【クリエナETFはS&P500よりも低リスク?】
今年2021年の1月くらいでしょうか。
「クリーンエナジーETFはS&P500よりも低リスク」
という、パワーワードが飛び出るくらい、クリエナETFが話題となりました。
不思議な事に最近ではあまり耳にしませんね。
その当時の様子を風刺したこんなtweetもありました。
【魅力的なストーリー≠投資家のリターン】
もちろん、私も環境問題は地球に住む人達が一丸となり取り組むべき問題だと思います。
しかし、それが投資家にとって利益を生むかというとまた別問題だと思います。
この点は、環境問題に取り組むビルゲイツ氏も、ドキュメンタリーやインタビューを見る限りですが、とても苦労しているポイントの一つだと思います。
【S&P500とクリエナETFのリスクを考える】
S&P500とクリエナETFそれぞれのリスクについて
「ボラティリティ」と「不確実性」の2つの視点から考えてみましょう。
①ボラティリティ(標準偏差)
以下は、当時話題になった2つのクリエナETFとS&P500インデックスファンドのリスクやリターン、チャートを示したものです。
①QCLN
②ICLN
黄色バンガードS&P500インデックスファンド

ごめんなさい。画像が見にくい方はクリックすると拡大できます。
確かに、話題となる少し前の2020年頃にクリエナETFは急上昇しています。
ただ、リスク(Stdev)を見れば、
S&P500の方が10%以上低いですし、
マックスドローダウンもシャープレシオもS&P500の方が優れているということがわかります。
こういう数字を見れば「クリエナETFはS&P500よりも低リスク」というのは、
その時の「熱」みたいなものが生み出した、事実に即さない言葉だという事がすぐにわかります。
また、普通に考えて、異なる相関を持つ投資対象を組み合わせることによりリスクを減らすことができる、
所謂「分散効果」もクリエナETFよりも、S&P500の方がより分散が効いているので、長期的にはリスクが低くなると予想できます。
②リスクを「不確実性」と捉えた場合。
また、リスクを不確実性と捉えた場合もクリエナETFの方が、将来どうなるか未知数な点が多くあると思います。
バイデン政権の政策や法案、イノベーション、技術開発、生産、普及、そして実際に投資家の手に残るのはどのくらいのリターンなのか。課題も不確実性も山積みです。
S&P500にも不確実性はありますが、特定の分野だけではなく、いろいろな業種やセクターの集まりですし、世界有数の大企業の集まりでもあります。
S&P500には、収益性などある程度実績が認められている企業が選出されていますので、
不確実性に対してもクリエナETFよりは柔軟かつ堅牢だと思います。
①②などの理由から
【結論・筆者の言いたいこと】
こうして書くと、クリエナETFを否定しているように思う方もいるかもしれないが、そういうことではありません。
私がこの記事で言いたいことは
「テーマ型」ファンドやETFの扱いには気をつけようという事です。
【話題になる前に投資をして成功した場合】
例えば、2020年の1月、まだあまり話題になってない頃にクリエナETFに投資をしていれば、S&P500を超える大きなリターンを投資家は手にすることができました。

こういうことのできる方は先見の明がある、かつリスクがとれる方。もしくは運がある方だと思います。いずれにしてもすごいと思います。
おめでとうございます!
話題になる前に投資をするというのは一見簡単そうに見えますが、実は意外と難しく、
永遠に話題にならずに機会損失となったり、そもそも話題になってないから気づけなかったり、
気づいても自身が持てず大きく投資できなかったりします。
【話題になった後で投資をした場合】

