
【均等配分について】
これまで度々触れてきましたが、
均等配分(1/n)PFついて、
いくつか論文や研究を紹介しつつ、
個人的な感想等を書いていきたいと思います。
私自身は均等配分が特別有利とは思っていませんが、
そこまで悪いものでもないと思っています。
詳しくは過去記事をご覧下さい。
各々の考え方は自由だと思いますし、どう投資をするかも自由だと思います。
このたった一記事で優越をつけようとか、そういうつもりは一切ありません。
ただ、今まで知らなかった方や興味を持っていなかった方の、
考えるきっかけになればと思っています。
【等金額ポートフォリオの有効性の検証】
まずはこちらの研究をご覧頂きたいと思います。
わが国の金融市場における等金額ポートフォリオの有効性の検証
おもしろいので是非。
https://repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/11454/1/keizai305-03.pdf
【DeMiguel et al.(2009)について】
次に、先程のレポート中でも、
均等配分を支持する根拠の一つとして挙げられている論文
DeMiguel et al.(2009)について触れたいと思います。
この論文は1/N、ポートフォリオの有効性を示す根拠として良く引用されています。
が個人的には疑問が少し残ります。
内容を一言で説明すると、
検証の結果1/N(均等配分)PFのシャープレシオは最適化によるPFを平均50%上回った。
という内容となっています。
ただ、この論文において最適化PFの方が上手くいかないのは、
短期間のリターンのデータを用いて推定した期待リターンに過度に依存しているから。
というような反論があります。
この論文では、60~120か月でローリングしたリターンのデータを用いて、期待リターンを推定しています。
ですが、このような短い期間を用いた推定値は、小標本誤差を含むことが多いので扱いが難しいという指摘があります。
例えば、市場が過去5年間下落していたら、次の5年間の期待リターンは低いと見込んでいいのでしょうか?
私個人としては、普通の投資家は「60か月という短期間のヒストリカルリタ―ン」以上の情報から、
将来について考え、最適なPFを考え作っていくと思うのですが。
【論文 Kritzman, Page, and Turkington】
もう一つ論文を紹介したいと思います。
こちらの論文も、最適化と1/Nを比較するバックテストを行っています。
DeMiguel et al.(2009)と違い、こちらは様々な適用場面が想定されており、
資産クラスに対する配分だけでなく、株式の業種、ファクター、個別銘柄、コモディティー、ヘッジファンド、アクティブファンドへの配分なども検証されています。
また、期待リターンの推定には以下の3つの方法が用いられており、
短期の標本平均を用いることの欠点を回避できるものとなっています。
①各資産の期待リターンを一定と仮定するものであり, 最小分散ポートフォリオが導出される。
②バックテストの開始前の数十年間のリスクプレミアムから期待リターンを導出する
③各時点で利用可能だったすべての月次データを用い長期のヒストリカル・データから期待リターンを推定する。共分散行列には, 5年, 10年, 20年の各ローリングおよびすべてのヒストリカルデータから得られる標本共分散を用いる。
検証期間は1978~2008年。毎年最適化を行いそのPFを保有する。
ポートフォリオはすべてウェイト合計が1でロングオンリーという以外の制約はなし。
総合的なパフォーマンスの測定として、カテゴリー毎にシャープレシオを用いる。
と言った条件の元、
50,000を超える最適化PFが評価され、1/nとの比較が行われました。
この結果、
時価総額加重と均等配分のPFのシャープレシオは共に0.7程度となり、
最小分散PFや長期リスクプレミアムによるPFのシャープレシオは1を超えるものとなりました。
つまり、この研究では、
1/nPFが特段有利とは言えない結果となりました。
となれば、コストが低い方を個人的には選択したいと私は感じます。
【また次の機会に】
他にもたくさんの論文やレポートがあるのですが。
長くなりましたので、
そちらはまだ別の機会に紹介したいと思います。
個人的は、均等配分に対して少し思うのは、
①結局はどの資産を選択するのか。資産クラスの選択に完全に依存してしまう点が意外と軽視されていること。
