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1987年6月

米国の平均的な年金基金や財団は、約55%の資産を米国株式に投資していました。

債券とキャッシュの比率は合わせて約37%でした。


長期投資家・インデックス投資家や、特に大学・年金基金や財団など機関投資家で

「タイミング戦略を重要視している」と公言している方はそう多くありません。


(以前述べた通り、投資手法によってはタイミング投資が重要な戦略もありますが、長期分散投資を基本とする基金・財団などはアセットアロケーションの方がリターンの重要なウエイトを占めます)


しかし実際には相場の動きによって、資産配分が目標から大きくずれてしまったり、

市場の変化にやきもきしたり、時には流されてしまうこともあります。


今日は1987年10月の暴落後で、

各基金が目標とする資産配分の乖離にどう対応したかを紹介していきたいと思います。


規律正しい投資を行う

暴落前の約2年間(1985年6月~1987年6月)は

各基金ともポートフォリオ内の資産配分がかなり安定していた期間でした。

2年間の株式への資産配分の平均は55.0~55.4%、債券の平均資産配分は36.7~36.9%

素晴らしい安定感ですね。


この2年間の株式のリターンは約70%、債券のリターンは約20%でしたから、

当然リバランス等の調整を行わなければ、資産配分を一定に維持することはできません。


2年間、各基金は正しくリバランスなどを行い、

市場変動による資産配分の変化にも適切に対応していました。


1987年10月の大暴落後

株式市場の大暴落を受け、

株式の資産配分を大きく押し下げられました。

それに伴って必然的に債券の比率は上がり、

ポートフォリオの資産配分は目標から大きくずれてしまいます。


ここで市場の崩壊を見て恐怖心にかられた、ほとんどの基金の運用担当者が取った行動は・・・

「株式を売却し、債券を購入するでした。


1987年6月から1988年6月の間

株式への配分は55.3%→49.1%へと落ち込み

債券への配分は36.7%→41.9%へと上昇しました



ポートフォリオのリスクを下げ、資産を守ろうとしたのが原因と考えられますが、

結果的に、資産配分の乖離をいっそう大きくするだけでなく、

「安値売りの高値買い」のお手本となるような行動をとってしまっていたのです。



解釈とその後

これら基金の行動に対してはいくつか擁護する意見があります。

しかし、それら意見や解釈には疑問が残り、

(私個人の後付けバイアスかもしれませんが・・・)

「言い訳」という側面もあるようにも感じてしまいました。


いくつか簡単に紹介します。

「80年代の上昇相場の中で株式への配分をうっかり高めてしまったため目標水準まで修正した」

→「なぜ暴落後に?もし本当にそうなら暴落前にやらなければ遅すぎるのでは」


「1987年の大暴落後はそれまでの想定と株式のリスクや特性が変わってしまった。(だから売る)」

→「それなのに各基金とも90年代になると、暴落以前よりも多くの株式を購入しています。」


他にもいくつか1987年11月以降の機関投資家の株式売却行動を

合理的に説明しようとする意見はありますが、どれも根拠に欠けるものばかりです。


1987年の暴落とその後

平均5%以上の資産を株式から現金や債券に移した基金は、

株価が比較的短期間に急回復したため、かなりの機会損失を被ることになります。


更にその後も、暴落や市場への不安は払拭できず、

株価が力強く上昇する中、基金の債券と現金への資産配分は暴落前より高い水準で推移し、

1993年まで低リスク水準を維持することとなりました。


もし暴落後も感情などに流されず、

暴落前のように市場変動による資産配分の変化に規律をもって(リバランスなどの)対応していたら、

(暴落そのもののダメージは回避できないとしても)

暴落後の二次被害は最小限に抑えられたのではと思います。


温故知新

平時には)それまで規律を保っていた各基金などが、

1987年暴落の後、その規律をいとも簡単に捨ててしまったという事実を忘れてはいけません

歴史から学び、先人らと同じ間違いを繰り返さないようにしましょう。


昨年末から市場予測が良くなったり悪くなったり、

なかなか見通しのたたない不安定な相場ですが、

分散されたポートフォリオを長期運用した場合、マーケットタイミングではなく

「資産配分こそがポートフォリオのリターンに大きく影響する」


という基本と1987年の暴落時のデータを反面教師にして、

今後も規律ある投資を心がけていきましょう。

感情に流されてしまっては、

「本来失わなくていいもの」まで失ってしまうかもしれません。






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