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今日はファクター投資戦略について考察してみようと思います。


ファクター投資とはなんでしょう。

世界中には様々な資産や多くの証券などがあり、それらが変動する要因を理解するのはとても困難な事です。

しかし、実際には複数の資産クラスに渡ってリターンの源泉を説明する要因があります。

それがファクターです。

例えば「景気の減速」というファクターは、株式だけでなくハイイールド債や不動産などの複数の資産の下落につながります。

最近のアメリカ市場ですと大きなファクターとして「金利上昇」があげられます。


これらのファクターを分析・利用し、リターンの創出とリスクの抑制と分散し運用するのがファクター投資戦略です。


ファクターは大きく分けて2つに分類されます

マクロ経済ファクター 経済成長やインフレのようなファクター。全ての資産クラスに影響を与える。

スタイルファクター  投資行動の規則性のファクター (バリュー株が過去において市場平均よりいいリターンをあげるなど)


ファクターにはいろいろなものがありますが、それらを組み合わせて自分にあったポートフォリオを組み立てるのがファクター投資戦略です。


簡単な例ですと、リターンを重視し、リスク許容度が高い方にはモメンタム(直近のパフォーマンスが良好な銘柄で好リターンの継続が期待されるもの)のファクターを重視するなどです。


ファクター投資は経済学者などの間で広く検証され、(私の目にしたデータでは)過去1960年代~2010年代にいたるまで長期に渡り有効性が証明されています。


技術の進歩により、情報へのアクセスやデーターの集積・解析が容易となった現在では、ファクター投資の制度が上がっているとも言われます。


ファクターを利用した戦略として以下の二つが有名です。

スマートベータ戦略 一定の基準に基づきファクターをとらえることで、時価総額加重のベンチマーク(S&P500など)を上回るパフォーマンスを目指す。

エンファンスト戦略 様々な資産クラスに買いと売り(ロングとショート)を組み合わせ、市場環境に左右されない絶対収益を追求する。

例、市場サイクルが底に近いときはバリューファクターを重視、市場サイクルが回復、上昇している時はサイズ(小型株)やモメンタムのファクターを重視するなど。

例は簡略化して説明しましたが、実際にはそれ以外にも数多くのファクターをかなり複雑に組み合わせて運用する方法です。

エンファンスト戦略に関していえば、完璧に行う事ははっきりいって私たちのような素人には無理です。膨大な情報分析と予測、資産配分などやっていることはもはやアクティブファンドと同じです。


さてこれらのファクター投資戦略は一見すごく理にかなった素晴らしい投資のように思えます。

科学や過去のデータの裏付けあり、現在でも長期に渡って適切に運用すれば市場を上回るリターンをもたらせると行ったデータもあります。

(やはり短期ではアンダーパフォーマンスもありますが、これは他の手法でも同じことが言えますので問題はないでしょう。)


また1つのファクターが長期間いいリターンをもたらすとは限らず、2008年と2011年で1番リターンの高かった「収益性」ファクターが、2016年には市場平均を大きく下回るファクターとなっています。


私の感想としては、ファクター投資の理論や理屈は理解できますし、素晴らしいと思います。


しかしながら、実際に行うのは非常に難易度が高く、素人はもちろん、長期に渡り市場の様々なファクターを予想し、リスク管理や資産配分をプロでも容易に行えるものではないと思います。


また、私は最新科学や理論の限界についても考えてしまします。

例えば、日露戦争の時の陸軍軍医の森鴎外。

当時結核とならび、脚気(ビタミンB1の不足による病気)は二大国民病と呼ばれ、ヨーロッパ等ではあまり見られないことから、東アジアの風土病と考えられていました。

当時の日本の脚気の主な原因は極端な白米中心の食生活です。なので白米を食べれない貧乏庶民や麦飯中心の海軍下士官には少ないなどには脚気は少なく、江戸時代から経験測として(理由はわからないけど)そば、麦、小豆などを食べれば改善されるとされていました。


しかし、当時ビタミン自体発見されておらず、またその概念すらありません。一般人の経験や言い伝えにはなにも科学的裏付けはありませんでした。

東大を卒業後ドイツで当時最新医学との細菌学を学んだエリートの森鴎外は、脚気を未知の細菌によるものと断定し、戦地で11万人以上の入院患者(戦地入院の44%)、2万7千人が死亡(戦争全体での死傷者は4万6千人)という戦闘での死傷者以上に甚大な被害を陸軍にもたらしました。

陸軍大臣の寺内や桂総理大臣は麦飯推進派、また麦を食べ脚気を減らした海軍からの麦飯推進のアドバイスは「麦は味が悪い、虫が付きやすい」などの理由から無視され、森鴎外も「海軍の対策は科学的根拠なし」とまねようとはしませんでした。

確かに当時はビタミンの概念すらなく、科学的根拠もありませんでした。

今でこそ後付けバイアスで森鴎外を批判することはできますが、彼も脚気根絶に当時最新科学で何とかしようと(脚気菌に感染しないよう衛生管理を整えるなど)頑張っていました。でも、実際に何万という死者はでているのです。

「脚気」以外にも「母乳」「ブラックマンデー」で、当時の科学や金融工学の限界について人類は学びました。


現在でも同様に最先端科学にも分析できないことやわからないことはあると思います。

まだ現在発見されていない未知のファクターや、安全だと思われていたファクターに今までの予想を超える隠れたリスクなどが存在していても何もおかしくないのです。


もし過去に前例のなかった、もしくは気づかれなかったリスクが急に出現し、予想していたリスクを遥かに超えてしまったら・・・

それが私たちの資産を死に至らしめてしまったら・・・


「最新科学や理論で予測・分析できなかったから仕方ない」とあきらめがつきますでしょうか?

私はちょっと無理です。



長くなりましたが、ファクター投資の概念や理論はある程度理に適っていると私は思います。

しかし同時に人間や最新科学の限界を思い出さなくてはいけません。

科学や理論は、道具としてうまく利用してこそ価値があります。それ自体を妄信してしまうのは危険だと私は考えます。


要は程度の問題だと思います。

「ファクター投資は素晴らしい、スマートベータに全資産ツッコむ(レバレッジも効かせるぞー)」だと危険です。

「資産の一部、全体の数十パーセントをファクター戦略にあてて市場平均を超えるぞ」くらいはありかなと私は思います。

(それでも市場平均を超えれる保証はどこにもないのですが)


さてファクター投資戦略あなたはどう思いますか?

ちなみに私は、堅物の田舎者と思われても従来通りの時価総額ベースのパッシブ投資S&P500ETF(VOO)に投資します。


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