(均等配分でも、資産クラスをどう選択するか。なぜ4とか8なのか。不動産や債券、新興国、金などが必要かといった議論や、コストに対する議論等からは逃げられません)
②均等配分は、(ある意味では長所でもあるが)投資家によって求めるものやリスクに対する許容度が違うにも関わらず、単一のPFしか提供することができないこと。
資産クラスに対する配分だけでなく、株式の業種、ファクター、個別銘柄、コモディティー、ヘッジファンド、アクティブファンドへの配分なども検証されています。
また、期待リターンの推定には以下の3つの方法が用いられており、
短期の標本平均を用いることの欠点を回避できるものとなっています。
①各資産の期待リターンを一定と仮定するものであり, 最小分散ポートフォリオが導出される。
②バックテストの開始前の数十年間のリスクプレミアムから期待リターンを導出する
③各時点で利用可能だったすべての月次データを用い長期のヒストリカル・データから期待リターンを推定する。共分散行列には, 5年, 10年, 20年の各ローリングおよびすべてのヒストリカルデータから得られる標本共分散を用いる。
検証期間は1978~2008年。毎年最適化を行いそのPFを保有する。
ポートフォリオはすべてウェイト合計が1でロングオンリーという以外の制約はなし。
総合的なパフォーマンスの測定として、カテゴリー毎にシャープレシオを用いる。
と言った条件の元、
50,000を超える最適化PFが評価され、1/nとの比較が行われました。
この結果、
時価総額加重と均等配分のPFのシャープレシオは共に0.7程度となり、
最小分散PFや長期リスクプレミアムによるPFのシャープレシオは1を超えるものとなりました。
つまり、この研究では、
1/nPFが特段有利とは言えない結果となりました。
となれば、コストが低い方を個人的には選択したいと私は感じます。
【また次の機会に】
他にもたくさんの論文やレポートがあるのですが。
長くなりましたので、
そちらはまだ別の機会に紹介したいと思います。
個人的は、均等配分に対して少し思うのは、
①結局はどの資産を選択するのか。資産クラスの選択に完全に依存してしまう点が意外と軽視されていること。
(均等配分でも、資産クラスをどう選択するか。なぜ4とか8なのか。不動産や債券、新興国、金などが必要かといった議論や、コストに対する議論等からは逃げられません)
②均等配分は、(ある意味では長所でもあるが)投資家によって求めるものやリスクに対する許容度が違うにも関わらず、単一のPFしか提供することができないこと。
効率的フロンティアなら、期待リターンとリスクの組み合わせを持つ、様々な選択肢を投資家に提示することができる。
というような使いづらさもあるかと思います。
まあ、②には特に個人的な感想です。
もちろん、この他にもたくさん話したいことはあるのですが、
本当に話が終わらなくなるのでいったん区切ります。
【結論(個人の感想)】
結論としては、
1/nは、期待リターンやリスクが資産クラス間でどのように違うかについて「何もわからない」と考える投資家の方には有効だと思います。
均等配分だと、バリューファクター・サイズファクター等へのエクスポージャーが高くなるので。
また、資産配分に関しても、
例えば「株式」+「現金(個人向け国債)」というシンプルな考え方が好きです。
リスク資産部分においても、
必ずしも均等配分である必要があるとは思えず、
例えば、バンガードのTDFのような均等配分以外のPFも大いに好きです。
ただ、その方にとって最適なPFが、例えば株と債券50:50とたまたま均等配分になるケースもあると思います。
逆にここら辺に合理的な意見があり、そちらを信じる方は、全然均等配分で投資をすればよいと思います。
まあ今回の記事は、私の知っている範囲の事だけに基づいた、
私個人の考え方なので、特にこれが正解、正しいというつもりもありません。
誰かに強制するつもりもありませんし、
同意を求めるつもりもありません。
ただ、
そもそもこういうテーマや議論があることを伝えたい。知るきっかけにして欲しい。
とは思います。
そして、もし興味を持った方がいれば、
各々それを調べたり、勉強したり、考えるきっかけにして頂けたら幸いです。
そのくらいの軽い感じの気持ちの記事です。
まあ、こんな考えもあるよねも。と楽しんでいただけたら幸いです。
いつもありがとうございます。
ちょっとだけ勉強になった。知らなかった。
という方は是非応援クリックよろしくお願いします。

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