イエール大学基金の運用モデルをより深く分析するために、

同大学が行ったおもしろいシュミレーションがあるので紹介します。

テーマは「1970年代に資産を切り崩して生活していたら」です。

以前もブログで紹介しましたが

大学基金の運用は、毎年大学の支出を支援しつつ

資産を運用し、永続的に購買力を維持しなければならないという特徴があるため、

アーリーリタイアや配当生活など、生活費や中期的な支出を補いながら、資産を運用する人にとってとても参考になるモデルだと思います。


それでは本題に入ります。

米国の大学基金の支援額は1.25%~10.0%(基金の継続が難くなる)まで幅はありますが

90%以上の教育機関は4~6%を目標水準としています。

(5%の支出支援を目標としている所が多いです)


ほとんどの教育機関では「現在の支出」に充当するのに、

金利収入・配当収入・家賃収入などのインカムゲインをあて、

元本を損なわないよう運用してきました。

しかし、実際には金利変動によるリターンの上下やインフレ、年々の支出の増加などにより

インカムゲインだけで支出を賄えなくなる時期や改善が必要になるときがあります。

(この改善やバランスについては後日また詳しく記事にします。)




イエール大学基金は1960年代

資産額の平均4.4%を教育支援のために分配していました。

60年代の米国は、インフレ率2.5%に対して

S&P500のトータルリターン7.6%(配当利回り3.1%)債券利回り3.5%

でしたから長期的に安定した支出支援を続けつつ運用する事が出来ました。

(寄贈基金の損失はほとんどなく、購買力の低下は10%程度に抑えられました)

しかし70年代は以前紹介しました通り、

イエール大学の支出支援失敗の事例

年率7.4%のインフレ率に対して、

株式5.9%(配当利回り3.5%)債券利回り7.0%でしたから

深刻なインフレと金融市場の環境悪化などにより

投資家は苦しい状況におかれます。

イエール大学も70年代中頃にに40%の購買力を失います。


以下実際にイエール大学が行った支出シュミレーションを紹介します。

〇1960年から、資産から(基金の時価総額)毎年5%づつ支出を賄おうとした場合

(インフレ調整後)1970年代の終わりには資産の購買力が60%ほど失われることとなりました。


資産保護を優先し、(インフレ調整後の)運用で儲けた利益(配当込)だけで支出を賄おうとした場合はどうでしょう?

以下の画像をご覧下さい


01

参考デイビッドスウェンセン著 「勝者のポートフォリオ」

インフレ調整後の利益だけで賄おうとすると、

1960年から1979年までの間のうち、12年間は支出支援が出来なかったこととなります。

好調だった60年代でも3年は投資リターンから支援は行えませんでした。

70年代に至っては悲惨なこととなります。

よって、(余程の資産がある人を除いて)

「投資によって儲けた利益だけ」で長期的に生活するのはとても難しいということがわかります。

また、この資産保護を最優先にしたシュミレーションでも、支出支援をほとんど行わなかったにも関わらず、70年代のインフレにより資産の購買力の24%を失うことになりました。


最後に実際イエール大学がどうだったかを紹介します

まずは実際にどのくらい支出支援を行ったかをご覧下さい。

IMG_0551


60年代は先程述べた通り、3.8%~4.4%という現実的に持続可能な支出支援で運用されていました。

しかし、(インフレによる人件費高騰などで)大学が赤字に悩まされた71年には

7.4%という基金の持続がほぼ不可能なレベルの支援を求められました。

かといって支援しなければ、

「大学の事業運営問題はさらに悪化し、致命傷になっていた」

とスエッセン氏は振り返っています。

より多くの支出支援は求められるものの、市場環境はドンドン悪化しています。

結果、大学基金の資産はどうなっていったでしょう?


011

このシュミレーションではわかりやすく1960年を1000としています。

また寄付金という追加資金による効果も含まれています。

60年代と70年代の事なる市場環境においての差に

注目して頂けるといいかと思います

60年代は毎年約4.4%の支出支援を行いつつ資産も順調に増やしています。

しかし70年代は毎年の高い支出を賄うために、厳しい市場環境も相まって)

たった10年で基金の資産は40%も失われてしまいました。

随時「寄付金を追加投資」していてもです。


10年でこうも市場環境が変わるという事を

私達は肝に命じなくてはなりません

老後や出口戦略、アーリーリタイア計画など甘めに見積もっていませんか?

私は厳しく見積もっている「つもり」でしたが、少し甘かったのでは?

とドキドキされられました。

温故知新といいますが、

歴史や過去を学ぶことの大切さが身に沁みる今日この頃です。

危機感を煽ってばかりではあれなので、次回からこれまでの経緯を踏まえて

その後スエッセン氏が見いだした投資哲学や具体的な戦略についてふれていきたいと思います。


末筆ながら、

昨日のブログに関するたくさんのコメントありがとうございます。

まさかあそこまで反響があるとは思ってもみませんでした。

昨晩ほどブログをやっていて嬉しかった、よかったと思えた日はありません。

ありがたいコメントを送っていただいた方々、ツイッターでいいねを押していただいた方々、

ブログの読者様含め、りんりと関わってくれた全ての方に改めて心より感謝を申し上げます。

「本当にありがとうございました。」

今後もどうかよろしくお願いします。






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