世界一の投資家ウォーレンバフェット氏は2002年の年次報告書で株式投資とジャンクボンド債(リスクの高い社債)投資は似ている面があると述べています。(もちろん違いも述べています)

そして一般的には最近までバフェット氏はIT嫌いで投資しない。アマゾンに投資しなかったのを後悔しているというのが、日本の投資家の共通認識ではなかったでしょうか?

確かに、以前バフェット氏本人の口からそう語られたのは事実です。
その一方でバェット氏はアマゾンのジャックボンド債を購入し、利益を得ていました。

つまり昨年のあの発言は正確には(アマゾン社債に投資して一儲けはしたけど、社債と一緒にもしくは社債じゃなくて)アマゾン株を買わなかったのを後悔しているという意味にも考えられます。

しかし、アマゾンにすでに投資していたという情報を知らないと、バフェット氏本人が意図しない全く違うストーリーを想像して、教訓を勝手に我々が作り上げてしまうという、非常に危うい事態に陥ってしまうのではないでしょうか?。



行動経済学でノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマン氏の研究では、人間の脳には自分の知っていることが全てと思い込んでしまうバイアスや勝手にストーリーを作り上げてしまうバイアスがあるといいます。

バフェット氏がITがわからない、嫌いというのはすでに古い情報です。
かなり前からバフェット氏はインターネットでトランプのブリッジのオンライン対戦を楽しんでおり、休日には一日6時間パソコンでブリッジをしていたとビルゲイツ氏に暴露されていました。休日にパソコンに触れている時間としてはむしろ長いほうではないでしょうか?

少なくともIBMの年次報告書を50年以上読んでいたという発言やアップル、アマゾンへの投資からも、「ITが嫌い、わからない=ITを全く使わない、勉強しない、投資しない、選択肢に入れない」とはならないと思います。


またバフェット氏は2002年前後には110億ドルもの為替先渡取引FXA(ドルを売って他の通貨を買うFXのような物)によって22億もの利益を得ました。

アメリカ株以外にも、中国、韓国、イスラエル、イギリス、ドイツなどの企業に投資したこともあります。また短期の裁定取引もたびたび行っており、初期のパートナーシップ時代には、裁定取引の短期的な利益によって、結果的に長期投資目的の株が市場平均を下回る期間分をカバーし、トータルで市場平均を超えるというような運用の仕方も見受けられます。

流石世界一の投資家と言われるだけあって、アメリカ株の長期投資以外にもいろいろな選択肢を駆使して資産を増やしてきました。長期投資のイメージが強いバフェット氏も、数年で株を手放したり、利益を確定したりしています。

酸いも甘いも経験していますし、調べれば調べるほど私が考えている以上に頭のよく聡明な方だと思います(私も会ったことはありませんが)。ただ単純にイメージや一言で長期投資家、バリュー投資家、アメリカ株投資家とまとめてしまうのは少し早計ではないでしょうか?


イメージではなく事実を事実として認識すること。
現実を楽観的にも悲観的にもなりすぎずにそのまま受け入れること。
一度学んだ事が違ったら、間違いを認め学びなおすこと。
自分の知っていることが全てではない(むしろ知らないことのほうが多い)。

本人でもないのに勝手なストーリーを想像で作り、そうだと決めつけてしまうこと(歴史や伝記にありがちですね)に注意する。

ここら辺のポイントに気を付けて情報収集、分析をしないと、株式に限らず投資や資産運用でつまづき、自分の意図しないリスクを負ってしまうことになりかねません。

私もこの教訓に気をつけ、これからも投資していきたいと思います。