【バンガードの最新レポート】
米バンガードが「Addressing the changing market environment(市場環境の変化への対応)」というれを公開していたので紹介します。
米国人向けのものということに注意しながら読んでいただけると幸いです。
【市場の変化について】
過去数年間、米国株式市場は絶好調で、コロナショックや直近の2022年初めの乱高下といった時期を除き、比較的変動が少ない状態で上昇を続けてきました。
そのような背景の元、経済や市場の環境が変化しているように感じられます。
などは、投資家にとってより困難な新たな現実を形成しています。
このような時代には、私たちが一緒に作ったプラン(=バンガードの4つの原則に基づく投資計画)がこれまで以上に重要になります。
【今年も続くインフレとFRBの利上げに備える】
バンガードは、今後6~12ヶ月間、インフレ率がFRBの目標値である2%を大幅に上回る可能性があり、コアインフレ率は2022年まで3%を超えて持続すると考えています。
ただ、利上げに伴ってでしょうか。米国のインフレは2022年以降は落ち着くとの予想になっています。
バンガードは、FRBがFF金利の目標を現在の0%~0.25%から3%に引き上げる必要があるかもしれないと考えています。そのためには、今後数年にわたり着実に利上げを行う必要があります。
そうすると、債券価格が下落し、債券投資家にとって当初は痛みを伴いますが、金利上昇環境では、キャッシュフローをより高い金利で再投資することができ、将来のトータルリターンの利回りを高めることができます。
〇ポートフォリオの検討事項
インフレがポートフォリオに与える影響については、ライフサイクルの中で自分がどの位置にいるかを考えてみてください。
退職前の資産形成期であれば、株式とそのリターンに含まれるリスク・プレミアムを通じて、インフレへのヘッジはすでにポートフォリオの中に存在しています。
退職前の資産形成期であれば、株式とそのリターンに含まれるリスク・プレミアムを通じて、インフレへのヘッジはすでにポートフォリオの中に存在しています。
退職後にポートフォリオから収入を得ている場合、インフレについてより考える必要があります。米インフレ連動国債(TIPS)に注目することが考えられます。
補足)米インフレ連動債には、TIPなどを通じて日本の個人投資家でも簡単に投資することができますが、ここの部分は日本人視点(日本のインフレや債券の環境等も)考慮して考えるべきだと思います。
でも確かに、退職後かつ株式比率を下げている際に、高いインフレに見舞われたら、購買力の低下は重要課題となりますね。
【低利回り環境下でも債券が重要な理由】
現在の低利回り債券市場を見ていると、なぜ債券について悩むのかと思うかもしれません。
しかし、長期的には、ポートフォリオの株式部分のショックアブソーバーとして機能することが、質の高い債券の伝統的な役割となります。
債券は、株式市場の急落を部分的に相殺するツールだと考えてください。
そうすれば、市場のニュースによって、完全に憂鬱になることはないので、投資を継続し、長期計画を堅持することができます。
〇2018年や2020年の下落局面における、株式と債券のパフォーマンス
〇個人的な見解
日本の個人投資家は日本で生活する日本人ということと、日本の環境を考慮して、現金や日本国債変動10年などを用いるのも良いと思います。
いずれにせよ、ポートフォリオ全体のリスクを適切にコントロールし、許容できるリスクの範囲内で投資をすることが大切だと思います。
〇ポートフォリオの検討事項
また、プライベートクレジットや(別のレポートによると)オルタナティブ資産などの、非伝統的資産については、
高いリターンや分散効果を期待できるかもしれないが、信用リスクや流動性リスクがあり、
そこら辺も合わせて考慮すると過大に評価(リスクを過小評価)・宣伝されている可能性があるので注意してほしい。とのこと。
【株式市場について バリューVSグロース】
インフレや債券の他に、皆さんがもう一つ考えているのは株式市場でしょう。
過去10年間、米国のグロース株は驚異的な成長を見せましたが、米バンガードはその傾向が今後も続くとは思っていません。
バリュエーションは重要で、バンガードのフェアバリュー推定では、2021年のラリー後でもバリュー株にはまだ上昇余地があると見ています。
バリュー株の復活は、広範な景気回復によってさらに後押しされるはずです。それは、グロース株において起こりうるマイナスリターンを緩和するのに役立つとしています。
図のポイントは
①バリュー株は「フェアバリュー」に平均回帰
②バリュー株の「フェアバリュー」そのものが、金利上昇やインフレを受け上昇。
この2点がバリュー株のリターンを押し上げるとしています。
ポートフォリオの検討事項
過去10年間、米グロース株が米バリューを上回ってきた結果、もしかしたら、PFのグロースへの傾きが大きくなっているかもしれません。
バリューにリバランスする時期なのでしょうか?
バリューにリバランスする時期なのでしょうか?
バリュー株は、高インフレの時代にも良いパフォーマンスを示すという証拠がたくさんあります。
今こそ、一歩下がって、成長株に偏りすぎていないか、バンガードと一緒に考えてみるべき時かもしれません。
長期投資家として、グロース株とバリュー株をより中立的に配分するポートフォリオに戻すことをお勧めします。とのことです。
今こそ、一歩下がって、成長株に偏りすぎていないか、バンガードと一緒に考えてみるべき時かもしれません。
長期投資家として、グロース株とバリュー株をより中立的に配分するポートフォリオに戻すことをお勧めします。とのことです。
〇私の読んだ感想
要はバランス・分散ですね。個人的には時価総額で元々バリュー株とグロース株両方に分散投資をしている方であれば特に何もしなくていいと思います。
また、PF内のグロース株やGAFAMのウェイトの大きさがどうしても気になるという方で、手間を惜しまず、リスクを許容できる方あれば、VTV(バリューETF)などを用いて、ウェイトを調整してもいいと思います。
自身の予想に絶対の自信のある方は別ですが、
普通の個人投資家であれば、予測の難しい困難な時期にこそ、特定のシナリオに賭けるのではなく適切に分散投資をし、リスクを抑えつつ、市場のリスクプレミアムを集めることが大切だと思います。
【最後に】
①インフレ②債券(PFのクッション)の役割。③バリュー株への分散。について書かれたおもしろいレポートでしたね。
パッシブ投資家の方も、アクティブ投資家の方にも、何かしらの参考になれば幸いです。
株価が絶好調な時期や絶不調な時期には、市場の変動やニュースの見出しに不必要に反応したくなることがあります。
しかし、一呼吸おいてください。あなたの長い投資の旅はまだまだ続きます。
投資においては、何もしないことは、何かをすることと同じくらい重要です。
変に株価やニュースに右往左往道するよりも、コストを抑え、航路を守り真っすぐ突き進んだ方が、結果的に早く目的につける可能性は十分にあると思います。
私は、市場や株価、ニュースに振り回されることなく、コストを抑える、適切な分散投資、拠出額をあげるなど自身のできることに集中しながら、これからも自分の投資を続けていきたいと思います。
いつもありがとうございます。
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