言葉は、これらの市場は失敗する可能性がある。
という意味なのである。
【感想】
米国の経営陣と株主の利益は利害の一致することが多いですが、
新興国の経営陣(企業および国家)と投資家の利害は一致しない事はざらにあります。
また、法規制の枠組みが出来上がっていない不確実性の高い国もあり、
普通の投資家なら、そのリスクの分、リターンの上乗せを要求したくなるところですが、
新興国市場が、必ずしも米国株式市場より、
高いリターンをもたらしてくれる保証がないのがまた難しい所ですね(笑)。
さて、今回特に注目していただきたいのは、
1900年時点で開所していた36の証券市場のうち半分以上が、
1995年までの間に戦争や国有化などにより、取引が中断された時期があるということです。
そう考えると、
今ロシア市場で起きていることは、何万年に一度のあり得ない事件ではなく、
普通に起こり得る、カントリーリスク、流動性リスク、地政学的リスクなどの一つなのかもしれませんね。
歴史は繰り返さないが韻を踏むとも言います。
未来の市場はわからないものの、過去の市場の一部くらいは学ぶ事ができるので、
いざという時慌てないように、また先人達と同じ失敗を犯さぬように、
特に投資初心者の方は、株式市場の歴史などを学んでみると面白いのかもしれません。
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