先程の「クリエナETFはS&P500より低リスク」
「S&P500を売ってクリエナETFに投資をする」という言葉が話題になった、今年1月から現在までのチャートです。
この話題が乗りに乗った時期に、クリエナETFに投資をした場合どうなるでしょう。
それぞれマシな方と比較しても、リターンもリスクもS&P500と20%の差がついています。
もちろん、将来どうなるかわかりませんし、
今日から投資をする場合は、またどうなるかわかりませんが、
例えば、早くお金持ちになりたくてS&P500からクリエナETFに乗り換えた等であれば、
コストや税金を支払った上で、結果的に約8ヵ月もの時間と資金を無駄にしてしまったのですから、目も当てられません。
【まとめ】
繰り返しになりますが、
「テーマ型」ファンドやETFの扱いには気をつけましょう。
話題性(魅力的なストーリー・ナラティブ)に影響されたり、
過去のリターンばかり見て投資判断をしてはいけません。
少なくとも最高値圏の時期に投資をすることはあまり賢明とは言えません。
「高成長」「魅力的なストーリー」「過去のリターン」=「将来投資家が手にするリターン」ではないという事を学ことが大切です。
アクティブ投資が悪いわけでも、クリエナETFが悪いと言っているわけでもありません。
どうせやるなら上手にやって勝つことが重要だと思います。それができる人もいます。
でも、それが普通の人にはなかなか難しい。高値でジャンピングキャッチを失敗する方も多くいます。
おそらく過去記事で紹介したと思うのですが、
テーマ型ファンドの資金流入は、基本的にリターンの後追いとなっており、株価のピークに資金流入が増え始め、
下降を始めたころに資金流入がピークとなるケースが多々みられます。
もし、効率的に資金を増やしたい方や、投資に手間や時間をかけたくない方、能力や運に絶対の自信のない方、リスクのとれない方などは
変に、中途半端に、テーマ型ファンド等に手を出すことなく、
VTやVTIのような市場全体を丸抱えするETFに投資をして、ただ黙って保有するのが私は良いと思います。
いつもありがとうございます。
知らなかった、ちょっとだけ勉強になったという方は、
是非、応援クリックよろしくお願いします。

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今年2021年の1月くらいでしょうか。
「クリーンエナジーETFはS&P500よりも低リスク」
という、パワーワードが飛び出るくらい、クリエナETFが話題となりました。
不思議な事に最近ではあまり耳にしませんね。
その当時の様子を風刺したこんなtweetもありました。
お馬鹿投資家@Og6VmIj0RiUEl2Z
誰かがzoomだと言えばツイートにはzoomがあふれ、ARKだと言えばARKがあふれ、クリエネETFだと言えばクリエネETFがあふれ、いつの世にもイナゴはよく跳ねる。
2021/01/04 18:24:00
いっぱい読書して自分の頭でよく考え、自分なりのストーリーを立… https://t.co/BsVXJpTnb6
【魅力的なストーリー≠投資家のリターン】
もちろん、私も環境問題は地球に住む人達が一丸となり取り組むべき問題だと思います。
しかし、それが投資家にとって利益を生むかというとまた別問題だと思います。
この点は、環境問題に取り組むビルゲイツ氏も、ドキュメンタリーやインタビューを見る限りですが、とても苦労しているポイントの一つだと思います。
【S&P500とクリエナETFのリスクを考える】
S&P500とクリエナETFそれぞれのリスクについて
「ボラティリティ」と「不確実性」の2つの視点から考えてみましょう。
①ボラティリティ(標準偏差)
以下は、当時話題になった2つのクリエナETFとS&P500インデックスファンドのリスクやリターン、チャートを示したものです。
①QCLN
②ICLN
黄色バンガードS&P500インデックスファンド

