【長期ってどのくらい】

私を含め長期投資家は「長期投資」という言葉を気軽に使います。

でも「長期」ってどのくらいの期間なのでしょう?

例えば、シーゲル教授等の100年・200年のグラフ

現実的に考えれば、信用できるデータとしては、遡れるのはここら辺まで限界かと思います。

でも、①長期投資のデータとしてはそれでも統計的に足りない。例えば、重複しない30年という期間は数回分しかない。

②制度や法律も異なり、年に1~2度株主が動くような時代のデータと現在の毎日何度も株式が高速で取引される時代のデータを一緒に扱っていいものか。

という疑問も残ります。


【ベストな資産配分は変化する】

かといって、1年では短すぎますし、5年くらい同じ傾向が続く事もあります。

では、10年ではどうでしょう。

S&P500に投資を10年間投資した場合のリターンは、

過去年率平均-5%~+20%(ドルベース・名目)の間で変化してきました。
00.

そんな感じなので、

当然米国株とEAFE(米除く先進国)の効率のよい資産配分も時代によって大きく変わりますし、

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S&P500と米国債を組み合わせて効率的フロンティアを表した場合も似たようなことが起こります。

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このように10年単位で見た場合も、

ベストの資産配分というのは環境によって大きく変わります。

ここ数年のように米国株絶好調・0金利で債券微妙・・・

といった現在の環境が将来どう変化するかはわかりません。



【一期間モデル・多期間モデル】

私は自分の投資期間を、「投資を始めた日から死ぬまで」と想定しています。

実際に死ぬ具体的な日付は(良くも悪くも)わかりませんから、

私は生きている間に資金が尽きる方が苦しいと思うので、

ギリギリ使いきってのOを狙うのではなくて、多少の余裕を持って死んでも良いと思っています。


少し話はそれましたが、

私の投資可能期間はまだ数十年あります。

私はこの数十年を一つ期間として捉えるのではなく、

多期間モデルで捉えた方が上手く行くのではと考えています。

通常のポートフォリオ最適化モデルは一期間モデルと呼ばれ、 現在一回きりの投資の結果としてもたらされる富の分布を何らかの意味で最適化しようというものです。

多期間モデルは将来の投資の組替えも考慮に入れ、全体として得られる富の分布を最適化しようとするものです。

このポートフォリオ最適化モデルはポートフォリオの組入比率を変数とすると非線形最適化問題として定式化されるため、 非常に扱いにくく現実的な問題において解を求めることは困難とされていたのですが

http://www.msi.co.jp/fiopt/case/takikan.html
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http://www.msi.co.jp/fiopt/case/takikan.html

この図の例では1年毎となっていますが、

後述しますが、

①自分の投資環境やリスク許容度・投資可能期間・効用の変化

②インフレや金利など大きな市場環境の変化

に応じて、必ずしも「1年=1期間」とするのではなく、

数か月~数年で「1期間」とするのがいいと思っています。


例えば、3年程度の場合、インフレの影響はほとんど無視可能であり、利子率も大きな水準で変化しない事が普通です。

株式や国債といった、利用可能な各資産クラスの性質もさほど変化しません。

また、この「1期間」とは、投資家の選好体系、あるいは投資機会集合が変わらない期間の事も指します。



【人生は多期間モデル?】

実際、私達の人生や資産形成は「同質的な1期間」で終わるのではなく、

異なる「1期間」が複数連なって、「多期間」に渡って、投資や資産形成をするのが普通ではないかと思います。

市場環境の変化はもちろん、法律や税制など制度も変化します。

自分自身の人生も、結婚・出産・転職・退職などライフステージの変化というものがあります。

今と10年後の環境が変化することを考えると、今考え得るベストの資産配分が、10年後もベストとは限りません。

投資期間を人生やライフステージに合わせて、「1期間」ではなく「多期間」とするなら、

投資モデルも「1期間」から「多期間」に拡張するために、いくつか修正を行う必要がある場合があります

例えば、1期間モデルでは分析する必要のない投資機会の変化や、複数期間における消費と貯蓄の意思決定などがあげれます。


山崎元氏も以前のトウシるにて、以下のようなことを語っていました。
「インフレ+高金利」といった世の中にでもならない限り今の方法が将来も「そこそこ以上に」有効であり続けるだろう(日本の長期金利が2%を超えたら、次の方法を考え始めようと思っている)

https://media.rakuten-sec.net/articles/print/32307

このようにその時の環境によっては、戦略を見直すことを示唆しています。

もし今後、日本の長期金利が2%を超えるようなことになったら、

現在の「国内外の株式+現金(10年国債)」という基本戦略に、国内債券が復活するかもしれませんね。

【まとめ】

10年以上期間を運用する長期投資を計画しているにも関わらず、

「1期間」モデルで投資や資産運用を考えている方は、少し注意が必要です。

ここでの話は、難しいことを言っているようで、

単純な当たり前の話で、

市場環境は数年で大きく変わるし、

私達の消費やリスクの選好、ライフステージも変化するから考慮する必要があるという事です。


長期資産運用・投資(多期間)を計画する時は、

自身の消費やリスクの選好や変化も考慮しつつ、投資判断、最適な資産配分、ポートフォリオなど投資に関する意思決定をする必要があります。

ここが表現が難しいのですが、(あとで上手い言い回しを考えます)

規律ある投資は本当に大切ですが、

過去の自身の環境や投資環境における、「過去の自分の意志決定」に捉われすぎてもいけません。

私は以前、山崎元先生にこの点を指摘されたことがあります。

おかげで、以前は静的なPF戦略絶対主義くらい頑なな私でしたが、

(実際には採用していませんが)最近では動的なポートフォリオ戦略やレジームシフト戦略について興味を持ち、かなり柔軟にそういう意見も受け入れられるようになりました。


現時点で今までの方針を大きく変えることは全く考えていませんが、

退職・結婚・制度の変化などがあった場合は、

柔軟に資産配分を見直す余地を残していきたいと思います。


お読みいただきありがとうございました。

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