投資経験は能力の向上につながるのか?
ポール・E・ミール氏が行った調査によれば、「現実世界の多くの場面で、経験が能力の向上に結びつかないことがある」という事がわかっています。
調査の対象となったのは、
人間の行動が関わる領域や、同じパターンが繰り返されない分野で、
そのような分野では、何かを繰り返し行い、経験を積んでも「成果」の向上には繋がりませんでした。
参考「 Clinical Versus Statistical Prediction」
経験によって能力が向上する領域、しない領域
ダニエル・カーネマン氏とゲイリー・クライン氏が共著した論文
「Conditions for intuitive expertise」によると、
「経験が専門的な能力の向上につながるかどうかは、それがどんな領域かによる」
という点で二人の見解は一致しました。
〇直感的なパターン認識が強く働く境域
例えば、チェスやゴルフなど、定められた範囲内でルールに従って動き、すぐにフィードバックが得られるような場合は、「意識的な練習」が効果を発揮し、経験や学習により能力は向上します。
「一万時間の法則」なども有名ですね。
〇経験が役に立たない領域。
ルールが不明確・不完全な領域。繰り返し現れるパターンがあったり、なかったりする領域。結果のフィードバックが遅い、もしくは不正確な領域などでは、
経験により「間違った」学びや自信が強化されていく可能性がります。
この意地悪な領域では、経験豊かなプロでも簡単に間違いを犯してしまうといいます。
経験は、チェス・ポーカー、消防士等の能力の向上には役に立ちますが、
金融や政界のトレンド予測、従業員の能力の予測などには効果はなかった。としています。
そして、消防士であっても、住宅火災の経験やそれから学んだ直感が、超高層ビルの火災では役に立たず間違いを犯すなど、新しい環境では誤った判断をしがちになるそうです。
私達は、今後も常に新しい市場環境で戦っていくことになります。
過去と似た相場はあるかもしれませんが、過去と全く同じ相場はありません。
まとめ・感想
〇ルールが不明確・不完全な領域。
〇繰り返し現れるパターンがあったり、なかったりする領域。
〇結果のフィードバックが遅い、もしくは不正確な領域。
株式への長期投資は、全部当てはまりますね。
経験を積むことは大切だと思います。
一方で、経験を過信しするのは危ういとも思います。
ともすれば、間違った学びや自信を強化することに繋がりかねません。
投資は、経験して初めて分かる事もあります。
しかし、経験を積んでもわからないこともあります。
最近投資を始めた方に、
私自身が伝えられる数少ない教訓の一つです。
いつも本当にありがとうございます。
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