ごめんなさい。画像が見にくい方はクリックすると拡大できます。
確かに、話題となる少し前の2020年頃にクリエナETFは急上昇しています。
ただ、リスク(Stdev)を見れば、
S&P500の方が10%以上低いですし、
マックスドローダウンもシャープレシオもS&P500の方が優れているということがわかります。
こういう数字を見れば「クリエナETFはS&P500よりも低リスク」というのは、
その時の「熱」みたいなものが生み出した、事実に即さない言葉だという事がすぐにわかります。
また、普通に考えて、異なる相関を持つ投資対象を組み合わせることによりリスクを減らすことができる、
所謂「分散効果」もクリエナETFよりも、S&P500の方がより分散が効いているので、長期的にはリスクが低くなると予想できます。
②リスクを「不確実性」と捉えた場合。
また、リスクを不確実性と捉えた場合もクリエナETFの方が、将来どうなるか未知数な点が多くあると思います。
バイデン政権の政策や法案、イノベーション、技術開発、生産、普及、そして実際に投資家の手に残るのはどのくらいのリターンなのか。課題も不確実性も山積みです。
S&P500にも不確実性はありますが、特定の分野だけではなく、いろいろな業種やセクターの集まりですし、世界有数の大企業の集まりでもあります。
S&P500には、収益性などある程度実績が認められている企業が選出されていますので、
不確実性に対してもクリエナETFよりは柔軟かつ堅牢だと思います。
①②などの理由から
「クリーンエナジーETFはS&P500よりも低リスク」という意見には私は賛同できません。
【結論・筆者の言いたいこと】
こうして書くと、クリエナETFを否定しているように思う方もいるかもしれないが、そういうことではありません。
私がこの記事で言いたいことは
「テーマ型」ファンドやETFの扱いには気をつけようという事です。
【話題になる前に投資をして成功した場合】
例えば、2020年の1月、まだあまり話題になってない頃にクリエナETFに投資をしていれば、S&P500を超える大きなリターンを投資家は手にすることができました。

こういうことのできる方は先見の明がある、かつリスクがとれる方。もしくは運がある方だと思います。いずれにしてもすごいと思います。
おめでとうございます!
話題になる前に投資をするというのは一見簡単そうに見えますが、実は意外と難しく、
永遠に話題にならずに機会損失となったり、そもそも話題になってないから気づけなかったり、
気づいても自身が持てず大きく投資できなかったりします。
【話題になった後で投資をした場合】

先程の「クリエナETFはS&P500より低リスク」
「S&P500を売ってクリエナETFに投資をする」という言葉が話題になった、今年1月から現在までのチャートです。
この話題が乗りに乗った時期に、クリエナETFに投資をした場合どうなるでしょう。
それぞれマシな方と比較しても、リターンもリスクもS&P500と20%の差がついています。
もちろん、将来どうなるかわかりませんし、
今日から投資をする場合は、またどうなるかわかりませんが、
例えば、早くお金持ちになりたくてS&P500からクリエナETFに乗り換えた等であれば、
コストや税金を支払った上で、結果的に約8ヵ月もの時間と資金を無駄にしてしまったのですから、目も当てられません。
【まとめ】
繰り返しになりますが、
「テーマ型」ファンドやETFの扱いには気をつけましょう。
話題性(魅力的なストーリー・ナラティブ)に影響されたり、
過去のリターンばかり見て投資判断をしてはいけません。
少なくとも最高値圏の時期に投資をすることはあまり賢明とは言えません。
「高成長」「魅力的なストーリー」「過去のリターン」=「将来投資家が手にするリターン」ではないという事を学ことが大切です。
アクティブ投資が悪いわけでも、クリエナETFが悪いと言っているわけでもありません。
どうせやるなら上手にやって勝つことが重要だと思います。それができる人もいます。
でも、それが普通の人にはなかなか難しい。高値でジャンピングキャッチを失敗する方も多くいます。
おそらく過去記事で紹介したと思うのですが、
テーマ型ファンドの資金流入は、基本的にリターンの後追いとなっており、株価のピークに資金流入が増え始め、
下降を始めたころに資金流入がピークとなるケースが多々みられます。
もし、効率的に資金を増やしたい方や、投資に手間や時間をかけたくない方、能力や運に絶対の自信のない方、リスクのとれない方などは
変に、中途半端に、テーマ型ファンド等に手を出すことなく、
VTやVTIのような市場全体を丸抱えするETFに投資をして、ただ黙って保有するのが私は良いと思います。
いつもありがとうございます。
知らなかった、ちょっとだけ勉強になったという方は、
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