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前回の貿易問題についての記事の続編です。
貿易について1では世界貿易と株式の誕生。そして黄金時代のオランダについて書きました。

2018年トランプ大統領は語ります。「TPPからの脱退によりペンシルバニアの雇用は守られた」と・・・

投資家と貿易問題は切っても切れない関係にあります。また貿易問題を知るには、まず貿易の歴史について学ばなければなりません。

さて今回も17世紀~世界貿易が始まった時代にさかのぼっていきましょう。

スペイン・オランダ・イギリスなどがアジア・アフリカ・アメリカ大陸の富を得ようとしのぎを削っていました。


みなさんはcash(キャッシュ・現金)の語源をご存知でしょうか?

CASHとは元々イギリス東インド会社がインドで使っていた通貨の名前です。それが現在、現金を意味するCASHの語源となっています。

また世界中の人が、日本語やオランダ語・フランス語などではなく英語を世界の共通言語として話すのはイギリス東インド会社の影響によるものとされています。



今日の主役は誕生から400年経ったの現在でも世界中に多くの影響を残すイギリス東インド会社です(以下東インド会社と略します)

イギリス東インド会社は世界を変えた50の企業の1社目に選ばれています。(2社目は前回少し触れた世界初の株式マーケットの主役アムステルダム銀行、他グーグルなども選ばれています)

その名のとおり、インドや中国・オーストラリア・アフリカ・アメリカ大陸など相手に世界中で貿易を行いました。現在では珍しくありませんが、世界初のグローバル企業が東インド会社なのです。


国王ジェームス1世が発行した特許状が現在も残っています。そこには「香辛料貿易の独占権を得るかわりに国にマージンを払う」と書かれています。今でいう半官半民の大企業でした。

東インド会社はバフェットのいう巨大な堀を数多持ち、現在の中国の半国営巨大企業のような強みも持っていました。国家と企業が手を組んだ結果、当然ながら東インド会社は急成長をとげていきます。

また、その経営戦略・経済思想は時代の遥か先を行く恐るべきものでした。

「わが国には、財宝を産出する鉱山がないのだから、貿易によって財宝を獲得する手段しかないことを思慮ある人なら誰も否定しない」

東インド会社役員トーマス・マンの言葉です。資源のない島国の貿易会社の戦略を彼は著書に残しています。

「貿易差額こそイギリスの富を増大させるものだ。そのために輸入額よりも輸出額の方を多くしなければならない。輸入品には付加価値を付けて再輸出するのだ」

私はこの著書の内容を初めて知ったとき少し震えました。

戦後日本の経済発展の基礎戦略が400年前にはすでに存在し、かつ世界レベルで実行・実現されていたのですから。


東インド会社は船だけに留まらず、アジアなどでどんどん現地に支社を建て、中国で買った茶葉はボストンに、インドの綿製品はヨーロッパや西アフリカになど強固な貿易ルートを確立していきます。

18世紀には国際貿易システムは完成され、世界は貿易によって一つにつながりました。

貿易とは「安く買える所で安く買って、高く売れる場所で高く売る」つまり、空間の差を利用して(希少性などにより)利益をもたらす。」古代からある商売の基本です。


ただ近代史では、この「貿易」に新たな要素・新たな側面が生まれます。


近代史では国家は力を持ち裕福である方がよいと考えられています。


「重商主義」 貿易によって貨幣、貴金属などを蓄積し国を富ませる事を良しとする思想 (貿易黒字至上主義)

「軍事力」 重商主義を実行するための大きな要素。植民地や貿易ルートを意のままにするため軍事力を使って貿易を統制する。ヨーロッパ各国は各地で国同士、また現地の人々やゲリラ・海賊などと戦いました。(東インド会社も国家クラスのかなりの軍事力を持っていました) 

富を得るには軍事力が必要で、軍事力を得るためには富が必要でした。
軍事力で市場を独占→そこで得た富で軍事力を増強→新たな市場獲得→市場独占。まるでエンドレスワルツのような終わらない国家ぐるみの錬金術です。

このループにより東インド会社は世界一の企業となり、大英帝国は世界の覇者となりました。

またこのころ「ナショナリズム」や「国民国家」などが誕生していきますが、それだけで長くなるのでまた別の記事で。(毎度すみません)


現在でもこの重商主義はなくなったとは言えず、貿易や安全保障などの問題で影を見せます。

貿易では数千億単位のお金が動きます。相手が同盟国なら多少の貿易赤字でも問題ありません。しかしライバル関係にある国に500億貿易赤字があるとすると、ライバル国はその貿易で設けた500億を元に空母など軍備に投資し、自国の更なる脅威となってしまう恐れがあるからです。

どことどこの国とはいいませんが・・・笑。そういう面もあり技術者を引き抜いたり、スパイを使ったり・・・昔ほど表立った直接的な戦闘はないものの現在でも何でもありの冷酷な競争が続いています。


「余談ですが、某国のやばさとしたたかさを知るにはシンガポール初代大統領で、私も大好きなリー・クアンユの回想録がいいかと思います。読んだとき某国の組織力や教育、スパイ活動、選挙での数の暴力などいろいろ鳥肌が立ちました。少なくともマレー半島の先の日本よりさらに小さく資源もないかの地を、一代で独立発展させアジアの金融・貿易センターにした手腕は必見です。」


現在自由貿易が正しいという主張が経済学では通説です。しかし、トランプ大統領やヨーロッパの保守勢力など自由貿易への抵抗が始まっています。

先進国の雇用が外国の安い労働力との競争で損なわれ、資本は国外へと流出し自国の産業が空洞化していくという問題を抱えているからです。一方中国のような国は輸出市場を獲得し、自由貿易によりかなり得をしています。


国境を越えたモノと金との取引に、国家間の政治とパワーバランスが絡む。それが近代貿易の本質です。

私個人の意見ですが、自由貿易やグローバル化そのものは悪いとは思いません。ただ国内市場なら政府や銀行などが介入することによりある程度の問題は、調整・解決できます。一方自由貿易やグローバル市場が問題なのは誰にも国際市場や自由貿易をコントロールできない点にあります。

実際1930年代、貿易のコントロールに失敗した結果が、第二次世界大戦の要因の一つとなっています。

自由か・保護か世界は今後どう進むのでしょう?

そして明日は会社で健康診断。はたして私の体は大丈夫なのでしょうか?

芸能人は歯が命といいますが、長期投資家は何よりも健康寿命が長くなくては人生を謳歌できません。

世界と私の明日に福音があらんことを


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